●昭和の大スターの豪快エピソードは現代のお伽話!?

昭和の大スターと言えば、その豪快エピソードを聴くのが大好きな筆者。ありました、美空ひばりさんにも。時々自宅を訪れる後輩・橋幸夫さんの為に彼が愛用していた当時は高級品だった輸入タバコを常に部屋の壁一面にびっしりと埋まるほど揃えていたそうです。

また美空ひばりさんのエピソードとは離れますが、豪快エピソードと言えば勝新太郎さんも思い出します。銀座の高級クラブなど自身が訪れた時にたまたま居合わせただけの他のお客たちの会計を全て彼が支払っていたそう。彼が亡き後、つい最近まで妻の中村玉緒さんはこの時の飲み代の「ツケ」を返済していたとかいないとか。相当な金額だったことが伺えます。また高倉健さんは主演映画がクランクインするごとに共演する俳優たち一人一人にスイス製の高級腕時計をプレゼントしていたそう。

こんな数々の豪快エピソード、彼らが大スター・雲の上の存在だったから「スターってすごいな、憧れちゃう」と、人々が素直に思えた時代だったのかもしれません。今だったら、「無駄遣いするな!」と、週刊誌やSNSで叩かれてしまうのでしょうか?

ただの浪費、無駄遣いではないか!今のスターたちの方が真っ当である、と言われればそれまでですが、最近こういう豪快エピソードが聞けないのも寂しい気がします。

平成に元号が変わり早28年目。昭和のスターたちが毎年消えていくようになりました。去年は高倉健さん菅原文太さんが相次いで亡くなり、一時代の終幕と感じた方も多いと思います。また将来、平成から次の元号に変わった時「平成の大スター」呼ばれる人は存在しているのでしょうか。美空ひばりさんのようにどの世代にも知られている人がスター、という価値観そのものが変わっているかもしれませんね。

●生前の自宅を開放した東京目黒の美空ひばり記念館

京都の美空ひばり記念館(現在は京都太秦に移転)の他にも、2014年にオープンした東京目黒の記念館があるのはご存知ですか。生前の彼女の自宅を開放した記念館で、居室の一部や自家用車だったキャデラック、数々のゆかりの品々や映像を見ることができるそうです。今日は命日で休館日ですが、一度訪れ、昭和の歌姫の軌跡を辿るのも良いですね。

丁度今が見頃の満開の紫陽花。美空ひばりさんといえば、歌にもある「真っ赤な太陽」のように夏の花ひまわりや大輪のバラなど華やかなイメージですが、晩年のしっとりと歌い上げていた頃の彼女はまさに紫陽花のイメージ。今もどこかでその美声を響かせているかもしれませんね。