旬を迎える京料理の定番「ハモ」。ところで、どんな魚?

2016/06/15 16:30

「梅雨の雨を飲んでうまくなる」といわれ、梅雨明けの7月頃から旬を迎える魚をご存じでしょうか? 夏の京料理の定番「ハモ」です。 梅雨が明けると脂がのって、ハモの食べごろとなります。 焼き、刺身、天ぷら……とどんな調理法でもおいしくいただけるハモですが、東日本ではあまりなじみがない魚です。 現代の流通網をもってしても、東日本に広まっていかないハモ……。 どうやらハモならではの特性がその理由のひとつのようです。今回は、京都の夏を代表するハモの魅力に迫ります。

見た目はどう猛なイメージでも、味は上品なハモ
見た目はどう猛なイメージでも、味は上品なハモ
なぜ「ハモ」は京料理の定番? 江戸時代、まだ交通網ができあがっていない頃は、行商人が食料などを運んで売りに来ていました。 当時は兵庫の漁港から魚が運ばれていましたが、京都まではかなりの距離……。 夏になると、京都まで運ぶのに死んでしまう魚も多くありました。 ところが、ハモの生命力の強さといったら驚きのもの……。京都にたどり着くまで元気に生き残っているのです。 ハモを漢字で書くと魚へんに「豊」。 生命力が豊か、栄養が豊か……などの意味が込められているといいます。 また、歯が鋭くどう猛な魚としても知られており、首の骨が折れていても噛みついてくるかなりの暴れん坊です。 交通網が発展していない中でも、その生命力の強さのおかげで、京都の食卓までたどり着くことができたのです。そのため、今に至るまでハモは夏の京料理の主役として重宝されています。 祇園祭とハモの関係 ハモの旬である7月、京都では日本三大祭の一つでもある「祇園祭」が開催されます。 実は、祇園祭は別名「ハモ祭り」と呼ばれるほどハモと深い縁があるのです。 かつて、京都の商人は祇園祭になると鯖寿司を商家にもっていき、そのお返しとして商家は「ハモ寿司」を贈るという習慣がありました。 その名残からか、祇園祭期間中はかなりのハモが消費されるのです。 宵山前後に京都で食べられるハモの数は、何とおよそ2万匹! 約8トンにも及ぶハモが市場に入荷されるのだとか……。 京都市民にとって夏の一大行事である祇園祭を乗り切るのに、ハモは必要不可欠のようですね。
「ハモ祭り」とも呼ばれる祇園祭で人気の宵山
「ハモ祭り」とも呼ばれる祇園祭で人気の宵山
板前の腕が試される「骨切り」 夏の京都には欠かせない存在のハモですが、東日本に住む人にとって、あまりなじみのない魚ではないでしょうか? その理由のひとつはハモ独特の「体」にあります。 実は、ハモは異常なほどの「骨」の持ち主。ハモの体にある骨の数は、何と3500本! よって、普通の魚の処理では、とても食べられません。 そこで必要なのが「骨切り」という処理。1寸(約3.3cm)の間に皮1枚を残して24~26回包丁を入れていきます。この処理により、骨ごと食べられるようにするのです。 しかし、この骨切りは熟練の技。もともと、うなぎ文化が根づいている関東では、この骨切りを習得している板前が少ないといわれています。 そのため、関東ではハモを食べる習慣が根付いていないというのが一説です。 —— 見た目の鋭さとは裏腹に、淡白で上品な味わいのハモ。 夏の京料理とともに、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
た目も鮮やかなハモの湯引き
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