初めて気がついた紅葉の花

新緑や花がわっと いっせいに開いて、木々が萌える季節です。
毎日散歩している公園で、空があんまり青いので、ふと上を見てみたとき、モミジの新緑の葉の上部分がうっすらと、ピンク色の粉砂糖を振りかけたように、色づいているのに気がつきました。
(春なのになぜ、モミジが赤くなっているんだろう)とよくよく見てみると、なんとモミジに花が咲いているではありませんか。とても小さくて可愛い花です。
毎年同じ公園で、毎日同じ道を散歩して、毎年眺めていた公園のモミジに、花らしき物が咲いていることに気づいて驚きました。どうして今まで気がつかなかったんでしょうか?モミジは秋のものだ、という思い込みのせいでしょうか。

江戸川区 公園で撮影
江戸川区 公園で撮影

モミジには花と実がつく

そこでモミジの花について改めて調べてみました。
モミジは4月頃に花が咲きます。地味ですが房になってたれる小さな姿の花の房は美しいものです。
花が終わるとすぐ種ができはじめます。
実はブーメランのような形の羽の中に、赤い実(種)を付けています。茎元二つのふくらみの中にはもみじの種があるのでしょう。こちらも花のように見えますが、実なんですね。羽が内側から外側にかけて、太陽に向かって精一杯ひらいて、可憐でとってもかわいいんです。
このブーメランのような羽は、紅葉(こうよう)が終わり、葉が落ちる頃、翼果が風に飛ばされ、まさにブーメランのように、くるくる回りながらより遠くへ運ばれていきます。
植物は自分では動けないので、子孫を残すためにいろいろな工夫をしているんですね。
イロハモミジも種に翼を持たせることで、より遠くに種を運んで、日本中に、子孫を増やしていったのでしょう。

薄いピンク色の羽に実
薄いピンク色の羽に実

イロハモミジとは

Aser palmtum var.coreanm(カエデ科)
アケルバルマツム 変種 コレアヌム
和名 イロハモミジ
叢状樹冠を作る落葉少高木か大低木。葉は深い欠刻があり、中緑色。
秋、鮮赤色に変わる。春,赤味ある紫紅小花をつける。
(出典;英国園芸協会(監修) 新・花と植物百科 同朋舎)
なお、「イロハ紅葉」の名の語源は、掌状に5~7裂する葉の先を 「いろはにほへと」と 数えたことからと言われています。

モミジは秋だけのもの?

奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の
声きく時ぞ 秋は悲しき
猿丸太夫
遠く人里離れた奥山で、一面散り積もった紅葉の枯れ葉を踏み分けながら、恋の相手を求めて鳴く雄鹿の声を聞くときこそ、秋の悲しさはひとしお身にしみて感じられるものだ。
百人一首などでは、モミジを歌った歌は秋のものが中心ですね。寒くなる季節を予感して物悲しいイメージがあります。

そんなモミジの、生命力にあふれた春の花、初夏の実。
秋の葉ばかりではなく春には花や実を楽しんでみてはいかがでしょうか?