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青々と伸びゆく竹。この生命力に生かされています

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青々と伸びゆく竹林

青々と伸びゆく竹林

竹の花:バンブーガーデン

竹の花:バンブーガーデン

竹の灯り

竹の灯り

竹の根っこ

竹の根っこ

タオルにもなっています

タオルにもなっています

みなさんは八百屋の店先に筍がつまれたとき、きっと春の息吹を感じたことと思います。
今月の初めには笹の葉につつまれた粽を食べた方も多いことでしょう。
竹は日本人のくらしに道具や工芸品として昔から利用されてきました。近年は便利さからプラスチック製品が使われていますが、やはり笊や簾、またお寿司に添えられた笹の葉など、本物を目にしたり手に取ったりするとホッとしますね。今でも私たちの身の回りには自然の中で育った竹がたくさん使われているんですよ。そんな竹についてちょっと振り返ってみたいと思います。

竹の一生。 上へ、大空へと伸びてゆく竹ですがいったいどんな植物なの?

いつも鮮やかな緑の竹は生命力の象徴としておめでたい植物のひとつです。まず思い浮かぶのはお正月の門松でしょうか。また建築工事の無事や家の繁栄を祈る地鎮祭では、祭壇をつくる場所は竹を四方に立ててしめ縄を張り神聖な場所とします。いつも鮮やかな緑を保ち冬でも枯れないこと、またしなやかで丈夫だということから「生命力」や「成長」の象徴として飾られますが、いったい竹はどんな植物なのでしょうか?
タケノコ堀りなら竹林へ、というのは常識ですが、ではタケノコはどのように生えているのかご存じですか?
じつは土の下に竹そっくりな地下茎があります。その節から芽がでて新しい竹が誕生するのです。それがタケノコです。美味しいタケノコが欲しかったら土の中にある物を探せ、土の上に顔を出してしまったらもう堅い、といわれるのがこの芽の出方からよくわかります。タケノコの生長は速いのでタケノコ掘りに行った時には大地の息吹を見逃さないようにしてくださいね。竹はなんと1日で1m伸びることもあるそうです。通常はおよそ数ヶ月で立派な竹になります。竹材として利用するものは3年から5年くらいが適切ということです。地下茎も地上の竹に負けずに伸びていき、やがて竹林を形成していきます。
ところで、お気づきになりましたでしょうか?
竹は他の植物のように毎年花を咲かせ、受粉によって実をつけその実が新しい芽を吹いていく、という繁殖過程をとらない植物だということです。
このような無性生殖をする竹ですが、たった一度だけ花を咲かせ実をつけます。それは枯れる直前です。子孫を残すための自然の力でしょうか。竹の寿命は長く、発芽してから枯れるまで孟宗竹は60年、真竹は120年というサイクルを持つといわれています。ですから竹の花が見られるのは滅多にないこと、本当に珍しいことなのです。
民謡「会津磐梯山」では「会津磐梯山は宝の山よ、笹に黄金がまたなりさがる」と歌われ、竹の花は何十年に一度僅かな期間しか咲かず、結実すると黄金の実がなることからめでたい験しとされています。しかし竹の実がなる年には不作から飢饉が多いともいわれています。その真偽はわかっていませんが、お米が不作になるからそのための食料として竹の実がなるんだ、という説や落ちた竹の実を食べて野ねずみが増え作物を食い荒らすからだ、ともいわれています。しかし竹の実がなるということは、今まで緑があふれる元気な竹林が枯れてしまうことですから、決して喜ばしいことではなかったことでしょう。
冬でも枯れずに緑をたもつ美しさや、しなやかで丈夫だということから「生命力」や「成長」の象徴として飾られる竹ですが、生物としての一生には粘り強さと潔さを感じます。

まわり見れば、竹が、あそこにも、ここにも

プラスチック製品が安く手に入る前の私たちの生活を想像してみて下さい。もしかしたら竹をさわらないで一日を終えることはなかったのではないでしょうか?
台所では洗い立ての野菜を竹ざるとり、竹の菜箸を使って煮物の様子をみて、おにぎりは竹の皮に包み、庭の掃除には竹箒、洗濯物を干す竿も竹、耳が痒ければふわふわとした羽のついた竹の耳かき、背中を掻くのは孫の手、子供は竹馬に乗って、竹とんぼを飛ばして竹垣越えて竹馬の友となり、竹塀ごしにお喋りするのは主婦の常、お父さんは釣ざお持って海へ川へ、道場に響くは剣道の竹刀の音、おじいちゃんは趣味の尺八で首をふる。
なんてこうしてちょっと考えるだけでも竹は日常生活に深く入り込んでいましたね。
最近は自然志向、本物志向もあってかなりのみなさんがプラスチック製から竹製にもどってきているとも聞きます。
伝統芸能の世界を考えるとこれはもう竹がなくては始まりません。
雅楽で使われる、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)、能楽では能管(のうかん)など千年を越えて受け継がれているあの幻想的な音も竹で作られています。
茶道の世界でも多くの竹が使われています。庭にはししおどしや手水、待合が竹でしつらえられています。茶室では茶杓や柄杓、茶筅を使ってお茶を点て、床の間には竹を使ったの花入れが用いられるといった具合です。これらの道具は身近なものでその日のお客様のために手作りする、ということから竹が使われたということも聞きます。一期一会のおもてなしの心の深さを感じますね。
現在は職人さんの手による工芸品、照明器具などのインテリア、扇子、団扇などの小物が私たちの生活を彩ってくれていますね。

問題点 竹製品の利用低下 竹林が里山を荒らす

竹は私たちの生活に深く入り込んでいますが、今竹林が大きな環境問題になっています。
それは東南アジア産の安価な竹やタケノコが輸入されることにより、価格競争で負けてしまう日本産のものは出荷量が減少してしまったことによります。伐採されなくなった竹林が放置されてしまったのです。今まで述べてきたように竹の生育は早くどんどん増えていきます。タケノコを掘り、伐採して資源にすることはすなわち竹林を整備することでもあったのです。それをやめてしまうと生え放題の竹は日光を遮り近隣の森林や田畑に侵入してあっという間に竹藪を作ってしまうということです。
このような放置された竹林の再生に努力する動きも出てきています。京都府では地域住民やNPO法人、ボランティア団体と協力して放置竹林の拡大防止や伐採した竹の有効資源化をめざしています。

竹ってそんなにすごいの!?

伝統と日常に深く根ざしている竹ですが、現代はまた別の視点から竹の有効活用が研究されています。
先ず竹から作った炭に注目です。
竹炭は竹を炭化させたもので、見えない小さな孔が湿気が多い時には湿気を吸い込み、乾燥すると吸い込んだ水分を発散するためにお部屋の湿度調整と、同時に脱臭や消臭の効果が期待できます。炭は昔から濾過器などにも使用されてきましたように飲料水の水質改善や水道水に含まれている塩素やトリハロメタンを削減する機能もあるようですよ。
炭を作るときに出る煙を冷やして取りだしたのが竹酢液です。
竹酢液にはかゆみの元となるヒスタミンが出てくるのを抑える作用があるポリフェノールが含まれています。そして微量含まれる酢酸は皮膚への浸透性を高くする作用があるといわれています。これらの成分が複合的に働いて竹酢液には殺菌、かゆみ止め、炎症を抑えるなど様々な作用があるようです。お風呂などに少したらして入るとお肌の清潔を保てるかもしれませんね。

次は農業利用の竹パウダーです。
竹を専用の粉砕器で粉状にしたものを密封しておくと乳酸菌が増え、このパウダーで土壌改良をおこなうとミミズや微生物の発生を促して野菜美味しく育ち、収穫量も上がるという効果が報告されているということです。私たちも家庭用ゴミのコンポストに使えばこの微生物たちが生ゴミの分解を促進させたり、消臭にも一役買ってくれるっていうことでしょうか。
最後に竹でてきたタオルをご紹介します。
あの堅い竹から柔らかい繊維がとれるのです。ちょっと驚きませんか?
原料は竹100%。このタオルには竹のタオルには抗菌、消臭の他に静電気が起きにくいことと温熱効果があるということです。これが他にはない竹繊維がもつ特徴だそうです。ですから医療用のガーゼにも使われているそうですよ。
なめらかな肌触りで私たちの心と体をやさしくあたたかく包む、癒しの繊維なのかもしれませんね。


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