日本人が出演するハリウッド映画で筆者の印象に残っているのはリドリー・スコット監督作「ブラックレイン」(1989年)です。

 主役のマイケル・ダグラス、アンディ・ガルシアなどハリウッドの大物俳優と肩を並べ出演した高倉健さんと故・松田優作さんは主役を喰うほどの圧倒的な存在感を放っていましたね。大阪を舞台にした映画なので他にも大勢の日本人俳優が出演していましたが意外な人物が出演していました…ヤクザ役で出演していたガッツ石松さんです。ガッツ石松さんは山田隆夫さん出演の「太陽の帝国」にも日本兵役として出演しています。ちなみにガッツ石松さんはボクサー引退後、俳優に転身したのは、映画で憧れの高倉健さんと共演しできるかもしれないから、という理由だったそうです。見事夢は叶ったのですね。

 そしてリドリー・スコット監督といえば、現在「ブレードランナー」(1982年)の続編制作に着手したのでは、と世界中で注目を集めています。実は「ブレードランナー」の、あの混沌としたビジュアルは、リドリー・スコット監督が日本に来日した際、新宿駅周辺から高層ビル群を眺めた時の心象風景がベースになっている…と言われているそう。確かに怪しい日本語を話す蕎麦屋の大将も出てきますね。また続編も日本を感じるビジュアルとなるのでしょうか。そして、ひょっとしたら日本人俳優も起用されるかもしれませんね!?

●そして今やハリウッド映画に欠かせない存在の渡辺謙さん

 現在公開中の、日本の樹海・青木ヶ原を舞台にした作品「追憶の森」。渡辺謙さんがアカデミー賞受賞俳優・マシュー・マコノヒーと共演しています。今やハリウッドでの地位を不動にした渡辺謙さん、映画だけにとどまらずブロードウェイにも進出しましたね。真田広之さん、菊地凛子さんなど、もうハリウッドを拠点に活動する俳優たちも出てきました。

 今やアカデミー賞始め海外の主要映画祭が開催される際には、日本人俳優がノミネートされたり、日本作品がノミネートされたり、毎年殆ど日本関連の話題が飛び込んでくるように。現在開催中のカンヌ映画祭でも「追憶の森」もコンペティション部門で正式上映されるそうです。

 かつては、ハリウッド映画に出てくる日本人といえば、オードリー・ヘップバーン主演の「ティファニーで朝食を」(1961年)の中に出てくるような、いわゆる外国人から見た「謎の東洋人」的な役ばかりでしたが、やっと映画の中に自然に存在する役に日本人が抜擢されるように。

 これから公開される作品にも日本人がますます増えていくと良いですね。