盲導犬ができることって、こんなにたくさんあるのね !! 4月27日は 「国際盲導犬の日」。

2016/04/27 18:30

毎年4月の第4水曜日は、国際盲導犬の日です。1989年4月12日水曜日に国際盲導犬学校連盟が発足したのを記念して制定されました。現在日本では約1000頭の盲導犬が活躍しています(厚労省調べ)。街の中で盲導犬に出会ったことがある人も多いのではないでしょうか。そんな盲導犬ですが、ユーザーを目的地まで連れていく以外にも、さまざまなことができるのです。

訓練中。
訓練中。
ユーザーは、ハーネスの動きを手で感知して周囲の状況を知る。ハーネスをしている盲導犬には話しかけない。 盲導犬が背中に背負っているのは、ハーネスといいます。コの字型またはU字型で、色は白または黄色。金属性で、プラスチックのようにふわりと軽いものではありません。 ユーザーはたいていの場合、左手でハーネスを持ち、その動きを通じて、盲導犬の動きを感じ取ります。たとえば、段差を通るとき、ハーネスが少し上を向いて止まると、そこには、昇らなければならない段差があります。反対に、ハーネスが少し下を向いて止まると、そこには、下りの段差があるなどがわかります。また、ハーネスが少し左を向いて止まると、左側に角があるとか、ハーネスの進み具合が少しゆっくりになると、障害物が多い通りなのかもしれないなど、ユーザーはハーネスに伝わる感触で道路の状況を知り、安全に歩くことができます。 盲導犬は、家にいるときや、トイレのときはハーネスをはずしていますが、ハーネスをつけているときは、お仕事中です。たとえ、ユーザーの足元に伏せてくつろいでいるように見えるときでも、話しかけてはいけません。
ハーネスをつけているときはお仕事中。
ハーネスをつけているときはお仕事中。
命令語は約30種類。ほとんどを英語で指示します。 盲導犬に対して命令する言葉は、ほとんどが英語です。日本語だと、たとえば「待て」という命令をするときに、「待っててね」、「待っていなさい」、「待つんだよ」など、老若男女で表現がバラバラになってしまいがちです。それに比べて英語は、待っていてほしいときは、「wait(ウェイト)」と一語で明確に言い表すことができます。 通行に関する命令語は、「ゴー(進め)」、「ライト(右へ)」、「レフト(左へ)」、「ストレート(まっすぐ)」、「バック(戻れ)」、「ストップ(止まれ)」など。人間だと、「次、右に曲がって」と急に言われると、「あれ、右はどっちだっけ…」と、一瞬戸惑う人もたまにいますが、盲導犬は右も左も迷いません。命令通り、すぐに反応します。 盲導犬をほめるときは「グッド」と言います。反対に、叱るときは「ノー」と言います。これは叱る以外に、盲導犬が間違った判断をしたときなどにも使います。 そのほかには、「シット(座れ)」、「ウェイト(待て)」、「カム(来い)」、「ダウン(伏せ)」、「ステイ(長く待て)」など。このくらいだと、ある程度訓練した家庭犬でも、できそうですね。 盲導犬ならではの命令語は、たとえば「ドアー(出入り口を示せ)」。盲導犬は「ドアー」と命令されたら、出入り口を探し、見つけたドアノブに鼻先を向けて静止します。鼻の先を垂直にたどれば、ユーザーはドアのノブに手をかけることができます。「オーケー(命令の解除)」の命令で、静止した姿勢をやめます。 ユーザーが物を落としたときなどは、「フェッチ(拾え、または持ってこい)」と命令します。落としたものが鍵や財布など、ユーザーにとってはとても大事なものである場合も多く、重要な命令です。口にくわえて拾ってきたものを放させるときは、「アウト(出せ、または放せ)」と命令します。 「チェアー(椅子)」という命令をされたら、盲導犬は空席を探します。電車の中などで空席があると、盲導犬はそこに頭を乗せて、ユーザーに座れることを知らせます。ユーザーがそこに座ると、「ダウン(伏せ)」の命令で、ユーザーの足元に伏せの姿勢をします。訓練中、盲導犬は椅子がよくわからず、椅子になりそうなちょっとした台や棚などに頭を乗せることもあるそうです。しかし、不思議と、ユーザーがとても座れそうもないような高すぎる台や低すぎる台に頭を乗せることはありません。盲導犬はどうやって、ユーザーが座るのに最適な高さを把握しているのでしょうね。
日本語の命令語もあります。命令に従わない「利口な不服従」もできます。 盲導犬は道路や通路の左側を歩くように訓練されています。しかし、何らかの理由で道の中央を通ってしまうときもあります。そんなときユーザーは、「よって」と日本語で命令します。すると盲導犬は道路の左側面に寄って歩きます。また、駅で「キップ」と日本語で命令すると、券売機の場所までユーザーを誘導します。 人間に従順な盲導犬ですが、ユーザーの命令に従わないときもあります。たとえ「ゴー」という命令が出ても、車や自転車などが近づいてきたり、道に大きな溝があるなど、そのまま進むと明らかに危険なときは、あえて命令に従わず、そこを動きません。これを「利口な不服従」といいます。この、「利口な不服従」ができてはじめて盲導犬は、ユーザーの安全のために行動できる能力を1つ覚えたといえるのです。 盲導犬候補として生まれた子犬は生後2カ月まで母犬や兄弟姉妹とともに暮らします。2カ月から1歳までの10カ月間は、パピーウォーカーの家庭で、愛情をいっぱいそそがれて育ちます。1歳になると基本訓練が始まります。半年ほどの基本訓練が終わると最終テストがありますが、合格できるのは全体の3~4割だそうです。テストに合格したら、実際の使用者と共同訓練が始まります。使用者は4週間、盲導犬とともに訓練所で合宿し、街中での歩行訓練や排泄・給餌などの犬の世話についてを学習します。こうして卒業した盲導犬は、約10歳になるまで盲導犬として活躍します。引退後は、引退犬飼育のボランティアなどに引き取られます。1頭の子犬が盲導犬になり、寿命を終えるまでには、実に多くの人たちが関わっているのですね。 視覚障がい者が1人で道を歩くとき、白い杖を頼りにしている場合は、段差や障害物などをいちいち確かめながら進むので、そんなに速いスピードで歩くことはできません。それに比べ、盲導犬とともに歩く場合は、私たちが普通に歩く速度で、しかも、段差や障害物を盲導犬が教えてくれるので、一つ一つを気にせずに歩くことができるそうです。 視覚障がい者にとって大切なパートナーである盲導犬。盲導犬を利用したいと考えている視覚障がい者の方々に、1頭でも多くの盲導犬が貸与されることを、切に願わずにはいられません。

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