竹の旬と書いて「筍(たけのこ)」。旬は「一旬」「上旬」「中旬」というように約10日ほどの期間を表す言葉で、成長が早く10日ぐらいで竹になってしまうことからこの字が当てられました。特に夜中に親竹から水分や栄養分などを吸収し、早朝一気に成長します。このため、瑞々しく、風味が強く、香りも良い良質な筍を入手するために、朝掘りは夜明けと同時に掘り始めます。
筍の水煮は年中手に入りますが、掘りたての筍はえぐみが少なく、その香味、食感は、まさにこの時期ならではです。筍の種類によって、旬が異なります。

筍(たけのこ)発見!筍掘りなんて風流ですね
筍(たけのこ)発見!筍掘りなんて風流ですね

様々に美味しい筍。孟宗竹(もうそうちく)・真竹(まだけ)・淡竹(はちく)の違いご存知ですか?

現在では、孟宗竹のものが多く流通していますが、十八世紀ごろに琉球経由で渡来した孟宗竹の栽植が進むまでは、日本で筍といえば、真竹か淡竹だったそうです。いずれもほりたてを食すのがよく、時間がたつにつれて味が落ち、かたくなってしまいます。掘りたてでなければ灰や米ぬかで茹でてあく抜きをしてから調理します。
掘りたてを食すチャンスのある時期はそれぞれいつでしょうか?
見分け方とともに見ていきましょう。
◆孟宗竹(もうそうちく)
通常は3月中旬から4月にかけてが旬。直径18cm、高さ22mになる大型種です。節には環が1つあり、節間が比較的短く、材質部は厚いです。 建築や農漁業用資材として利用されていますが、弾力性にやや欠けるため、かごなどを編むには向きません。産地で有名なのは福岡、鹿児島、本、京都。京都洛西一帯のものは、柔らかく香り高いといわれています。また福岡では北九州の「合馬(おうま)たけのこ」が有名で、12月中旬頃から出荷が始まります。
春一番に芽を出す孟宗竹の筍は、ほのかに甘い独特の旨味があり、「春の味覚の王者」と言われています。

◆真竹(まだけ)
日本古来の筍。直径15cm、高さ20mになる大型種です。アクが強く苦味もあり苦竹ともいわれますが、味が良い「筍」です。掘りたてはえぐみがほとんどなく、刺身でも食べられます。節には環が2つあり、節間が長く、材質部は薄いです。弾力性があるなど優れた材質をもつため、建築資材や竹細工などの工芸に利用されています。また、竹の皮には黒褐色の斑点があり、無毛できれいな皮なので、食料品等の包装に使われてきました。

◆淡竹(はちく):
孟宗竹の筍が終わったあとに出回りますが、一般に市場に出回ることは少ないようです。5月の連休頃でしょうか?
寒さに強く、北海道南部にも分布しています。直径3~10㎝で細長く、味は淡白で、アクが少ないです。皮は赤紫色で地表に出てから収穫されます。成長した竹は、節には環が2つあり、細く割りやすいという材質から、茶筅(せん)などの茶道用具に利用されています。
孟宗竹の筍とは違い、地面を掘る事はありません。孟宗竹の場合は地下茎が深く、タケノコが地面から顔を出してしまうとエグミが出始めるので、顔を出す前を探し出し掘って採ります。だから「筍掘り」と言います。
それに対し、淡竹(ハチク)は地下茎が浅く、すぐに地面に出てきます。地面から30cm~40cm位までの物を採ります。その際、地面より下の地下茎に繋がっている部分はとても固くて食べられません。
◆根曲がり竹:【番外編】
千島笹(ちしまざさ)、姫竹、地竹、とも呼ばれています。小型で細長く、茎が根元で湾曲しています。5~6月が旬ですが、水煮で出回ることが多いです

茶色いビロードのような孟宗竹(もうそうちく)
茶色いビロードのような孟宗竹(もうそうちく)
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