本日4月4日からは、二十四節気「清明」。日本全国は桜でおおわれ、野山に花が咲き、草木もぐんぐん伸びてきています。さあ、でかけてみませんか?うららかな春風に誘われて、戸外へ、陽だまりの中へ…

●天地がすがすがしく明るい気に満ちる時節「清明」

各地で桜が満開を迎え、季節はまさに春爛漫!
二十四節気では、本日4月4日から「清明」となりました。
「清明」とは、旧暦(太陰太陽暦)3月節 (3月前半) のことで、天文学的には太陽の黄経が15度に達したとき。
南東の暖かい風が吹くこのころ、天地がすがすがしく明るい空気に満ちることから、「清浄明潔」を語源とし、「清明」との名がついたとか。
「万物ここに至って皆潔斎(けっさい)なり」と称されるように、地上では新緑が次々と芽吹き、花が開花し、燦々と降り注ぐ春の陽差しに、すべての命がきらきらと輝く季節です。

●満開の桜の足元にも小さな草花たちが咲いています

雲のように、霞のように、うららかと咲く桜花。あでやかに咲き誇る春の主役の足元にも、可憐な草花たちが、眩しい陽光の温もりに、うなづくように花開いています。
陽だまりに咲く紫色のすみれたち。おひさまみたいに明るいたんぽぽ。ちっちゃなちっちゃな青い花、おおいぬのふぐり。
ふたつの花が仲良く咲くにりんそう。鉄道の開通とともに全国に広まったことから別名・鉄道草とも呼ばれる、ひめじょおん。黄色い小さい花は、うまごやし。
田植え前のたんぼを埋め尽くしていた、れんげそうで花輪を作って冠やネックレスにしたり。
小さなスイートピーのようなマメ科の花、からすのえんどうの莢の部分を唇に当ててプープーと、笛のように吹いたり。なずなを摘んだら、茎に連なるハートみたいな形の果実をちょっと引っ張り降ろして、くるくる回して、ペンペンと鳴る音に耳を澄ましてみたり。ぎしぎしの茎を食べてみたり。
誰が教えてくれたのか、春の野遊びは幼い日のしあわせな記憶。
この時季、小さな野の花を見かけると、あんなふうにのんびりと春を遊んだなと、子供のころのことを思い起こす人も多いのではないでしょうか。

●身近な山菜「土筆(つくし)」、つくしんぼ

春のあぜ道や土手に、つんつんと頭を出してくる土筆。
春の摘み草として、山菜のなかでも歴史がふるいものとして、昔から親しまれています。
土筆は、スギナの地下茎から出てくる胞子茎(または胞子穂、胞子体)。別名も多く、つくしんぼう、うまのさとう、さとうぐさ、つぎぐさ、つぎまつ、きつねのたばこ、へびのまくらと、地方によってさまざま。土手でよく見かけるのは、よく根を張るスギナが土砂崩れを防ぐ効果があることから植えられているためなのかもしれません。
土筆をたくさん摘んだら、薄茶色の「袴(はかま)」と呼ばれる茶色で輪状の葉を脱がせてあく抜きを。
卵とじ、ごまあえ、佃煮、三杯酢あえ、つくし飯…
ほろ苦く、柔らかく、ほのかに香る春の味・土筆。最近ではだんだんと珍しいものと感じられ、なかなか味わえないものになってきているのは、少し残念な気もします。

この春は、いつもより少しだけ心にゆとりを持って、野辺や山へ足をのばして春を摘んでみたい。都会の片隅にも咲く小さな花を、ちょっとだけ目線を落として、そっと優しく愛でてみたい。
――暖かい陽だまりのなか、ふとそんな想いにかられる「清明」の頃となりました。