上社の御柱には「めでどこ」というV字の角のような梃子棒がついており、その上に氏子が乗るため不安定で横倒しになることも。一方の下社は、上社よりも20mほど距離が長いため、こちらもまた命懸け……。

 そんな壮絶な木落としの後に、上社ではさらに「川越し」という過酷な道のりをたどります。約40mある川幅を雪解け水の冷たさの中、氏子たちは必死の形相で渡るのです。過酷で危険な状況を目の前にしつつも、「男見るなら7年一度 諏訪の木落とし 坂落とし」とうたわれるほど、諏訪の男性にとって山出しは「誇り」と言えるでしょう。

身も凍える冷たさの中の「川越し」も試練です
身も凍える冷たさの中の「川越し」も試練です

●華麗なるお披露目の場「里曳き」

 5月になり、ようやく御柱がそれぞれの宮へ向かいます。それが「里曳き」です。

 4月の木落としの力強く、迫力がみなぎる雰囲気とは一変。里曳きは華やかな晴れの舞台といった美しさに包まれます。里曳きでは、宮司が先頭に立ち、御柱の警護に当たる騎馬行列、そのまわりを鮮やかに彩る花笠踊りや龍神の舞。宮までの道中をたくさんの人々に見守られながら御柱は進んでいきます。

 そして、御柱祭のフィナーレ「建御柱」で各境内に御柱が建てられます。

── 危険をも顧みない豪快さと、祭りらしいきらびやかさを兼ね備えた御柱祭。

7年に一度しか見ることのできない祭ゆえ、4月の山出しも、5月の里曳きも、その醍醐味は現地で実感したいもの。日程をチェックして、ぜひ体感しに行ってみてはいかがでしょうか?