潮干狩りの新たな主役!? 二枚貝界の謎の新顔「ホンビノス貝」がスゴかった!

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ホタテ、ハマグリ、アサリ、シジミ。二枚貝にもい... (18:30)tenki.jp

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春から初夏にかけての身近なレジャーと言えば、お花見やバーベキューなどと並んで定番なのが潮干狩り。特に子供たちにとっては、砂遊びももちろん、カニやヤドカリやサルエビ、ウミウシやエイ、ヒトデ、ハゼなどなど、図鑑か水族館でしか見ることのないような海生生物を身近に観察できるのも楽しみで、家族レジャーに最適。 ところで近年そんな潮干狩り界隈で、二枚貝のニューウェーブ「ホンビノス貝」がにわかに脚光をあびているらしいのです。でもホンビノス貝って一体なにものなのでしょう。 本場アメリカのクラムチャウダーといえばこれ! 太平洋を渡ってきた美味いヤツ けったいでちょっとケミカルな響きのある「ホンビノス」。最近あちこちのスーパーにも出回るようになりました。いっとき「白はまぐり」「大アサリ」などの名がつけられていたこともあり、ますます正体不明、聞いたことのないようなどこかの怪しい国で作られた妙な養殖貝なんじゃ? と思われるむきもあるようです。 でもこの名前の「ビノス」とは英語つづりにすると venusで、ヴィーナス属という二枚貝の属名(その後属の変更がおこなわれ、ホンビノス貝はメルケナリア属に)から来ています。「ホン」は「ホンマグロ」などと同じ「本」ですね。けっしておかしな新種ではなく、北アメリカでは自然繁殖しているもっともポピュラーな二枚貝。 アメリカの東海岸の郷土料理、クラムチャウダーは実はこのホンビノス貝を使うのが本場流。そのほかバターいためやワイン蒸しでも食され、身の柔らかい小ぶりのものはホースラディッシュソースやレモンを絞って生食されたりもするほど、アメリカ人には親しみのある食材。英語ではhard clamといいます。 日本では、千葉県の幕張浜で1998年に初めて発見されました。どうやら貿易船のバラスト水に稚貝がまぎれこみ、そのまま繁殖したようで、旺盛な生命力で瞬く間に東京湾内奥で数を増やしてきました。 干潟の埋め立てや生活排水の汚濁で、東京湾では早くにハマグリが絶滅し、近年ではアサリヤバカガイも減少してきていた頃、大量に取れるホンビノス貝が徐々に注目され始め、流通が拡大してきました。現在では船橋、市川などの湾奥だけではなく、富津・木更津・横浜・横須賀などの東京湾の中央部や南部の潮干狩り場でも、お台場の人工海浜でも見つかるようになったという話も。また愛知や大阪の海岸でも繁殖が確認されるようになっているようです。 青潮にも負けない驚異の生命力・在来種とも共存・しかも美味しく通年獲れる!! さて、外来種と言うと在来の生物と競合して生態系を荒らしてしまう、という懸念がつきもの。 でもこのホンビノス貝、アサリ類とは好んで住む場所が異なり、アサリが砂地を好むのに対して泥地を好むために「現時点で生態系への影響は確認されていない」(船橋市農水産課)といわれています。 都市部の海である東京湾奥にたびたび発生する青潮(海の貧酸素化)により、アサリなど他の貝類への被害が深刻になるなかで、青潮が1週間続いても生き延びられるのだとか。 はっきりとしたことはわかっていないのですが、殺されたりしない限り普通に50年以上、100歳200歳も生きられる長寿でもあります。そういえば、アイスランドで発見された近縁のアイスランド貝(クロホンビノス)は、年齢を調べたら507歳だった、ということもありました。日本にホンビノス貝が定着したのはせいぜい20年くらいですから、そんな長寿貝は今のところいないでしょうが、いずれ生き延びて100歳200歳になる個体が出てくるかもしれませんね。 現在ホンビノス貝を漁獲している本場は船橋・市川にまたがる三番瀬近辺。船橋漁協が漁獲高を調べ始めた2007年度の漁獲高は190トン、2013年度には560トンにまで増加しています。しかもこれが一年中漁獲できると言うからすごい繁殖力。 そんなホンビノスの本場ともいえる船橋では、ホンビノス貝を使ったさまざまなグルメも生まれています。駅から徒歩約10分の場所にあるピザ屋「コンパーレ・コマーレ」では、ホンビノス貝を使ったピザやパスタ、ソテーなどを提供しています。またラーメンのダシ、具としてホンビノス貝を使用するお店も。2015年 ラーメンwalker 千葉版で、地元船橋の「URA963」で提供されるホンビノスラーメンが県内三位の栄冠に輝きました。ホンビノス貝の食材としての優秀さをあらわしているのではないでしょうか。 また、ららぽーとや船橋IKEAのすぐ目と鼻の先、船橋港には「三番瀬みなとや」という直売所があり、ここでホンビノス貝を買うことができます。今年三月のお値段で1袋(700g)500円(税込)と、ハマグリと比べるとぐっとリーズナブル。ソテーや酒蒸し、ボンゴレなどで召し上がってみてはいかがでしょう。 どこで見分ける? 潮干狩りで取れる貝の種類を見分けるポイント ところで、潮干狩りで取れる二枚貝にはさまざまありますが、特に二枚貝はどれもよく似ているしその見分け方はけっこうむずかしいもの。 貝は成長しますから、大きさだけではアサリとハマグリすら混同してしまいます。そこでおおざっぱに見分けられるポイントをご紹介します。 上から見たときに殻頂(貝をつなぐちょうつがいのあるもっとも分厚く高くなった部分)を中心に A.ほぼ左右対称のおにぎり形がハマグリ類、バカガイ(青柳)、ホンビノス貝、シオフキガイ、オキアサリ。 B.左右非対称で片方にぐっと伸びた形の場合がアサリ、オキシジミ、サルボウガイ。 C.長方形の形ならばマテガイ。 Aのうち、殻の表面がツルツルしており、殻頂から放射状の模様がなく、殻が固いものがハマグリ類。ちなみにハマグリは、在来種はハマグリとチョウセンハマグリとがあります。ハマグリはかつては日本各地の穏やかな内湾に生息していましたが、熊本県の一部を除いてほぼ絶滅してしまいました。チョウセンハマグリは、「チョウセン」の名はついていますが日本の在来種で、波の荒い外洋に住んでいます。現在潮干狩りで取れるハマグリはこれで、とても味がよく、海鮮網焼きのスターですね。また殻は白の碁石の材料となります。 ハマグリではほとんど目立たない放射状の模様や線があり、殻が薄いものがバカガイです。青柳として、寿司ネタになるおいしい貝ですが、砂抜きがむずかしいといわれています。やり方は暗所に置くのではなく、沸騰したお湯に放り込んでから殻をむき、身をしごくように砂抜きします。 シオフキガイも同様に砂抜きが難しい貝。大きさはアサリほどですがもっところっと丸っこく、左右対称の三角形で模様はほとんどありません。 オキアサリも左右対称で形や模様はハマグリに近く、大きさはアサリに近い貝。小さいハマグリと間違えやすいので迷ったら詳しい人に聞いてみましょう。 そしてホンビノス貝はハマグリより大きくなりますが、殻には成長線(年輪のような波紋の模様)がほかの貝よりはっきりと刻まれ、目立つのが特徴です。また、ハマグリよりも全体の形が円に近い形です。泥地に住むので砂と言うより泥を吐きます。生命力の強い貝ですのでゆっくりと泥抜きをさせたあと、外で一日日干しにします。 Bのうち、アサリは殻の表面がざらざらとしていて、さまざまなバリエーションの模様があります。 サルボウガイはアカガイの仲間です。形や大きさはアサリに似ますが殻は白っぽく、放射状のはっきりとした溝が刻まれていて見分けるのは比較的簡単。 オキシジミは黒っぽく、アサリよりこぶり。砂抜きのむずかしい貝ですがいいダシが出ます。 Cのマテガイは麻雀の点棒そっくりの形と覚えておけば見間違えることはないでしょう。 潮干狩りに行くと思いのほか楽しくてハイテンションになってしまうもの。お出かけの際には貝殻などで足を怪我しないよう長靴で、日差しが強くなるので必ず帽子を被って楽しみましょう。おいしい貝をたくさんゲットしてくださいね。

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