本日2月19日は、二十四節気「雨水」。立春から数えてちょうど15日目にあたり、降り積もった雪や、水辺を覆っていた氷が溶けて水となり、空から舞降りる雪が雨に変わるころとなります。七十二候では「土脉潤起(つちのしょう うるおい おこる)」。眠りについていた大地が、まもなく目覚め、潤い始めようとしています。

空から舞い降りる雪が、雨へ変わるころ……

山や北国の里を覆っていた雪や氷が解け、再び姿を現した大地や水の流れに、春の近さを感じる時節となりました。
本日迎える二十四節気「雨水」は、昔から農耕の準備を始める目安とされる日。江戸時代に刊行された暦便覧にも「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり」と記され、雪や氷が解け、雨や水となるころをいいます。
天から舞い降りる雪がみぞれに。みぞれが雨になれば、春の訪れ。昔も今も、春先に降る雨は、人々が待ち望む暖かい季節の到来を告げる恵みの雨なのですね。
(雪国ではもう少し先のことかもしれませんが)そんな春先に降る雨…「春雨(はるさめ)」が、少しぬるんだ空気を帯びながらしとしとと降るころを迎えます。けぶるように降る一雨ごとに、緑が芽吹き、花の蕾がふくらんでいくのです。

春一番も吹きました。モコモコふわふわの柳もちらほら

春先のお天気はとてもきまぐれで、暖かい日があったかと思えば一転冷え込んだり。お天気だったり、雨や雪が降ったり。寒暖の差ゆえに、雨がみぞれに変わったり、雪がみぞれに変わったりすることもありますね。
急激に暖かさが増した先日は、春一番(はるいちばん)が吹きました。春一番は、その年の立春から春分までの間に最初に吹く、強い南寄りの風のこと。通常は日本海で低気圧が発達することによって生じる風であるため、ときに海難事故やなだれ、突風などを起こす春の嵐。(決して優しい春風などではなく)警戒の意味合いもあり「春一番」と呼ばれているのです。
そんな暖かさのなか、春を告げる植物の一つ、ふわふわモコモコかわいい「猫柳」の花穂も出てきています。
河川の土手などに自生するこの猫柳、なめらかで美しい毛で覆われた花穂がまるでネコのしっぽのようだと、この名がつけられたとか。次々と芽を出し、かぶっていた殻をやぶってモコモコ出てくるさまを見ていると、なんだかいとおしさすら感じるほど。
このモコモコの花穂から(雄株の場合)雄花、(雌株の場合は)雌花が出てくるのを観察するのも面白い植物です。

雨水の初候は、「土脉潤起(つちのしょう うるおい おこる)」

さて、「雨水」の七十二候・初候は、「土脉潤起(つちのしょう うるおい おこる)」。「脉」とは「脈」のことで、雨が降って土が湿り気を含み、脈打つように土がゆるんで、その下からさまざまな植物が芽を出しはじめるころ。雪が解け、さらに雨が降ってぬかるんだ道に、土の匂いがほのかに漂ってきます。
べちゃべちゃ、ねちょねちょ、そんな泥を踏む感触も、今はなかなか都会では体験できませんが、潤んで柔らかくなった土の中で眠っていた虫たちも次第に目を覚まします。
そうそう、「雨水」は、お雛様を出すのによしとされているようですから、縁起をかつぐならぜひ本日中に飾ってみてはいかがでしょう。春本番、3月3日の桃の節句まで、あと2週間となりました。