今年もバレンタイン・デーがやってきます! 海外では、愛する人同士が互いにプレゼントを贈り合うのが一般的とか。ところで、もし贈るカードに1文字しか書けないとしたら?・・・やっぱり「♡」かな、と思う方が多いのではないでしょうか。この「ハートマーク」、いったいいつ頃から愛を表現しているのでしょう。そして心臓との関係は?

乙女心をトキメかせる、ぷっくり形
乙女心をトキメかせる、ぷっくり形

ハート形は愛のしるし♡幸運のおまじない!

バレンタイン・シーズンの街には、ハート形が溢れています。それは愛のモチーフ。ハートマークは「心臓(heart)」を表すだけでなく、暮らしの中で人の感情を伝える特別な記号のようです。
「愛してる♡」という恋愛トークにとどまらず、「食べてみたら、とってもジューシー♡」「今日はお花見♡」等々、女子のポジティブな興奮に文末のハートマークは欠かせません。ハートマーク使用ゼロの女性誌を見つけるのは至難の業。さらに、「どうぞよろしくお願いいたします♡」などと、相手に好感をもっていることを示す社交文字でもあります。万一 絵文字から消えるようなことがあれば、女子メール界は大混乱必至!!なのです。
ハートマークを目にして「これは不吉の前兆だ・・・」と思う人は、おそらくいないでしょう。私たちはいつでも幸運の象徴として 好ましくハート形を見つめてきました。葉っぱや動物の斑(ぶち)模様など、自然界で発見されたハート形の「ラッキーアイテム」は、ニュースにさえなりますね。バレンタインのチョコやケーキにハート形が選ばれるのも、好意とともに相手の幸運を願う気持ちの表れに他なりません。

お散歩でみつけたラッキーさん
お散歩でみつけたラッキーさん

ドキドキするのはハート(心臓)で恋しているから!?

「心」を表すハートマークは、17世紀に(歴史の教科書でおなじみの)『聖フランシスコ・ザビエル像』に代表される南蛮美術によって日本に伝来したといわれています。メラメラ燃える真っ赤なハートを大事そうに抱いて、キリストを見上げているザビエルさん。ハートが神を熱烈に愛する心(心臓)だということは一目瞭然! 見えないはずの心は、まるで幽体離脱したかのように人体からスーッと抜け出して、皆がわかる「記号」となっていたのです。
体内でドキドキと鼓動し全身に血液を送り出す心臓は、古代から特別な臓器として扱われていたようです。ハート形のふたつの山は、右心室と左心室。昔は、人間の心は(脳ではなく)心臓が司っていると考えられていました。「心臓(heart)」=「心」だから、心がドキドキする「恋愛」をハートマークで表すようになったのでしょうか。さらに、恋愛を超えた「無償の愛」さえも司るのが心臓でした。
ハートマークは心と直結! たとえば割れたハートなら、失恋の痛手(現代でも、精神的なダメージを「ハートが砕け散る」「心が折れる」などと表現しますね)、キューピッドの矢が当たったら、恋のはじまりです。
一説には、ハートは女性そのものの象徴とも(たしかにハートマークって逆さの可愛いお尻みたいです)。西洋画でよく見かけるキューピッドの矢がハートを射抜いている図は、男性(矢)が女性を射止めた「恋愛成就」の瞬間だともいわれています。女性が知らず知らずのうちにハート形のモノに引き寄せられてしまうのは、自分の分身だからなのかもしれませんね。

燃える心を表現!!
燃える心を表現!!

日本古来のハートマークって? 各地にレア♡スポットも!

日本の伝統的な文様に、『猪目(いのめ)』というハート形の模様があります(イノシシの目はハート形と認識されていたのですね)。なんと古墳時代にはすでにあったといわれ、現在も刀剣などの飾り文様や、『懸魚(げぎょ)』という神社仏閣の建築装飾に魔除けも兼ねて用いられています。日本人は、古来から「おめでたい形(吉祥図案)」としてハートマークに親しんでいたのです。
いま、お店では期間限定でピザやハンバーグなどがハート形に変身したりと、バレンタイングルメも充実しています。神奈川県横浜市の『カップヌードルミュージアム』 では、「手作り体験」のチキンラーメンが 2月だけ いつもの丸形からハート形に変身!※ また、広島県の宮島には、お店では買えないハートモチーフのもみじ饅頭を通年作れるスポット※が話題です。仲良しの人と一緒に手作り体験するにもぴったりの時季ですね。
伊豆箱根鉄道には「ハート形の吊り革」があり、「つかまると恋愛運がアップする」と口コミで評判となっています。じつは、つかまろうにも遭遇率は約2000分の1という、まさに「有り難い」ハートなのでした。
島・湖・岩石・樹木・花・畑・道路・・・訪れると幸せになれると伝わる「ハート形」は、世界各地にあります。目にした人を、ちょっと嬉しくする形。週末は 小さなハート♡を探しにおでかけしてみませんか。
(※リンク先で詳細をチェックしてからおでかけください)

猪目(いのめ)模様
猪目(いのめ)模様