立春を迎え、寒さの中にも春の気配が樹木の枝先に見え隠れする頃となりました。そろそろお雛様を飾りたいものです。女子の健やかな成長をこめて飾るお雛様。せっかくなら、縁起の良い日に飾りたいもの…大安にする?それとも他に縁起の良い日があるの? …などの素朴な疑問を一緒に紐解いてみましょう。

木目込みの雛人形
木目込みの雛人形

女子の幸せを願う雛人形、さらなる縁起かつぎ?

雛人形は元来、人型の紙で体を撫で、穢れを払い水に流すことから始まり、その後幾度か形を変えて江戸時代以降平安時代の宮廷を模した飾り雛に女子の幸せに願いを込めるようになりました。大切なお雛様ですから、飾る時もできるだけ縁起をかつぎたくなるのが人情です。では、いつ飾るのが一番良いのでしょうか?
大きく分けて、一般的に縁起の良い「大安説」は立春の後最初の大安に飾るとされています。それに対し二十四節気「雨水説」は、良縁に恵まれると言われています。しまうのに良いのが同じく二十四節気「啓蟄」となり、雨水に飾り、啓蟄にしまうのが縁起が良いようですね。ちなみに、今年の雨水は2月19日、啓蟄は3月6日です。

今も残る、流し雛の行事
今も残る、流し雛の行事

男雛と女雛、どちらを右手に飾りますか?

日取りが決まったら、次は飾り方が気になりますね。とくに、男雛と女雛の左右の位置は迷うことが多いのではないでしょうか? これには、時代と地域が密接に影響しているとか…。
まず、古来日本では宮廷文化の影響により、左上位とされていました。そのため男雛が左(向って右手)、女雛が右(向って左)に並べていました。これを京都雛と呼びます。対して、明治の文明開化の影響を受けた西洋化に伴い、大正天皇の御即位の際に天皇が西洋風に倣って、右(向って左)にお立ちになったのを境に現代の男女の並び方となり、天皇家が関東に居を移した後に始まったので関東雛と呼ばれています。

京雛(きょうびな)
京雛(きょうびな)

現代ならではの、雛飾りもいろいろあります!

和室の少なくなった現代日本ですが、やはりお雛様を飾りたい! そんな時に便利な現代ならではのお雛様をご紹介しましょう。
まずは、昔からある小さなお雛様に「土鈴(どれい)」の雛人形があります。こちらは、手のひらに収まるサイズからあり、ちょっとした空間に飾ることができる優れものです。また、土鈴は魔除けでもあり、雛人形本来の意味としても効果的ですね。
その他に、ガラス細工や陶磁器など、インテリアとしても楽しめます。また、和洋問わず、お菓子をかたどったお雛様も様々あり、こちらは目も舌も楽しめますね。
小さな女の子も、大人になったかつての女の子も、さらなる幸せを願い雛飾りをなさいますように…。

土鈴の雛人形
土鈴の雛人形