2016年は2月8日が「春節(しゅんせつ)」です。
春節とは中国の三大節句(春節・端午節・中秋節)のひとつで、旧暦の元旦(旧正月)のこと。旧暦のため、春節の期日は年によって変わりますが、毎年おおむね1月半ば~2月半ばの期間となります。
中国では新暦の正月(新正月)よりも春節を盛大に祝う習慣があり、年が明けると獅子舞や龍舞とともに爆竹を打ち鳴らし、今年1年の無病息災と五穀豊穣を祈ります。
日本のお正月とはひと味違う、中国のさまざまな春節の風習をご紹介しましょう。

威勢のいい爆竹の音とともに、春節を華やかに盛り上げる中国獅子舞
威勢のいい爆竹の音とともに、春節を華やかに盛り上げる中国獅子舞

年越し餃子を食べて金運アップ!

日本で年越しといえば「年越しそば」ですが、中国の東北地方では大晦日に家族そろって「年越し餃子(更歳餃子)」をたくさん作り、水餃子にして食べます。
餃子の中には縁起を担ぐいろいろな具が混ざっていて、自分が食べた餃子に入っていた具で1年の金運や健康運を占うという、ちょっと楽しい食べ方もあるそうです。
餃子のあの独特な形状は、中国の昔のお金「元宝」の形がルーツといわれています。
そうしたことから、春節やお祝いの席で餃子を食べて「金運に恵まれますように」と縁起を担ぐ習慣が広まりました。
ちなみに、中国では米と同様に小麦も主食と考えていますので、餃子を食べる時はご飯や麺類を食べません(皮や麺に小麦粉を使っているから)。そのかわり、餃子を一人でいっぺんに30~40個もたいらげるそうです。
ですから、日本で定番人気の「餃子ライス」や「ラーメン&餃子」というメニューは、中国では「主食+主食」なので本当はありえないとか……。

中国の昔のお金「元宝」をかたどった縁起置物。確かに餃子っぽい
中国の昔のお金「元宝」をかたどった縁起置物。確かに餃子っぽい

吉祥を祈願する春節の飾り物

中国には実に多くの吉祥シンボルがあり、縁起にかかわる物事や事象が、身のまわりの品々や生活の中に深く浸透しています。
同様に、春節の行事や飾り物にも、新しい年の吉祥を祈願する縁起物がいろいろと使われています。
【爆竹】
春節や店舗開店などを祝って盛大に焚かれる爆竹は、中国ならではの風習としてよく知られています。爆竹には魔除けの意味があり、その昔、竹を割って火に投げ入れ、災禍をもたらす怪獣を追い払ったという伝説から、厄を払う縁起物として用いられるようになりました。
【赤い提灯】
中国の多くの家庭では、春節から旧暦正月15日の「元宵節(げんしょうせつ)」にかけて、赤い色の大きな提灯(灯籠)を灯します。大きな提灯は「繁栄と幸運」を意味し、赤は「福を招く最高におめでたい色」とされています。
【金柑の木】
中国で日本の門松に当たるのが金柑の木です。たくさんの実を付けた金柑の木を、家の玄関やベランダ、店頭などに飾り、木の枝には「紅包(ホンパオ)」という赤いご祝儀袋を下げます。中国語で「金柑」は「金桔」と書ますが、金は「財」、桔は「吉」を意味することから、金柑は「吉祥と富をもたらす縁起のいい木」とされています。
【逆さの「福」の文字】
中国の昔からの風習で、部屋のドアや壁に「福」の文字を逆さにして貼ります。中国語で逆さを意味する「到(いたる)」とかけて、逆さにすると「天から福が落ちてくる、福にいたる」となるわけです。

街の中にも「逆さ福」の文字をあしらった飾りが
街の中にも「逆さ福」の文字をあしらった飾りが

中国の小正月「元宵節」

春節から15日目の「元宵節」は上元節・灯籠節とも呼ばれ、旧暦新年最初の満月の日にあたります。
この日は街中に提灯や灯籠を灯して、元宵団子と呼ばれる餡入りの団子を食べるのが昔ながらの風習となっています。
各地では元宵節を祝う提灯祭りや獅子舞などのイベントも行われ、15日間にわたる春節期間の行事はこの日をもって終了します。
── この中国ならではの華やかな春節は、ここ日本でも体験することができます。
来週2月8日(月)~2月22日(月)の春節期間中、横浜や神戸、長崎の中華街では、春節をお祝いする多彩なイベントが開催されます。
ぜひこの機会に中華街へ足を運んで、今年2回目のお正月気分を味わってみてはいかがでしょう

街中を鮮やかに彩る提灯や灯籠
街中を鮮やかに彩る提灯や灯籠