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『あさが来た』のモデル、広岡浅子の最後のメッセージは?

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NHKの連続テレビ小説『あさが来た』のヒロイン・あさの実在モデル、広岡浅子は1919(大正8)年1月、70歳でその生涯に幕を下ろしました。生前から浅子は「普段から言っていることが遺言」だとして、特に最後の言葉を残しませんでした。しかし、臨終2日前に語ったという言葉が、当時の雑誌に記されていました。改めて、浅子自身が残した言葉から、時代を見通した先見の明を振り返りましょう。

ワーキングプアよりも、起業家たれ?

生前の浅子が女性の働き方について説く内容は、とてもシビアです。「日本の現状で大変なところは経済である。富を得ることが必要であり、富を得るには、倹約よりも生産事業を起こすことが必要である」と、1911年の一般誌で浅子は語っています。
婦人も大いに働け。しかし単に単純労働者となるのではなく、起業家や経営者となるべきであり、その利益を社会貢献に用いよ。こんな言葉を、100年前の1911年に発信しているのですから、本当にびっくりぽんです。
1911年といえば、「元始女性は太陽であった」の文を掲げた、日本で最初の女流文芸同人誌「青鞜」が創刊されています。しかし前年に大逆事件、日韓併合、そしてこの年には中国で辛亥革命が勃発と、国内外は揺れ動いていました。

国債を返済する方法は?浅子の質問にどう答える?

さて、現在の国債の額について、またその返済方法について、わたしたちは即答できるでしょうか。残念ながら、成人女子の全員が答えられる設問だとは、なかなか言い難いですね。
しかし浅子は、1908年に日本女子大学の同窓会誌で、「今日、我が国に20億円の国債があることは誰でも知っているでしょうが、それを返済する方法について、あなた方の中で答えられる人がいるでしょうか。」と問いかけています。当時、日本は日露戦争のための国債発行で、財政が悪化していました。
浅子は、家庭は重大な社会国家の要素であり、だからこそ一家の主婦の責任は重い、と語ります。「台所のことばかり考えて家の中にくすぶっていないで、着眼点を大きくすべきです。」とは、主婦をはじめ、女たちにはなんとも耳の痛いメッセージです。
ちなみに財務省のホームページでは、平成27年度末の公債残高は、約807兆円 (見込み)と発表されています。

婦人よ覚醒せよ、そして永久の平和を

遺言を残さなかった浅子ですが、臨終の2日前に語った言葉は、もはや家庭や事業の範疇を越えた地球規模のものでした。
浅子は当時の日米間の感情を危惧し、問題は、中国に対する日本の態度にあることを指摘しています。日本は中国に対して高利貸しのようにふるまい、土地や資源を我が物にしようと焦っている。恥ずべき行為だ、と容赦ありません。
「反省もなくこのまま我利の念が増長したら、とうてい米国は黙っていない。人類の敵だ、民本主義の敵だと言って、我が国に向かって最後の手段に訴えるかもしれない」。予言のように、1919年の浅子は語ったのです。そして米国のもつ人道主義を讃え、隣国中国と「愛をもって互いに支え合う」ことを提唱しています。
以前には「平和事業は、女子の手によってはじめて完全なものとなる」と語っていた浅子は、最後のメッセージをこう締め括ります。「剣に依らざるこの働きには、婦人と男子をあえて選ぶところはないのです。私は、日中間をはじめ、日米間にも永久の平和が結ばれるようにと祈って止みません」。

ドラマで私たちを元気づけてくれるヒロインの実像は、100年後の私達に、大いなる宿題を残してくれたようです。
参考文献:
『超訳 広岡浅子自伝』KADOKAWA/中経出版 (2015/8/27)


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