初春の季語「初芝居(はつしばい)」~今年は歌舞伎をもっと楽しみませんか?

2016/01/07 11:00

松の内も今日まで、とはいえ今月いっぱいはお正月気分を味わいたいですね。「初芝居(はつしばい)」はそんな気分を盛り上げてくれること請け合いです。 今年の歌舞伎界は、狂言作家・河竹黙阿弥生誕200年に加え、五代目中村雀右衛門、四代目中村鴈治郎、八代目中村芝翫と、三つの襲名披露が控えている特別な一年となります。 季語「初芝居(はつしばい)」を紐解きながら、今年の歌舞伎についてお話ししましょう。

役者絵と正月風景
役者絵と正月風景
「初芝居(はつしばい)」~季語と芝居 お正月は「初」がつく言葉がたくさんありますね。初日の出・初夢・初詣…いかにも新年らしさを感じさせる言葉たちです。これらはすべて季語になります。「初芝居(はつしばい)」もその一つです。 「初芝居」とは、歌舞伎を代表とする、正月に上演される芝居興行の総称です。同じ意味の季語に、「春芝居(はるしばい)」、「初曾我(はつそが)」*があります。 上方(京都・大阪)では、旧暦11月の「吉例顔見世歌舞伎」に続いての興行であったことから「二の替り(にのかわり)」とも呼ばれています。顔見世の次に上演される二番目のお芝居ですよ、という意味です。 上方では、しばらくの間新年は歌舞伎の上演がなかったのですが、現在は、大阪松竹座で「壽 初春大歌舞伎」が上演されるようになりました。 *初曾我…別れ別れになっていた兄弟が再会を果たす「曾我対面」をはじめとした曾我狂言の演目。
大阪松竹座 昨年の風景
大阪松竹座 昨年の風景
劇場全体で新年を寿ぐ「氣」が満載! 新年の劇場の内外には、正月飾りがほどこされ、観客も振袖や訪問着の晴れ着をまとった女性をはじめ、ロビーや客席も華やかになります。演目も晴れやかな出し物が選ばれます。 よく演じられる「三番叟(さんばそう)」は、能楽の「翁(おきな)」に由来します。「翁」は能楽の演目の中で奉納の一曲目(最初)に、祝賀の意味をこめて演じられる演目です。歌舞伎では「式三番叟(しきさんばそう)が定番ですが、ほかにも「二人三番叟」、「廓三番叟」などいろいろな演出がある人気の演目です。今年は歌舞伎座で「廓三番叟」が演じられます。 見どころは、演目だけではありません。「歌舞伎は役者で観よ」というくらい、同じ演目でも演じる役者によってその芝居は違うものになるのが歌舞伎の面白さの一つです。 今年は、国立劇場・歌舞伎座・新橋演舞場・浅草公会堂(以上東京)、大阪松竹座と、多くの劇場で様々な役者さんの演技を見ることができます。
タイプ別お薦め「初芝居」 ・伝統的な芝居が観たい方 →歌舞伎座…玉三郎・吉右衛門・幸四郎という円熟の役者から染五郎・孝太郎・児太郎の若手花形役者が幅広い演目を披露します。(26日まで) →国立劇場…菊五郎・菊之助親子と中村時蔵を中心に、生誕200年の歌舞伎作家・河竹黙阿弥の作品を通し狂言で堪能できます。 (27日まで) ・知っている顔ぶれが観たい方 →大阪松竹座…テレビでお馴染みの片岡愛之助・市川中車(香川照之)を中心に、歌舞伎十八番から落語を題材とした作品まで、親しみやすい演目が揃っています。 (26日まで) →新橋演舞場…市川海老蔵さん・中村獅童さんを中心に「しらざぁ、言って聞かせやしょう~」と江戸の粋魅せてくれます。 →浅草公会堂…尾上松也さん、中村隼人さん、そして今年橋之助を襲名する中村国生さんのフレッシュな顔ぶれと近くの浅草寺への初詣も楽しみの一つです。 いかがですか?ぜひ、この機会にお気に入りの役者さんを見つけて、歌舞伎の醍醐味(だいごみ)を感じていただけたらと思います。 ≪参考≫ 歌舞伎美人サイト 松竹株式会社 国立劇場サイト 日本 俳句歳時記「新年」 角川学芸出版編
歌舞伎座の正月風景
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