初夢って、いつ見る夢のこと? 枕の下に入れると良い「回文」とは

2016/01/02 11:00

明けましておめでとうございます。昨夜は夢をごらんになりましたか? 『初夢』の定義は、除夜〜正月3日の明け方まで、さらには「その年最初に見た夢が初夢」など、諸説あるようです。なぜこんなにモヤモヤした設定になったのでしょう? そして、「一富士二鷹三なすび」には続きがあるのをご存じでしょうか。初夢をみちびく「縁起の良い回文」とは?

2016年の朝がきましたよ!
2016年の朝がきましたよ!
大晦日の夜は「夢を見るの禁止」!? 『初夢』と聞いて、いつ見る夢を思われるでしょう。 室町時代には、当時の仕事始めである「2日の夜」に見る夢をさしていたそうです。現代では会社によって日が違うし、年中無休のお店も多いですよね。そんな世情もあってか、今は日にち指定しないで「その年に初めて見た夢が初夢」と考える人も多いようです。 『初夢』は「新年のある夜に見る夢」。古くから、この夢の内容で1年の吉凶を占う風習がありました。 けれど、昔はそもそも一年の始まりがいつか?という時点で意見が分かれていたようです。室町時代の京都付近では「節分の夜から翌日の立春(←1年の始まり)の明け方にかけて」見るのが『初夢』とされていました。江戸時代になると、1月1日をもって新年とする考え方が主流に・・・ところが、すんなりと「除夜の夢が初夢」とは統一されなかったのです。なぜなら、その頃多くの日本人は夢を見ることなく元旦を迎えたから! 大晦日の晩は、五穀豊穣の神でもある「年神様」が、あらゆるものに年をとらせに山から下りてくると考えられていました。1年サイクルで命がめぐる農作物。「ねん(年)」とは、作物の「みのり」を表す「稔(ねん)」だったのですね。 人々は各地で、神社に集まって『年籠り』したり 自分の家で待機して新年を待ちました。年神様を迎えるためには徹夜必須で、もし寝ると、早く年をとって白髪になるとかシワが寄るなどといわれ(現代美容とは逆の発想です)、若者や子供は社寺で夜明かし。つまり、除夜は夢を見てはいけない夜だったのです。そこで「元日の夜」に見る夢を『初夢』としたのですね。
誰も寝てはならぬ〜〜〜
誰も寝てはならぬ〜〜〜
「七福神」を枕に! そしてこの回文を♪ なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな この「回文和歌」は、初夢のおまじないでした。「長き夜の 遠の睡(ねむ)りの 皆目醒(めざ)め 波乗り船の 音の良きかな」。解釈はいくつかあるようですが、縁起物としてなら「夜に波音をたてて進む船が 時を忘れてしまうほど心地よくて つい目覚めてしまうなあ」というイメージでしょうか。 正月2日(地方によっては3日)の夜、この歌が書かれた七福神の『宝船』の絵を枕の下に置き、歌を3度読んで寝ると吉夢を見られるという風習がありました。江戸では正月早々から歌入りの絵を売り歩く『宝船売り』の声が行き交ったといいます。悪い夢を見てしまったときは、『夢流し』といって、翌朝川に絵を流せばOKでした(このことから、宝船は本来悪夢をのせて彼方に流し去るために描かれたものでは、とも考えられるそうです)。さらに、悪夢を食べてくれるという伝説の動物『獏(バク。サルではありません)』の文字を、船の帆や紙の裏側に書いたりもしました。 お正月の心は、ちょっとした興奮状態。幸せな思い出グッズや好きな人の写真などを枕にしのばせて寝たら、ふだんとは違った楽しい夢が見られるかもしれませんよ。
古い図案には、空の宝船に『獏』とだけ書かれたものも!
古い図案には、空の宝船に『獏』とだけ書かれたものも!
一富士二鷹三なすび。その続きは葬式? 初夢に見ると縁起が良いものを表すことわざ「一富士二鷹三茄子(いちふじ にたか さんなすび)」。四以降については、地域によっていくつか存在し、由来も諸説あるようです。 ・四扇(しおうぎ、よんせん)→「一富士」と同様、子孫や商売が末広がりに繁栄! ・五煙草(多波姑)(ごたばこ)→「二鷹」と同様、運気が鷹や煙のごとく上昇! ・六座頭(ろくざとう)→「三なすび」と同様、怪我なく(毛がなく)家内安全! この他、地域によっては金運をもたらすといわれる「雪隠・便所・糞」、たぶん『逆夢』としての「葬式・葬礼」「火事」なども登場します。もし「不吉な夢」を見てしまったら? 午前中のうちに人に夢の内容を話してしまうと「話す=離す、放す」となり、その夢は実現しないのだそうです。江戸っ子のように「逆夢でぇ」と笑い飛ばすか、バクにむしゃむしゃと食べてもらうのもよい方法かもしれません。 今夜は縁起の良い夢を見てぐっすり眠り、一年の鋭気を養いたいですね!<参考> 『年中行事事典』田中宣一・宮田登・編(三省堂) 『おうち歳時記』三浦康子・監修(朝日新聞出版) 『浮世絵に見る江戸の歳時記』佐藤要人・監修(河出書房新社)
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