古い年を除き、新しい年を迎える「除夜」。年越しの宵、鐘の音や炎に思いを馳せて 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

古い年を除き、新しい年を迎える「除夜」。年越しの宵、鐘の音や炎に思いを馳せて

このエントリーをはてなブックマークに追加

1915年もいよいよ本日が最終日。一年最後の日、大晦日(おおみそか)となりました。今年一年、みなさまはどんな一年をお過ごしでしたでしょうか。そして来年は、いったいどのような一年になるのでしょうか。一年の締めくくりでもあり、新年の始まりでもある大晦日。夜ともなれば、古い年を除き、新しい年を迎える「除夜」となります。百八つ撞(つ)かれる除夜の鐘、炎の神事など、各地で行われる年越しについて綴ります。

「除夜」とは大晦日の夜のこと。昔は一晩中起きていた新年のはじまりでもあります

いよいよ今年もあと少し。新年を迎えるための大掃除やおせち作り、お正月飾りのラストスパートで忙しい方も多いと思います。
本日「大晦日」は、一年の総締めくくりの日。
古くは日没を一日の境と考えていたことから、大晦日の夜「除夜」は新年の始まりでもあり、年神様をお迎えするお祭りの夜でした。
午前零時で一日が終わるという考え方になったのは、現代の時刻制度が広まってからのことで、それ以前の庶民の一日の終点とは、日没時だったのでしょう。
「除夜」又は「年越し」の夜は、神社では一年の穢れをはらう大祓えが行われ、寺院では「除夜の鐘」を撞(つ)きます。
各家庭でもこの夜は大切な家のお祭りとして、心身を清め、一晩中眠らず起きている風習がありました。早く寝ると白髪になるとか、しわがよるといった俗説もあったようです。
年越しには蕎麦を食べる習慣は今でも一般的ですが(江戸時代・元禄期に始まったとか)、年取り膳としておせちを大晦日の夜からいただく地方も東北には残っているそうです。
結婚した相手の実家へ行って、大晦日からおせちを食べることにびっくり。なんていうことも、今でも時折耳にしますね。

百八打の「除夜の鐘」。その数は、一年の表象あるいは、人の煩悩の数

旧年と新年の境目の今宵。カウントダウンパーティなどを楽しむ方もいらっしゃると思いますが、やはり、「除夜の鐘」を聴きつつ、ゆく年と来る年に思いを馳せる方も多いことでしょう。
「除夜の鐘」とは、大晦日の深夜0時をはさんで、寺院で撞かれる鐘のこと。ちょうど日付けが変わり新しい年になるときを、荘厳な鐘の音色とともに迎えるのです。
寺院が多い京都や鎌倉などでは、あちらこちらの大小様々なお寺からいっせいに鐘の音が響き合い、しんと鎮まる町ごと人々の魂まで浄化してくれるよう。鐘撞きに参加できるところも多数あるので、近隣の寺院へ参詣するのもいいですね。
京都「知恩院」の梵鐘(ぼんしょう)は、親綱1人・子綱16人の計17人の僧侶による独特な鐘鐘きで名高い冬の風物詩。毎年約3万人の人々が集う除夜の鐘は、今年も午後10時40分頃からはじまり、1分程度の間隔で百八打の鐘が撞かれます。
さて、除夜の鐘が鳴る108という数ですが、1年の12カ月・二十四節気・七十二候を合わせた数とも、人間の煩悩の数とも言われています。
大晦日の深夜にゴーン、ゴーンと深く、胸の奥へじんわり滲みわたる鐘の音。
その一つ一つに過ぎ去った歳月への思いが巡り、一つ一つが自らを悩ませてきた煩悩を鎮めてくれるような…。耳を澄まし心で聴けば、そんなことを厳粛な響きが感じさせてくれるかもしれません。

「白朮(をけら)まいり」や「松例祭(歳夜祭)」など、各地の神社では炎の神事が

一方各地の神社の大晦日には大祓えのほか、古来神聖とされた火にまつわるお祭りも行われています。
その代表の一つが、京都「八坂神社」の「白朮(をけら)まいり」。古式のままに火鑽杵(ひきりきね)・火鑽臼(ひきりうす)で鑽(き)り出した御神火は、大晦日12月31日の夜7時ころから行われる除夜祭が終わった後、境内も設けられた「白朮火授与所」の「をけら灯籠」に移されます。その火を求めて参拝者は集まり、竹の繊維でできた「吉兆縄」と呼ばれる細い火縄に「をけら火」をうけて、家に持ち帰るというもの。途中火が消えないように、ぐるぐる振り回しながら持ち帰るのもコツがいるようです。
「白朮(をけら)」とは、山野に生える生薬。健胃薬としても用いられ、正月の屠蘇散にも含まれています。(この邪気払いの薬草・をけらを焚いた)「おけら火」を火種にしたお雑煮を食べると、年中無病息災でいられるそうです。
所変わって山形県庄内地方では、出羽三山神社にて「松例祭(歳夜祭)」が行われます。これは、災厄の象徴として恙虫(ツツガムシ)をかたどった2本の大松明(たいまつ)が雪上を疾走する祭り。
「位上方」と「先途方」とに分かれ、2者の優劣や遅速等、競争の形をとり進められるこの祭りの詳細は、“3年見ないとわからない"と言われるほど複雑多岐。「位上方」が勝てば豊作、「先途方」が勝てば豊漁とされる、1400年の歴史をもつ修験の山・羽黒山ならではの勇壮な冬の火祭りです。

年越し明けの朝は、ぜひ清々しいご来光を拝んで。初日の出の時刻をチェックしてお出掛けください

――飛ぶように過ぎ去った一年、これから始まる未来の一年。
過去と未来にしみじみ思いを馳せる大晦日。
大晦日から元旦にかけての除夜は、家族をはじめ身近で大切な人たちと過ごす、掛け替えのないときでもありますね。年越しの蕎麦をともに食し、除夜の鐘を聴いた後は、連れ立って寺社へ初詣へ行く方も多いことでしょう。
しらじらと除夜が明けるころ、清々しくのぼってくる初日の出を拝みにいくのもいいもの。初日の出のスポットは全国いろいろですが、山間部や離島を除き、平地で日本一日の出が早いのは千葉県銚子の犬吠埼で6時46分だとか。
以下当サイトの記事を参照のうえぜひ暖かくしてお出掛けくださいね。
2016年初日の出時刻表
http://www.tenki.jp/newyear/

どうか来る新年が、皆様にとってより幸多き年になりますように。
よい年をお迎えください。

●参考&出典/年中行事読本(創元社)


トップにもどる tenki.jpサプリ記事一覧


続きを読む


関連記事関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい