夜、外を歩いていると鼻先がツーンとする、冷たい空気を感じるようになりました。今年の流星群のフィナーレを飾る「ふたご座流星群」が夜空を舞います。今年の観測は10年に一度の好条件だとか…。その美しさを冬の星にまつわる季語とともにお伝えします。

天鵞絨(びろーど)の空に輝く凍て星の流れ

一月のしぶんぎ座流星群、八月のペルセウス座流星群、そして、十二月のふたご座流星群は「三大流星群」と呼ばれ、流星群を代表する格付けになっています。そして、一年の最後の月・十二月の凍空(いてぞら)を舞う「ふたご座流星群」は、まさに流星群の「オオトリ」と言えるでしょう。冬の冷たい大気が作る、天鵞絨(びろーど)のような漆黒の凍空に、四方八方へと飛び交う流星たち…そう、冬の夜空は星にとって最高の舞台なのです。
そろそろ今年一年を振り返り、やって来る新たな年に思いをはせる頃ですね。帰り道でも、空気の入れ替えに窓を開けた時でも、夜空の舞に目を向けてはいかがでしょうか?
*季語 「凍空(いてぞら)」…澄み渡った空の鋭さを表わす冬の季語。凍星・凍雲などの季語もある。

極大日以外にも観測しやすいのは…?

冬の晴れた星空はなんとも言えない透明感です。そのせいでしょうか、極大日以外にも観測しやすいのが「ふたご座流星群」おすすめの理由の一つとなっております。極大日は14日~15日未明ですが、16日くらいまでが比較的観測しやすく、20日くらいまで出現しています。まさに冬の星空はサービス精神が旺盛ですね。
ここ数日の天気予報によると、地域により夜空のご機嫌がまちまちのようですが、極大日に観測できなくても、しばらくはあきらめずに観測してみる価値ありです。今年最後の流星群、寒さ対策万全で観測してみてくださいね。
そして、流星群以外にも楽しみな星々に目を向けると…。

冬の大三角・秋の四辺形・夏の大三角が勢ぞろい

12月中旬の空は季節に寛大です。日が沈む頃、西の空低い位置には夏の大三角が姿をのぞかせ、東の空に冬の大三角が見え始めるかと思うと、天頂には秋の星座が…まるで星のパーティーのような景色ですね。
一等星も、流星群の母体となるふたご座のポロックス、その少し上にぎょしゃ座のカペラ、オリオン座のペテルギウスなどがきらめきを放ち、天頂にはアンドロメダ座が、その下にはカシオペアが臨めます。アンドロメダの左側にぼんやりとした楕円形が見えたら、それはアンドロメダ銀河です。地球から230万光年離れた肉眼で見える最も遠い存在が見えたらうれしいですね。
*季語「冬銀河」…冬の星空全体および、漆黒の空に浮かぶ銀河と天体の総称。
≪参考≫
国立天文台ホームページ
俳句歳時記「冬」 第四版 角川学芸出版編