冬はミカンの季節ですね。ところで、ミカンをまるごと焼いて食べるととても美味しいのをご存じでしょうか。生で食べるより味も栄養も凝縮されて、免疫力もアップ! これからの季節、つらい冷えの改善や風邪予防にもピッタリなんです。

ミカンを甘くする秘策?
ミカンを甘くする秘策?

みかんを焼いて食べる人は意外と多いようです

電子レンジがまだ普及していなかった頃、祖母はストーブの上にいろいろのっけて焼いていました。残りご飯のおにぎり、おもち、にんにく、さつまいも・・・その中には当然ミカンも。「え〜っあったかいミカン?!」と眉をひそめる方がいらっしゃるかもしれません。
ところが意外にも、日本全国には「焼きミカン」を普通に食している地域がけっこうあるようです。ある調査では「焼きミカンを食べている・いた・県内で食べていると聞いた」人の割合は、本州だとだいたい3人にひとりくらい、東北や九州にはなんと8割以上という県も! しかも焼きミカン専用の調理鍋(陶器の壷)までが市販されているのです。
昔は、酸っぱいミカンを甘くする目的で焼いたり、寒さで凍ったミカンを溶かす目的で焼いたりしていたともいいます。また、香川県の白鳥神社『おみかん焼き』のように、1年間使ったお守りや古い神具類を燃やした火で焼いたミカンを食べて来年の無病息災を祈るなどの神事もおこなわれています。風邪封じとして焼きミカンを参拝客に配るお寺や神社もあるそうです。
ところで、みなさまのご家庭では 焼きミカン、召し上がっていますか?

なんと皮が黒こげのパンパンになってしまいます!
なんと皮が黒こげのパンパンになってしまいます!

まるごと焼くだけ! ホクホク甘くて体が芯から暖まる〜♪

焼きミカンの作り方はとってもカンタン。まるごとオーブントースターにポンと入れて、焼き目がつくまで5〜10分程度加熱するだけ。アルミホイルを敷いて、網やフライパンで焼いてもOKです。皮は真っ黒になってパンパンに膨れますが、中身は焦げません。あらかじめ50℃くらいのお湯に1分ほど浸けて拭きとってから焼くと、黒くない皮の部分も食べられます。無農薬ミカンなら、なお安心ですね。
お箸でちょちょっと剥いて、熱いうちにハフハフいただきましょう!
焼いたミカンは甘みが凝縮され、ジューシーでホクホクした食感がやみつきに。しかもミカンなのになぜか「焼きイモの匂い」がするから不思議です。これはいったいどういうこと??と 調べてみると、焼きイモの香気成分には主に2つの要素があるらしいことがわかりました。
そのひとつは、『メイラード反応生成物』という「甘焦げ」香の要素となる成分。加熱するうちに生成されて、食べ物は甘い匂いとともに(焦げて)褐色に変化していきます。
そしてもうひとつが『テルペン』という成分なのですが、これがなんとハーブやバラ、そして柑橘類の特徴香と共通しているのだそうです(焼きイモの方が「ミカン臭」だったとは!)。ちなみに芋焼酎のさわやかな香りは、このテルペンが要素になっているそうです。
焼きイモの匂いを嗅ぐと、なんだか懐かしい和んだ気分になって癒されていた私たち。それがじつは柑橘系のアロマテラピー効果だったという可能性も?

ところが中身はとろける甘さ♪アツアツをお箸で召し上がれ
ところが中身はとろける甘さ♪アツアツをお箸で召し上がれ

冬の健康を支えます!「焼きミカンダイエット」もおすすめ

ミカンはビタミンCや食物繊維が豊富で、もともと冬の健康維持には欠かせない果物! ミカンに含まれる『β-クリプトキサンチン』は抗酸化力が強く、悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化や発ガンを予防する働きがあるとされます。果皮の内側の白い部分やスジには『ヘスペリジン』が含まれ、抗アレルギー作用や抗ウイルス作用、毛細血管を強くする作用などがあります。
焼きミカンにすると、実の甘みがぐーんと増して袋もスジも皮もすべて柔らかく食べやすくなるので、栄養成分をたくさん摂ることができるのですね。ミカンの皮は『陳皮』といって胃やノドの病気を改善する漢方薬としても用いられます。
焼きミカンは満腹感を得られるため、食べ過ぎを防止しダイエットにも向いています。食前か寝る少し前に、他の食物と一緒ではなく単独で食べるとよいそうです。体が暖まるので代謝が良くなりむくみが解消されることや、クエン酸が余分な脂肪を燃焼させることも相乗効果に!もちろん3食バランス良い食事を心がけましょう。
寒くて体が冷えた日は、いつものミカンにちょっと手を加えてホクホクの「焼きミカン」にしてみませんか。とくに風邪をひいたかな?と思ったら、お早めに。食欲のないときは熱い果汁を絞って飲むのもおすすめです。心身ともに暖めて、風邪を撃退しちゃいましょう。<参考資料>
『焼きいもの香り』 鹿児島大学名誉教授 長浜伴紀

ゆきみかん
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