七十二候「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」。姿を見せろと北風が言う 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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七十二候「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」。姿を見せろと北風が言う

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風が絨毯を広げます

風が絨毯を広げます

北風のイメージってこんな感じ

北風のイメージってこんな感じ

飛び立つ小鳥たち

飛び立つ小鳥たち

夜の紅葉狩り♪

夜の紅葉狩り♪

秋から冬にかけて降ったり止んだりする『時雨(しぐれ)』に似て、しきりに降り注ぐ落葉を『落葉時雨(おちばしぐれ)』と呼ぶそうです。明日から師走。『朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)』、北風が木の葉を散らす時季です。北風が強いと予報された日のおでかけは ちょっぴり憂鬱・・・北風も、歓迎されてないかも?という空気をどこかで感じながらやってくるのかもしれません。

太陽と勝負した北風の話

「天地の寒暖が逆になる」と歳時記には記されています。その意味ははっきりしませんが、いよいよ天候が厳しくなるこの時季、人々は火や電気を使って地上の暮らしを懸命に暖めはじめます。そんな本格的な冬がやってきたのですね。
北風と聞いて浮かぶのは、イソップ寓話『北風と太陽』。
「先に旅人のコートを脱がせたほうが勝ち」という勝負を太陽に持ちかけた北風。強力な冷たい息でコートを吹き飛ばそうとするも、旅人に前をしっかりかき合わせて抵抗され、作戦は失敗。かわって太陽が燦々と照らしたところ、旅人はホッとしたようにボタンをはずし、自分からコートを脱ぎました・・・というストーリーです。
「イソップ寓話」は口伝えで広まり、長い時間に内容や教訓が少しずつ変化してもいるようです。『北風と太陽』は、「乱暴に急いで結果を求めるよりも、穏便に対応した方が効果に結びつく」という教訓で知られています。加えて「北風は冷たく厳しい態度で相手を頑なにしてしまった。太陽のように暖かく優しい対応をすれば 相手が自分から行動してくれるのに」と、人の心理が読めなかった北風に冷たく厳しい評価も下されるのです。通りすがりの旅人からしてみれば、「風が強いので服を押さえていたが、急に暑くなったから脱いだ(なんなのこの天気)」という程度の話だったのでは?・・・いや、もしかしたら、奴隷の身分だったイソップとしては為政者から受ける待遇を鑑みて旅人を語ったのかもしれません。
一説によると、この話には前哨戦があり「旅人の帽子を脱がした方が勝ち」(旅人、また受難です) という内容だったとか。そのときは 北風がみごと帽子を吹き飛ばして勝利(旅人、太陽の陽射しがまぶしかったようです)。時にかなった勝負が大事なのですね。

金の鳥は機(はた)を織る

金色(こんじき)の ちひさき鳥のかたちして 銀杏ちるなり 夕日の岡に  ・与謝野晶子
イチョウの葉が、夕日に照らされて金色に輝きながら散っていきます。
与謝野晶子さんは、風に舞う葉っぱが小さな鳥に見えたのですね。そして大きな木は、むしろそれ自体が鳥のようではありませんか? 足元に絨毯を織りあげるように 羽を1枚ずつ落としていく、金の鳥。
その絨毯は、小さな生きものたちの冬の寝床にも宝物の隠し場所にもなります。次の命を育てる肥料ともなり、燃やされて人を暖めたりもします。持っていた温もりをすべて他人に譲り、自分は裸になって冬を迎える落葉樹たち。ありのままの鳥の姿が現れるのを手伝うように、北風が吹きつけます。北風と太陽が作る寒暖差によって美しく色づいた羽を散らしながら。

落ち葉をまとって歩く楽しみ

北風が来るときはいつも、生きものたちは隠れて寝ていたり、重い外套で着膨れて丸まっていたりと、まるで本来の姿をわざと見せないかのようでした。旅人が通りかかったとき、北風は「ちょっと脱いだところを見たいな」と思ったのかもしれません。だとしたら、太陽を勝たせたのは知恵のワザ? どちらにせよ、現代の服はおしゃれで薄手で保温性が高いので、脱がなくても北風にじゅうぶん活動的な姿を見てもらえますね!
秋の夜の 月の影こそ木の間より 落ち葉衣と身にうつりけれ  ・詠み人知らず(『後撰集』)
『落ち葉衣(おちばごろも)』とは、木の間を漏れる月光が 衣の上に葉の影を落として、落ち葉を散らしたように見えるもの。月の夜、落ち葉模様を服に映して歩くなんて、とても素敵ですね。いまはライトアップされた紅葉の名所も増えています。そして、落ち葉が散りかかった着物もまた、こう呼ばれるのです。
枝々がその姿を現す日はもうすぐ。金色や紅色が舞い散る中、ふわふわサコサコの絨毯の上を歩いていきませんか?


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