毎年12月3日に大祭が行われる秩父夜祭。
2日の宵宮、4日の流鏑馬も含め、秩父の一大行事として全国的にも知られています。
秩父夜祭といえば、京都・祇園祭、岐阜・高山祭と並び、日本三大曳山祭りの一つ。
勇壮な笠鉾・屋台の曳き廻しのほか、冬の夜空を彩る花火も観光客の注目の的!
ただ、古くから秩父夜祭にかかわってきた人々にとって、曳き廻しや花火が祭りのメインではないよう。
秩父夜祭のルーツを知ると、地元の人々が守り続けてきた祭りの意味がわかるはずです……。

屋台にぶら下がる提灯が美しい秩父夜祭
屋台にぶら下がる提灯が美しい秩父夜祭

秩父夜祭の起源はとてもロマンチック

秩父に着くと大きくそびえ立つ「武甲山」が見えてきます。この武甲山こそが秩父夜祭にゆかりのある場所なのです。
武甲山は「龍神様」と呼ばれる男の神様。一方、秩父神社には「妙見様」という女性の神様が祀られています。
言い伝えによると、龍神様と妙見様は相思相愛の関係でしたが、そのとき龍神様には正妻がいました。
それでも妙見様に会いたいと願う龍神様は正妻の許しを得て、毎年12月3日になると妙見様のもとへ行ったのだとか。
この伝説が秩父夜祭の起源と考えられています。

「龍神様」と呼ばれる武甲山
「龍神様」と呼ばれる武甲山

観光客に人気の笠鉾・屋台の曳き廻しと花火

秩父夜祭は3日間にわたり行われる壮大なお祭ですが、中でも人気なのが笠鉾・屋台の曳き廻しです。
屋台囃子を打ち鳴らしながら、笠鉾2基、屋台4基が街中を練り歩きます。
これらの笠鉾・屋台は国の重要有形民俗文化財にも指定されています。
昼は笠鉾・屋台の美しい装飾をじっくり見られますし、夜になればたくさんの提灯をぶら下げる姿がとても幻想的。
秩父夜祭だからこそ昼、夜2つの顔が楽しめるのです。
そして、もう一つ忘れてはいけないのが打ち上げ花火です。
この打ち上げ花火、何と2時間半も行われるというから驚き。
笠鉾・屋台の曳き廻しだけでももちろん豪華ですが、単独の花火大会並みの花火もついてくるスケールは秩父夜祭ならではですね。

最も重要な行事「神幸祭」

秩父夜祭といえば、これまでに紹介した笠鉾・屋台の曳き廻し、花火に目が行きがちですが、実は祭りの中で最も重要なのは「神幸祭」だといわれています。
最初に紹介した通り、この祭りは龍神様と妙見様が年に一度逢い引きをするための神事なのです。
その逢い引きをする場所が「お旅所」といわれる笠鉾・屋台の目的地。
そのため、神幸祭の行列が秩父神社を出発し、約1km離れたお旅所へ渡御するという、この一連の行事が秩父夜祭の中で最も意味があるものなのです。
── 笠鉾・屋台などの曳き廻しや花火といった祭りが12月に行われるのは、全国的にも珍しいケース。
冬の寒さを吹き飛ばす熱気の中、豪華絢爛な祭りを見つつ、神様の伝説を守り続ける秩父の人々の心意気を感じてみてはいかがでしょうか?
※秩父夜祭のアクセス等は、秩父市公式サイト「秩父観光なび」を参照してください(リンク先参照)

神幸祭スタートの場所、秩父神社
神幸祭スタートの場所、秩父神社