写真を見て目がハートになった人、一方で「オエッ」と思った人、……、
それくらい好き嫌いがはっきり分かれることで有名なハーブ、パクチー。
世界中で用いられ、日本では各国の料理が広まるとともに、それぞれの名で親しまれてきました。
日本名はコエンドロというそうですが、もはや現地名の方がわかりやすい野菜に。
最近ではスーパーでもよく見かけるようになった世界的香味野菜のブームに迫ります。

ベトナム料理の生春巻き(ゴイクン)にも使われます
ベトナム料理の生春巻き(ゴイクン)にも使われます

料理に欠かせないハーブ

エスニック料理に欠かせないといわれるハーブ。タイ語ではパクチー、中国語ではシャンツァイ、ベトナム語ではザウムイ、英語ではコリアンダー、スペイン語ではシラントロと呼ばれます。
セリ科の植物で、原産地は地中海もしくは東ヨーロッパ。
歴史は古く旧約聖書にも登場し、中世ヨーロッパでは薬草として使われていた記述が残っています。
(ここでは代表して「パクチー」と呼びます)
葉の部分は調味料やスープ、サラダ、肉料理、臭み消しにと、さまざまな用途に使われています。
実の部分は「コリアンダーシード」といい、カレーに必須のスパイス。
ヨーロッパや欧米では主に実を、アジアでは主に葉を使う傾向があります。

パクチーブーム到来!

そんなパクチーが最近ブームをみせています。
エスニック料理が日本に定着するにつれ、都内ではパクチー専門店が相次いでオープン、どこも予約で満席になるほど盛況だといいます。
メニューはエスニックに限らず創作料理あり、ビストロ風あり、フレンチとのコラボありのパクチー三昧。
パクチーアイスクリームまであって、見事にパクチーのオンパレードです。パクチーの大盛りやお代わり自由など、パクチー好き(=パクチストというそう)には、まさに天国ですね。
以前は特別な野菜として、一部の専門店で取り扱われていたパクチーですが、現在はスーパーなどで気軽に手に入るようになりました。パクチー好きにはうれしい限りです。
需要の伸びに伴って国内での生産量も増えつつあり、主に静岡、福岡、岡山などで栽培が盛んです。
パクチーの美味しさを広めようと、生産地によっては香りがマイルドなパクチーが開発されていますので、さらにファンが増えるかもしれません。

大嫌いなその香りがくせになるかも?

なかには、「あのニオイがどうしても受け付けられない」という人も多く、好き嫌いがはっきり分かれるのがパクチーの特徴でもあります。
でも、「その香りこそがクセになる」と称賛する声が多いのは事実。
この独特かつ鮮烈な香りは鼻腔の広がりを誘い、魚や肉の旨みをすっきりとした清涼感のある香りで引き立ててくれます。くさみを消し、美味しさとの相乗効果をもたらすのです。
そして、その魅力は香りや味だけではありません。
パクチーは栄養が豊富で、皮膚や目の粘膜などを健やかに保ち抗酸化作用があるβカロテンや、美肌効果のあるビタミンCが多く含まれています。アンチエイジングにぴったりですね。
その他、香りには食欲増進作用があり(あくまで好きな人にとって)、解毒作用や消化を促進する作用があると注目を浴びていますが、詳細はまだ解明されていないようです。

パクチーを栽培してみよう

パクチーの旬は通常、春から秋ですが、ほぼ通年出回っています。種から育てる一年草なので、鉢植えでも栽培することができます。好きな人はいつでも食べられるように栽培してみてはいかがでしょう。
種はそのままでは発芽しにくいので、半分に割ってから撒くのがコツ。パクチーは水が大好きなので水やりを怠らないように。夏にアブラムシがついたら、牛乳を水で薄めてスプレーすると効果的です。
葉を収穫すると次々に葉が出てきますので、使いたい分をどんどん収穫しましょう。
種を取りたい場合は収穫せずにおくと花が咲いて実ができます。これが「コリアンダーシード」。この実は葉とは違って、完熟すると柑橘類の香りがするため、香辛料としてお菓子の香りづけにも使われます。
エスニック料理では葉だけでなく茎や根も使うため、パクチーはスーパーエコな野菜でもあるのです。
パクチーといえば、今、ヒットしているのがパクチードレッシングです。
その美味しさに虜になる人が続出中!
パクチストは今後増え、パクチーはさらなる地位を築くのでしょうか。
じっくりと今後の推移を見守りたいところです。

強い香りを放つ新鮮な生のパクチー
強い香りを放つ新鮮な生のパクチー