今年で35回目を迎える「さっぽろホワイトイルミネーション」。
今日11月20日から、来年2月14日(会場により開催期間は異なります)の約3カ月にわたり、幻想的なイルミネーションが冬の札幌を彩ります。
今でこそ、札幌の人気イベントとして、全国からたくさんの観光客が訪れますが、ここまでの人気イベントになるまでには札幌ならではの工夫がありました。
雪に包まれる札幌だからこそのこだわりとは一体どんなものなのでしょうか?
さっぽろホワイトイルミネーションだから実現できる美しさの秘密とは?

テレビ塔から見る大通公園のイルミネーション。雪に映える幻想的な煌めき、美しいですね〜
テレビ塔から見る大通公園のイルミネーション。雪に映える幻想的な煌めき、美しいですね〜

人気がなかった冬の北海道

遡ること、1981年12月12日にスタートしたさっぽろホワイトイルミネーション。
当時は一般的に「旅行」といえば、長期の夏季休みを使った旅行が主流だったため、札幌をはじめとする雪深い北国は、旅先としてあまり人気がありませんでした。
さらに、若者の間でスノーボードが流行しただしたのは1990年以降。加えて、当時はスキーといえども、用品はまだまだ高価。1998年 開催の長野冬季オリンピックで、あらためて冬スポーツに注目が集まったという経緯がありました。
雪国・北海道に暮らす人々にとっても、冬の観光といえば2月の「さっぽろ雪まつり」くらい。
そこで、北海道の人たちは考えます。
「夏だけの観光地ではなく、通年で楽しんでもらえるようにできないだろうか……」と。
そんな中、大きなヒントとなったのが、世界的に抜群の注目度を誇るニューヨークのクリスマスツリー。
1~2月に札幌同様、厳しい寒さに見舞われるニューヨークと同じように独創的なイルミネーションイベントを開催すれば、雪景色をバックにきっと多くの人が札幌を訪れてくれるに違いない……。
そんな思いを込め、1981年にわずか1048個の電球でスタートしたのが、「さっぽろホワイトイルミネーション」なのです。

雪国らしさを生かしたイルミネーション

国内のイルミネーションイベントの先駆け的存在であるさっぽろホワイトイルミネーションですが、イルミネーションイベントを成功させるだけでも大きなチャレンジでした。
そこで札幌は、ニューヨークのイルミネーションを超える魅力あるイベントを目指し、世界的にも前例のないユニークかつ独自の、イルミネーションを作り出そうと考えたのです……。
そこでポイントとなったのが、「雪」「白」というキーワードでした。
ホワイトイルミネーションの名前の通り、雪に包まれることが多い冬の札幌の特徴を生かしたカラフルな電飾、または雪と同調した白にこだわった電飾など、雪の白さを意識したイルミネーションが、大きな特長となっています。
それまでは冬は寒く、観光のイメージがなかったところに、あえて雪の白さを生かした風景を作り出すことに成功したさっぽろホワイトイルミネーション。この試みが成功したかどうかは、いわずもがなですね。
今日では札幌を彩る風物詩となり、日本のみならず海外からも多くの観光客が訪れる一大イベントとして人気を博しています。

人気の撮影スポット「クリスタル・リバー」
人気の撮影スポット「クリスタル・リバー」

エコにも配慮した取り組み

2011年、東日本大震災の際、電力の供給に考慮し、さっぽろホワイトイルミネーションの開催が危ぶまれました。
しかし、驚くべきことに、大通会場では商用電力ゼロを達成し、無事イベント自体も成功させたのです。
現在、さっぽろホワイトイルミネーションでは、約45万個の電球が使われていますが、そのすべてが廃食油を使った「バイオディーゼル燃料発電」という方法を採用!
そうした取り組みが評価され、平成25年度には「北国の省エネ・新エネ大賞」(北海道経済産業局長表彰)を受賞。
イベント期間中は会場に廃油回収BOXが設置されていて、家庭で出た廃油もリサイクルされます。
環境にもしっかりと配慮して取り組んだイルミネーション。全国各地でこの時期開催されるイルミネーションイベントでも、ぜひ参考にしてもらいたいですね。
たった1048個の電球からスタートしたさっぽろホワイトイルミネーションは、日本初のイルミネーションイベントといわれていますが、パイオニアらしい独自性と工夫を凝らし、冬を代表する国内有数のイベントとなりました。
クリスマス前も、後もイルミネーションは行われているので、一足早く冬の光り輝く札幌を楽しんでみてはいかがでしょう。
※さっぽろホワイトイルミネーションの詳細は、公式HP参照(リンク先参照)