派手好きで華美な装飾を好んだと伝えられる秀吉は、花見のために700本もの桜の木を植え、三宝院の建物と庭園を造ったほど。約1300人が参加したという歴史的な花見として、いまに語り継がれてきました。

 そんな醍醐の花見の後に、秀吉が楽しみにしていたのが「醍醐の紅葉狩り」だったのです。

 しかし、秀吉は醍醐の紅葉狩りの夢を果たすことなく、その年の夏に62歳で生涯の幕を閉じました。醍醐寺といえば、弁天堂の水面に映える紅葉が象徴的。きっと秀吉の脳裏には、紅葉の時季の美しい醍醐寺の映像が広がっていたことでしょう。

●菅原道真を祀る学問の神様「北野天満宮」は今年注目のスポット

 学問の神様と呼ばれる菅原道真が祀られ、梅の名所として有名な「北野天満宮」。実はここ、隠れた紅葉の名所でもあるのです。

 ときは1951年。秀吉が水防のために築いた土塁「御土居」のもみじ苑には、なんと250本の鮮やかな紅葉が広がります。ここにも、美意識においてひとかどの人物であった秀吉が深くかかわっていたのですね。

 菅原道真といえば、『古今和歌集』のなかにこんな歌があります。〈このたびは 幣も取りあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに〉(今度の旅は急なことで道祖神に捧げる幣も用意できませんでした。手向山の紅葉を捧げるので神様お受け取りください)

 秀吉同様に、道真も紅葉の美しさをしっかり感じていたようですね。

── 「そうだ 京都、行こう。」……JR東海の今年のテレビCMにも登場している北野天満宮の紅葉。
11月14日~12月6日はライトアップも開催。昼から夜まで楽しむことができる注目スポットです。

ライトアップも美しい「北野天満宮」
ライトアップも美しい「北野天満宮」