かぼすとすだちの見分け方は? 「だいだい」はなぜ縁起物になった? 香酸柑橘の魅力に迫る

2015/10/26 16:30

「美味しそうな焼き色のついたさんまの塩焼きに、すだちをギュッと絞って」……、 「ゆずたっぷりのポン酢で、鍋ものを」……秋から冬にかけての料理には、柑橘類がよく使われますね。 ゆず、かぼす、すだち、だいだい……これらの柑橘類は、とても酸っぱくて、フルーツとして食べることはほとんどありません。主に香りや酸味を利用する、こうした柑橘類は「香酸柑橘」「酢みかん」などと呼ばれます。 料理の風味づけ、ジュースの原料など、意外と幅広い用途を持つ香酸柑橘。 その知られざる魅力に迫ります!

お吸い物の香りづけに、焼き魚や刺身に……古くから愛されてきた香酸柑橘(こうさんかんきつ)
お吸い物の香りづけに、焼き魚や刺身に……古くから愛されてきた香酸柑橘(こうさんかんきつ)
そもそも「香酸柑橘(こうさんかんきつ)」って何だろう? 一般的なみかん類とは違い、酸味が強くて生食にむかない柑橘類を「香酸柑橘(こうさんかんきつ)」といいますが、世界的に使われているものの代表格が「レモン」「ライム」ですね。 どちらも果物として食べることはまれで、料理に添えたり、果汁をしぼって調味料に加えたり、ジュースやドリンクの風味づけに使われます。 もちろんその他にも、数多くの香酸柑橘が存在します。 日本でも「ゆず」「かぼす」「すだち」「へべす」「だいだい」「シークワーサー」など、いろいろな香酸柑橘が栽培されています。 ゆず味噌、ゆず湯、ゆず胡椒。日本の暮らしに密着した香酸柑橘「ゆず」 「イズ」「イノス」「ユノス」などの別名もある「ゆず」。 中国の揚子江沿岸や雲南地方が原産とされ、日本には奈良時代には伝来したといわれます。 もともとは「柚」と呼ばれていたのが、酢のように酸っぱいことから「柚酢」、それが転じて「柚子」と表記されるようになったともいわれます。 栽培がしやすいのも、ゆずが多くの人に認知され、愛される理由のひとつ。 病害虫に強く、耐寒性が高いため、幅広い地域で栽培することができるのです。 ただし、種の発芽から実がなるまで長い年数がかかるので、「桃栗三年、柿八年」の続きとして「柚子の大馬鹿、十八年」といった言い方もあるそうですよ。
ゆず湯でまったりする「カピバラ」
ゆず湯でまったりする「カピバラ」
「かぼす」と「すだち」の違い、説明できますか? 主に大分県で栽培されている「かぼす」は、江戸時代に日本に伝来しました。 ゆずの近縁種で、当初は医薬品として栽培されていたのだそうです。 そのほとんどが徳島県で栽培されている「すだち」も、ゆずの近縁種。「酢のようにすっぱい橘」「酢の橘(たちばな)」と呼ばれていたのが、名前の由来なのだそうです。「東洋のレモン」という別名もあります。 どちらも皮が緑色のうちに収穫される「かぼす」と「すだち」。見分け方のポイントは「大きさ」です。 テニスボールぐらいの大きさが「かぼす」。ピンポン玉ぐらいの大きさが「すだち」です。
かぼす、すだちは焼き物と相性ぴったり
かぼす、すだちは焼き物と相性ぴったり
「橙」が「だいだい」と呼ばれる理由 お正月の鏡餅でもおなじみの「橙(だいだい)」は、ヒマラヤが原産。西洋では「ビターオレンジ」の名前で親しまれています。アロマオイルなどでもおなじみですね。 「だいだい」は寒さに強いことから、日本では庭先などに植えられ、食酢として利用されてきました。また、その名前が「代々」に通じるとして、縁起ものとされてきました。 ところで、なぜ「だいだい」と呼ばれるようになったのでしょうか? その秘密は「回青」現象です。 柑橘類には、実をもがずにそのまま木に放置しておくと、再び緑色になり、翌年また熟して黄色くなる「回青」と呼ばれる現象を起こすものがあります。 気候や気象条件によっても左右されるという回青現象ですが、「だいだい」はこの現象が起きる柑橘類のひとつ。 新しい実と、2年目、3年目の実が同じ木に実っている……このことから、「代々の実」=「だいだい」の呼び名がついたと言われています。 「臭橙」(しゅうとう)「かぶす(蚊燻、蚊無須)」などの呼び名もある「だいだい」の仲間。 「皮をいぶして蚊を追い払った」「蚊をいぶしてから収穫した」ことなどが、その由来とされています。また、大分の「かぼす」は、これにちなんで名づけられたとも言われます。 ── 「疲労回復」や「風邪の予防」などに役立つとされる香酸柑橘。複雑な香り成分が脳を刺激するため、リラックス効果も高いのだそうです。栄養面でも、たとえばちりめんじゃこにすだちの汁を加えると、クエン酸の作用でカルシウムの吸収がよくなるとか。 香酸柑橘を上手に使って、美味しくてヘルシーな食生活を送りたいですね! 参考:農山漁村文化協会編「地域食材大百科」、田中修著「フルーツひとつばなし おいしい果実たちの『秘密』」、吉田菊次郎「西洋菓子 日本のあゆみ」
その名が「代々」に通じ、縁起ものとされる「だいだい」
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