晩秋もいよいよ深まり、秋の二十四節気は最後の節目「霜降(そうこう)」を迎えました。
細長い日本列島では、北ではもう冬の気配が漂い、北から南へ…少しずつ移ろう季節を感じる節目でもあります。
今年は10月24日です。

山の粧いが里へ広がる

秋は「山粧ふ(やまよそおう)」、「錦秋(きんしゅう)」というように、山が秋の色を纏う季語があるように、山々が得も言われぬ美しさを極めます。その彩りが次第に里へ向かうと、山は枯山となります。
北から南へ、山から里へ…季節は冬を迎える準備をはじめるのですね。
歳時記も、この頃になると秋の最後を見送る「霜降(そうこう)」となり、木々や野原に霜が縁取るようになります。

晩秋の花「紫式部(むらさきしきぶ)」

晩秋、「紫式部(むらさきしきぶ)」が見頃となります。山野に自生する花なのですが、街の中でも日本庭園などで見ることができます。筆者は先日、都内の庭園で水辺を彩る紫式部に出会うことができました。
名前の由来は、『源氏物語(げんじものがたり)』の作者・紫式部に例えたとも、「紫重実(むらさきしげみ)」→紫敷き実(むらさきしきみ)」と呼ばれ、紫式部を連想したか…など諸説あります。
白いものを「白式部」、小さいものを「小式部」があります。今年は植物の見頃が少しずつ早いようですので、気にしてみてくださいね。

「霜降(そうこう)」の期間は…

今年の「霜降(そうこう)」は、10月24日から11月5日までです。
この間に霜が降り始め、時雨が降るようになり、紅葉が里へ降りてその彩りを極めます。ひとつ、ひとつの「行く秋」を見送りましょう。秋を見送る季語に「秋深し」、「暮れの秋」、「秋惜しむ」などがあります。毎年訪れる秋ですが、実りの季節、今年の秋は残すところわずかです。しっかりと目に焼き付けて覚えていたいものですね。
七十二候は、初候「霜始めて降る」、次候「時雨時施す」、末候「楓蔦黄なり」となります。

《参考文献・サイト》
俳句歳時記「秋」 角川学芸出版編
日本の七十二候を楽しむ 東邦出版
暦生活~二十四節気と七十二候 ホームページ