今週末は「からくり」の街、愛知県・犬山へ! 10月24日(土)「からくり町巡り」開催!

2015/10/21 16:30

紅葉の季節となり、各地で木々が色づいていますが、秋祭りのシーズンもそろそろフィナーレですね。 お祭りにはさまざまなスタイルがありますが、「からくり人形」を乗せた大型の山車が出動する勇壮な山車祭りをご覧になったことはありますか? そこで本日は、10月24日(土)に愛知県・犬山で開催される「からくり町巡り」について、 明日は、日本の山車祭りの醍醐味、からくり文化の由来と、その魅力に迫ります。

犬山祭の山車からくり「唐子遊び」。三体の唐子が倒立したり太鼓を叩く演技を披露
犬山祭の山車からくり「唐子遊び」。三体の唐子が倒立したり太鼓を叩く演技を披露
祭り山車と“からくり”が融合した「山車からくり」 歯車の仕組みで作動する“からくり”は、電力を用いない日本独自のロボット技術であり、鎖国令によって外国との交流を制限していた江戸時代の特殊な状況下で育まれたものでした。 電気や蒸気によるヨーロッパ式の新しい動力技術の影響を受けなかったからこそ、工夫が重ねられ、高度なものになったのです。 “からくり”の技術は、当初はもっぱら芝居の出し物に用いられていましたが、やがて神さまが宿る山鉾(やまぼこ)の代わりとして、「からくり人形」が祭りの山車(だし)に乗せられるようになります。 15世紀ごろに尾張地方(現・愛知県)の山車祭りで“からくり”が用いられたのが始まりとされ、以後、中部地方を中心にそのスタイルが広まっていきました。 江戸時代になると、“からくり”の仕組みが高度になっていき、ただ左右に動くだけでなく、囃子に合わせて演技をする人形、次から次に面相を変える人形、箱を抱えて手品を披露する人形まで登場するようになります。 子どもも大人も楽しめる「山車からくり」の魅力によって、尾張地方の祭りは例年たくさんの人で賑わうようになったとされています。
“からくり”でありながら“からくり”を演じる「傀儡子人形」(半田市 亀崎地区所有)
“からくり”でありながら“からくり”を演じる「傀儡子人形」(半田市 亀崎地区所有)
なぜ尾張(現・愛知県)で“からくり”が発展した? 18世紀のはじめ、徳川吉宗によって出された“倹約令”は、庶民のぜいたくを禁止するものでしたが、幸いなことに庶民の娯楽は対象外でした。 やがて、同時代の尾張藩主・徳川宗春が庶民の娯楽や祭りを奨励したことで、この地域にたくさんの職人が工房を構えるようになり、専門的なからくり人形師であった玉屋庄兵衛も名古屋の地に移り住みます。 当時、国内に専門の職人が少なかったこともあり、「からくり人形」はきわめて高級品でしたが、玉屋庄兵衛をはじめ、プロの職人集団が住み込んだこと、徳川御三家の筆頭である尾張藩の財政力、資源の調達がしやすい地域性もあって、尾張の地でたくさんの「からくり」が作られるようになり、「山車からくり」の祭りが絢爛さと技巧を競い合うものになります。 尾張の“からくり”文化は、江戸時代後期に最盛期を迎え、からくりの仕掛け、彫刻の芸術性ともに、きわめて高度なものとなったのです。
玉屋庄兵衛(当代)作による茶運び人形
玉屋庄兵衛(当代)作による茶運び人形
今週末は、尾張の「からくり」文化を伝える町、犬山へ! もともと尾張藩の領地であった尾張・美濃(現・愛知県、岐阜県)には、祭事の際にからくり人形を乗せた山車を使う地域が多く、江戸時代から使われている山車が200台(鉾)以上も保存されています。この数は、全国のからくり山車の80%以上にあたるそうです。 “からくり”文化が花開いた尾張地方のなかでも、とくに代表的なのが「尾張の小京都」ともいわれる犬山市。木曽川流域の城下町として、古くから栄えた地域です。 この犬山市は、からくり人形師が江戸時代から活動してきた場所でもあり、現在9代目の玉屋庄兵衛さんの出張工房も「からくり展示館」というかたちで公開されています。 “からくり”は動く歴史資料であり、江戸時代のテクノロジーを変わらない姿で現在に伝えるもの。犬山市で行われている、各季節ごとの“からくり”にかかわる祭りや催し物に参加し、江戸のテクノロジーの醍醐味をさまざまな場面で体感してみてはいかがでしょうか。
風光明媚な城下町、犬山の秋
風光明媚な城下町、犬山の秋
江戸のテクノロジーを体験! 24日「からくり町巡り」開催! 秋のイベントとしてオススメなのは、犬山市「秋の犬山お城まつり」の一環として10月24日に行われる「からくり町巡り」。 当日は、各町ごとに異なる「からくり山車」が展示され、さまざまな“からくり”の実演を見ることができます。各町、および「からくり展示館」での出し物、および開催時間は以下のとおり。 【犬山市 第15回 秋の犬山お城まつり「からくり町巡り」】 開催日時:10月24日  11:00〜16:00 (各町内の“からくり”の上演はおよそ15分) 余坂:「二福神」 11:00〜      寺内町:「淡路嶋」 11:20〜 魚屋町:「乱杭渡り」 11:40〜     枝町:「遊漁神」 12:00〜 練屋町:「石橋獅子」 12:20〜     熊野町:「住吉・白楽天」 12:40〜 中本町:「西王母」 13:00〜     下本町:「應合子」 13:00〜 鍛冶屋町:「石橋」 13:00〜     名栗町:「菅原伝授手習鑑」 13:00〜 外町:「梅梢戯」 14:30〜      本町:「唐子遊び」 15:00〜 からくり展示館:「猩々・紅葉狩り」 15:30〜 ※雨天の場合は一部中止。からくり展示館では、からくり人形や車山(やま)の展示もあり。 (毎週土曜日には、玉屋庄兵衛氏による“からくり”製作の実演も) 日本人らしい工夫が生きた芸術品であり、至高のエンターテインメントでもある“からくり”の魅力。 この秋、その目で体感してみてはいかがでしょう! ※詳細は下記リンク参照
「からくり町巡り」の壮麗な一シーン
「からくり町巡り」の壮麗な一シーン

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