今年2015年は4月の皆既月食や8月のペルセウス座流星群、9月のスーパームーンなど、多くの天文現象が観測されていますね。
来る10月21・22日はオリオン座流星群が極大となります。夜半頃に月が沈むため、月明かりに左右されない漆黒の夜空で、魅惑の天体ショーが繰り広げられることになりそう。
秋も深まり、ちょっと冷え込む時期でもありますが、しっかりと防寒対策を講じて、遥か彼方の暗闇から送り出される宇宙のメッセージを感じてみませんか?

神秘的なオリオン座M42星雲。双眼鏡があれば見えるかも!?
神秘的なオリオン座M42星雲。双眼鏡があれば見えるかも!?

オリオン座流星群は彗星のゴミ?

毎年秋のこの時期に見ることができる「オリオン座流星群」。
三大流星群といわれる「しぶんぎ座流星群」「ペルセウス流星群」「ふたご座流星群」に次ぐ、もしくは並ぶといわれるほど、多くの流星の出現が期待される流星群です。
そもそも、流星群とは宇宙の塵(チリ)のことってご存じでしたか? 「オリオン座流星群」の母天体は、あの有名なハレー彗星。
ハレー彗星はおよそ76年という周期で地球に接近することで知られていますが、たくさんの塵の粒を放出しながら楕円形の軌道を描いています。
そのハレー彗星の軌道と地球の軌道が交差した時に、放出されて漂っていた塵の粒が地球の大気圏に激突、高温になって気化しまばゆい光を放つ……これが流星群です。
地球がハレー彗星の軌道を通る日はほぼ決まっているため、毎年同じ時期に流星群が見られるのですね。

流星群の名前は放射点のある星座から

冬の星座の代表でもあるオリオン座は、この時期の東京の場合、ちょうど未明頃に東の空に高く上ります。
赤く大きく輝くのは狩人オリオンの右手の付け根にあたる一等星のペテルギウス。
この近くに「放射点」と呼ばれる個所があります。
ハレー彗星の塵は一定の方向から大気に飛び込んできますが、地上から見ると、ある一点から流星が放射状に飛び出すように見えるため「放射点」と呼ばれます(輻射点ともいいます)。放射点がオリオン座にあるので、「オリオン座流星群」と名付けられました。
ちなみに、同じハレー彗星を母天体とするものに「みずがめ座η(イータ)流星群」があります。極大を迎えるのは毎年5月の連休頃ですが、放射点の位置により日本では見るのが難しいといわれています。逆に、南半球ではかなりの数の流星を観測できるそう。
地球の位置関係、観測時間、もちろん天候によって星や惑星の観察は影響を受けますから、毎年ほぼ同じ周期とはいえ、流星の観測は一筋縄ではいかないのですね。
このように母天体が同じでも、放射点の位置によって流星群の名前は違うのです。

ほうき星ともいわれる彗星(写真はイメージです)
ほうき星ともいわれる彗星(写真はイメージです)

オリオン座流星群が見られるのは?

では、2015年「オリオン座流星群」観測のポイントをあげてみましょう。
●見られる時間帯は?
観測に適した日時は10月22日未明頃です。今年は月が夜半に姿を消しますので、月明かりに邪魔されることなく観察できるはず。チャンスは1時から夜明け前までの間。
条件に恵まれれば、初心者でも1時間に数個は見られるそうですよ。
●どうやって見る?
東京の場合、オリオン座は東の空に浮かびますが、流星は東に限らずさまざまな方向に飛んでいきます。立っていると首が疲れるだけでなく視野が狭くなるので、空全体が見られるようになるべく寝転がって見るのがオススメ。
●どこで見るか?
できれば周囲に電灯やビルなどの明りがないところ、広く開けた山間部や海沿いが適していますが、住宅街の場合は、街灯などが目に入らないようにするだけでも見つけやすくなります。
●必要なものは?
天体望遠鏡などがあるとじっくり観察できますが、なくても大丈夫。双眼鏡を持っている人は使ってみてください。結構見えるものですよ。
何よりもこの時期に必須なのは防寒対策。10月も夜になると結構冷え込みますから、レジャーシートに断熱マット、毛布、ダウンコート、手袋などの防寒具を準備しましょう。温かい飲み物などもお忘れなく。

秋冬の天体観測には防寒具を忘れずに
秋冬の天体観測には防寒具を忘れずに

夜明け前に集う惑星たち

同じ10月中旬にはもうひとつ、ちょっと特別な天体ショーも見られそうです。
こちらは流星ではなく、惑星のお話。
18日以降の明け方、日の出の約1時間ほど前の東の空に、金星(Venus)、火星(Mars)、木星(Jupiter)が一堂に集います。ひときわ明るく輝くマイナス4等の金星に、マイナス2等の木星、その傍に赤く小さな火星が煌めきます。
21日頃には3つの惑星が一列に並ぶように輝き、特に26日には木星と金星が大接近します。
“明けの明星”といわれる明るい星「金星」と、太陽系で一番大きな惑星である「木星」の美しいランデヴー。
流星群とは違ってずっと輝いていますから、すぐに見つけられます。
ちょっと早起きしてみてはいかがでしょう。
夜明け前の静けさの中で、クールな光彩を放つ惑星の美しさをぜひ観察してみてくださいね。
参考/国立天文台HP(リンク先参照)