キノコの季節になりました。木の子どもだから「木の子」。これが名前の由来だといわれているように、キノコと木はとても密接な関係にあります。「共生」というかたちで互いに助け合って生きている木とキノコ。でも、キノコは自分の“お気に入り”の木しか助けないのです。

木とともに生きる。
木とともに生きる。

“枯れ木” が好きなキノコと、“生きている木” とともに生きるキノコ。

キノコは、生きる方法によって、二つに分けられます。
一つは、枯れた木や落ち葉、切り株、動物の死骸などから養分をとって生活するキノコです。よく、公園などで落ち葉の間から顔を出しているキノコを見たことがあるかと思います。シイタケやナメコなどがこのグループです。
一方、生きている木と水分や栄養をやり取りして、お互いに助け合いながら生きているのが、「共生」関係のグループです。キノコは木から、自身の栄養となるデンプンをもらい、そのお返しとして、土の中の水分やリンなど、木の栄養となるものを集めて、木に届けています。木は、単独で生きるよりも、キノコとともに生活することによって、より多くの水分や栄養を吸収することができるというわけです。
キノコは、土の中にいるときは、小さな小さな菌です。したがって、キノコではなく、「菌の子」と呼んでもいいかもしれません。試しに、キノコが生えている木の付近を掘ってみると、木の根と菌糸(きんし)がからみ合っているのが見られます。このように、キノコは菌糸から木に水分と栄養を送り届け、そのお返しに木から養分をもらって、お互いに助け合って生きているのです。
〈参考サイト:公益社団法人 農林水産・食品産業技術振興協会 「きのこの話」〉
〈参考:北海道新聞2015年3月28日号 「森と木の話 キノコと木」〉

ほだ木からシイタケ。
ほだ木からシイタケ。

マツタケはアカマツに、マイタケはミズナラに…。“好みの木” は決まっている。

キノコは好みがうるさいので、キノコと木の種類の組み合わせは決まっています。ブナの林とマツの林では、生えているキノコの種類が違いいます。
ご存じ「マツタケ」は、アカマツの根に寄生します。クヌギやブナからは生えません。
一方、「バカマツタケ」というキノコは、マツタケに近い種類なのですが、ミズナラやコナラなどの広葉樹林に発生します。香りがマツタケよりも強いのに、見つけやすい雑木林に生えているので「バカじゃないの」というので、本名(学名)が「バカマツタケ」になったといわれています。
「マイタケ」は、ほとんどがミズナラに生えます。天然のマイタケは味も香りも絶品なので、“キノコ狩リスト”の競争が激しいとか。
「タモギタケ」はニレの木にだけ、「エノキ」はクルミなど、「クリタケ」はクリやナラの木などに生えます。
「ナメコ」はブナの山に、「ハナイグチ」はカラマツの林、「アミタケ」は松林に多く見られます。

しめじ発見 !!
しめじ発見 !!

キノコは “不用品” を分解して、森を守る。その正体は?

キノコはいったい何者なのでしょう。その正体は「菌」です。胞子という“粉末”状のものを飛ばして増えていきます。胞子は木や草のタネと同じ役割なのですが、キノコは、この胞子を飛ばすために土から出てきたもので、子孫を増やすための単なる“道具”だといえます。
キノコの菌糸は、森や林の落ち葉や朽ちた枝、死んだ動物やフンを分解して、植物の栄養になるように土にもどすのが仕事です。森にはキノコでしか分解できない硬い樹木もあるそうです。もし、この世にキノコがいなかったら、森や林の中は、落ち葉や枯れ枝、動物の死骸やフンなどがたまってしまいます。キノコのおかげで森が守られているのです。
さらに、キノコが分解して作り出した養分は、森の植物の栄養になるだけでなく、雨で川や海に流れていき、水の中の生き物の栄養ともなります。
落ち葉や枯れ枝など、森の“不用品”を分解し、栄養に作り変えて土にもどすキノコ。それを養分として育つ木や草花。さらに、「共生」というシステムで、木に栄養や水分を送り届けるキノコ。
キノコが旬の季節、キノコのありがたい役割を考えつつ、おいしくキノコをいただきたいものです。
〈参考サイト:中部電力 「キノコってどんな生き物?」〉

マツタケっ!!
マツタケっ!!