味覚の秋、収穫の秋……、美味しいものがたくさん実る時期になりました。
今回注目するのは、幻の果物と言われる「ポポー」。
名前を聞いた限りでは形や色、もちろん味も含めてちょっと想像がつきませんよね?
市場にあまり流通していないため、幻と言われていますが、「子どもの頃から知っている」という人も実は多いという謎の果物なんです。
食感や香りに特徴がある魅惑のフルーツとして、話題になっている「ポポー」に迫ってみました!

魅惑のフルーツ・ポポーを半分に切ったところ。綺麗な色をしています
魅惑のフルーツ・ポポーを半分に切ったところ。綺麗な色をしています

別名は「森のカスタードクリーム」

ポポーはバンレイシ科の植物で、原産地は北米です。英語ではpawpaw(ポーポー)といい、かねてよりネイティブアメリカン(俗にいうインディアンのこと)に親しまれてきたフルーツ。
またの名としてpoor man’s banana(貧乏人のバナナ)など、なんとも面白いネーミングがついています。日本には明治時代に入ってきました。
病気や害虫などに強く、栽培に手がかからなかったため、一時はブームとなって一般の家庭でも庭木として育てられていましたが、当時は目新しい果実が次々に登場しては人気になっていた時代。
やがてポポーは忘れ去られ、民家の庭から姿を消して行きました。そして、今では幻の果実といわれるほどになってしまったのです。
春には赤黒い花を咲かせ、秋に結実すると、写真のように木にいくつも実がつきます。熟して食べられるようになるのは、このうちの1~2個程度です。
片手でちょうど持てるくらいのサイズで、一見するとアケビのような形。ペリカンマンゴーにもよく似た楕円形で、薄緑色をしています。熟すと表面が黒くなり柔らかくなって自然落下します。これが食べごろのサインです。

たわわに実った収穫直前のポポー
たわわに実った収穫直前のポポー

香り・食感・味とも不思議な感覚

半分に切ってみると、果肉は鮮やかな黄色やオレンジ色。柿の種によく似た形の黒い種が等間隔で入っていて、なんとも素朴な姿をしています。
特筆すべきは周囲に放たれるトロピカルな香り。原産国であるアメリカでは”アメリカのカスタード・アップル“(American custard apple)と呼ばれていますから、別名が”森のカスタードクリーム”と言われるのもわかる気がしますね。

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