世界で唯一、丸くて大きいまりもの群生が見られる阿寒湖。絶滅の危機にさらされたこともあるまりもは今、特別天然記念物に指定され、大切に育てられています。そんな阿寒湖で10月9日と10日、「まりも祭り」が開催されます。まりもを大切にしようと始まった「まりも祭り」は、アイヌ民族の人々の伝統儀式を見ることができる、貴重なお祭りでもあります。

秋の阿寒湖。遊覧船に乗れば、チュウルイ島の「まりも展示観察センター」で大きなマリモを観察できる。
秋の阿寒湖。遊覧船に乗れば、チュウルイ島の「まりも展示観察センター」で大きなマリモを観察できる。

まりもを守るためのお祭り。アイヌの人々による、厳粛な雰囲気の中で。

1950年(昭和25年)に第1回が開催されて以来、今年で第66回目を迎える「まりも祭り」。絶滅の危機にある特別天然記念物のまりもを守ることを目的に始まりました。今年は10月9日と10日、阿寒湖温泉などで開かれます。
「まりも祭り」は、阿寒湖で育つまりもに感謝するお祭りです。西の雪まつり(札幌)、東の「まりも祭り」とも呼ばれ、数あるお祭りの中でも、個性的で北海道らしいお祭りと言われています。
美しい紅葉が見ごろの阿寒湖。そんな神秘的な湖で、アイヌ民族の人々の伝統的な儀式や舞踊が見られる「まりも祭り」。北海道の奥深さを改めて感じさせられます。

阿寒湖畔温泉街の「アイヌコタン」。アイヌ料理の店や民芸店が並ぶ。
阿寒湖畔温泉街の「アイヌコタン」。アイヌ料理の店や民芸店が並ぶ。

夜は幻想的な 「タイマツ行進」。アイヌ民族の儀式や舞踊が見もの。

今年の「まりも祭り」は10月9日と10日の2日間。
9日は13時から、地元の人などによる「まりも踊り行進」が行われます。
19時30分、暗くなると、「まりもを迎える儀式」が始まります。アイヌの伝統衣装を身につけた代表がまりもを携え、湖から丸木舟に乗って登場し、エカシ(長老)の手にまりもが渡されます。
19時45分からは「タイマツ行進」。迎えたまりもをアイヌコタンへ運ぶため、タイマツを灯しながら大勢で練り歩きます。アイヌの人々をはじめ、大勢の人たちがタイマツとともに温泉街を行進する光景は、なんとも幻想的です。
20時15分、まりもがアイヌコタンに到着すると、各地から来たアイヌの人々が、それぞれの民族に伝わる踊りや舞踊を披露。まりもに感謝の気持ちを込めて踊りの競演が繰り広げられます。
10日はまりもを湖に送るため、湖の岸まで「まりも行列」が練り歩きます。11時30分から「まりもを送る儀式」が始まると、アイヌの人々がカムイノミ(神への祈り)を行ってから、丸木舟に乗り、まりもを湖に返します。

10日の 「まりも観察会」 では、船の上からまりもの生育地を見ることができる !!

10日は14時半から、阿寒湖のチュウルイ湾に船で行き、丸いまりもの生育地を船の上から観察できるツアーもあります(定員40名)。船上で箱メガネなどを使って、自生しているまりもを見ることができます。
阿寒湖の中でも特にチュウルイ湾付近は、丸くて大きなまりもが数多く群生している場所です。まりもは特別天然記念物に指定されていることもあり、自生しているまりもを見ることは、特別な許可がなければできません。観光遊覧船と違った船でチュウルイ湾付近に行き、自生するまりもを見ることができるのは、貴重なチャンスです。
〈参考サイト:阿寒観光協会「阿寒湖観光ナビ」〉
紅葉が見ごろを迎えている阿寒湖。遊覧船の運航は11月末まで。冬になると、氷ついた湖の上で「氷上フェスティバル」が始まります。北海道で最も大きなアイヌ民族のコタン(集落)、「アイヌコタン」がある阿寒湖温泉では、「まりも祭り」の準備に活気づいています。紅葉が美しい阿寒湖で、アイヌ民族の伝統的な儀式に触れてみませんか。
※まりもの生態については、tenki.サプリ3月29日:「3月29日は“マリモの日”。丸くて大きいマリモの群生は世界で阿寒湖だけ!!」をご覧ください(以下の“合わせてチェックしたい”からどうぞ)。なぜ阿寒湖のまりもが世界一と呼ばれるのか、そのワケがわかります。

マリモたち…
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