秋本番の10月9日(金)・10日(土)。日本を代表する秋の祭りのひとつ、「秋の高山祭」が岐阜県高山市で開催されます。
高山祭は京都の祇園祭、埼玉の秩父夜祭と並び、日本三大美祭と日本三大曳山祭のひとつに上げられる日本屈指の伝統と歴史を誇る祭り。飛騨高山の情緒あふれる街並みと相まって、毎年多くの観光客を集める人気の行事です。
その美しさのルーツとは?   さらに、日本三大曳山祭の一つともされるその魅力とは?
行楽シーズンにぜひ訪れたい、秋の高山祭の魅力に迫ります。

豪華絢爛な屋台が高山の街並みを彩ります
豪華絢爛な屋台が高山の街並みを彩ります

飛騨高山が誇る伝統行事、秋の高山祭とは?

高山祭とひと口にいっても、秋だけではないのです。
4月に行われる「春の高山祭」とあわせ、年に2回開催される総称が高山祭です。
高山祭の起源は16世紀後半から17世紀にさかのぼります。現在のような豪華絢爛な祭りの形式になったのは、江戸時代後半の1800年頃といわれています。
高山祭の魅力といえば、何といっても豪華な装飾を施した屋台でしょう。
「山車(だし)」「曳山(ひきやま)」などと呼ばれる祭りが多い中、高山祭では「屋台」と呼ばれています。
秋には11台の屋台が曳き揃えられ、高山の街並みを練り歩きます。さらに、秋限定で屋台の曳き廻しも見ることができます。
この高山祭の屋台は国指定の重要有形文化財でもあり、格式高いものなのです。

岐阜の「小京都」と名高い、情緒あふれる街並みが人々を魅了する飛騨高山
岐阜の「小京都」と名高い、情緒あふれる街並みが人々を魅了する飛騨高山

なぜ、日本三大美祭といわれるのか?

日本三大美祭のひとつといわれる高山祭ですが、その「美祭」と呼ばれる所以は、一体どこにあるのでしょう?
元来、飛騨高山は米など農作物の収穫が難しく、奈良時代には税の対象になるほどの収穫が見込めなかったため、その代わりに大工仕事に従事する人が都へ出ていきました。
森林資源が豊富な飛騨高山という土地柄から、優秀な職人がたくさんいたのです。
今なお、美しく精巧な建築物がたくさん残されている飛騨高山。まさしく高山祭の屋台は、飛騨の匠たちによって作られた歴史ある祭りなのです。
その証に、豪華絢爛な屋台は江戸文化の頃には「動く陽明門」とも呼ばれ、日光東照宮の陽明門の華やかさに例えられていたほどでした。

高山祭最大のみどころ「からくり奉納」

そしてもうひとつ、高山祭の特徴といえば「からくり奉納」でしょう。
秋の高山祭では「布袋台」と呼ばれる一台の屋台でからくり奉納が行われます。この屋台には「からくり人形」が内蔵されており、匠の手によって操られ屋台の上でさまざまな動きを見せます。
このからくり人形は36本の糸によって動かされているとのことですが、実際に見てみると、糸で動いているとは思えないほど巧みな技術を感じます。
屋台に施されている装飾だけでも繊細かつ華麗ですが、さらにその屋台から精巧な仕掛けが出てくるこまやかさが、高山祭の「美しさ」の真骨頂といえます。
山車や曳山が使われる祭りというと豪快で威勢のよいイメージがありますが、高山祭の屋台はそんなイメージを覆すものかもしれません。
日本トップクラスの匠のワザが集結した飛騨高山の伝統を、きたる10月9日、10日にぜひ体感してみてはいかがでしょうか。

屋台の上で華麗に舞うからくり人形
屋台の上で華麗に舞うからくり人形