七十二候『蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)』。サナギの内部はドロドロ! 戸の中でいったい何が? 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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七十二候『蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)』。サナギの内部はドロドロ! 戸の中でいったい何が?

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起きてても食べるものないし・・・

起きてても食べるものないし・・・

越冬するテントウムシたち

越冬するテントウムシたち

自分つくりかえ実施中

自分つくりかえ実施中

9月28日〜10月2日頃は『蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)』。虫たちが冬ごもりの支度をはじめる時季です。「虫」はカエルやヘビなど爬虫類を指す言葉でもありました。やっと過ごしやすい爽やかな季節になったというのに、もう冬眠? そして昆虫(むし)たちは、半年もかくれて何をする気でしょうか。

成虫で卵で幼虫でサナギで! 戸の中の昆虫たち、速攻です

『蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)』は、『蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)』で這い出てきた啓蟄の虫たちが、また土にもぐって戸を閉める、という意味です。あれから半年。繁殖期が終わった昆虫たちは、速攻で冬支度に入ります。それをエサにする爬虫類や小動物たちも、合わせて行動開始!
虫たちの冬の過ごし方には、それぞれに決まった流儀があるようです。土にもぐって戸を閉める幼虫たち。落ち葉にかくれる成虫たち。卵嚢に守られた卵たち。
チョウの一部は、サナギで越冬します。じっと動かないサナギの閉じられた戸の中では、なんとものすごい勢いで体の大改造中!! X線で内部をスキャンすると、筋肉は溶けドロドロに液状化?という激しさでメタモルフォーゼ(変態)が展開されている模様・・・チョウの羽化って、たんに細身になった幼虫に羽が生えて出てくるわけではなかったのですね。また、夏場に羽化するサナギと比べて、越冬サナギは生命力が格段に強いのだそうです。
テントウムシのように集まって越冬する成虫たちもいます。集合場所は、日当り良好の南向き物件よりも、気温の変化が少ない日陰の北向き物件が人気とのこと。ナナホシテントウは、−20℃くらいまで凍結しないのだそうです(リンク先参照)。暖かな越冬地へ集団で移動していく「渡り虫」のチョウたちもいます。
温暖化で冬の訪れがゆっくりになっても、外の刺激に戸をふさぐことで自分に集中し春に備える、大切な半年間がやってきたのですね。

冬眠中に凍っても死なないカエル、穴に入り損ねて惑うヘビ!

エサのなくなるヘビやカエルも、土の戸をパタッと閉めてかくれてしまいます。
穴でからみあって寝るヘビ。カナダのマニトバ州には有名な冬眠スポットがあり、春になると1万匹以上ものヘビ(ガータースネーク)が一斉に目覚めて這い出し、ヘビ萌えの観光客を喜ばせているそうです。
冬眠しているカエルは、 氷点下に凍った土の中でも死にません。むしろ半端に暖かいと、代謝があがってエネルギーを消費してしまい餓死することもあるのです。同様に、チョウのサナギを家に持ち帰って室温に置いておくと、羽化するよりはそのまま死んでしまう場合が多いといいます。一定期間ちゃんと冷えて、エコモードの基礎代謝で細胞をよみがえらせてから春に目覚める、というメカニズムが大切なのですね。体が冷たくなるのに凍死しないのは、冬眠に先立って体の仕組みが変化するからだそうです。冬眠中の生きものは、強い刺激で目覚めると二度寝がむずかしいとのこと。うっかり起こしてしまわないように気をつけたいですね。
冬眠のタイミングを逃したヘビが、穴に入らず徘徊している状態を『穴惑い』と呼ぶそうです(孤独や執着を思わせる季語にもなっています)。ヘビも気温が高いうちは、まだまだ外でにょろにょろしていたいのかもしれません。

おこもり?おでかけ? 寒い季節にこそ、人間の醍醐味が♬

そろそろ衣替え。暖かアイテムを身にまとい、穴に入らず徘徊するのも人間ならではの醍醐味ですね。もしくは、冬眠のごとく まったりと。と見せかけておいて、戸の中では「自分つくりかえ」大作戦・・・じっくりと体磨きや学習に取り組んで、春には華麗なる飛翔!そんな、おこもり生活も楽しそうです。
秋冬の半年間、どんな備えをしましょうか?<参考>
「冬眠の謎を解く」近藤宣昭(岩波新書)
「昆虫の世界へようこそ」海野和男(ちくま新書)


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