今週の日曜、9月27日は「中秋の名月」です。
「天高く、馬肥ゆる秋」と言うように、秋の空気はとても澄んで空が高く見えます。このため、秋は月がとてもきれいに見えるのですね。
神事と結びついた伝統行事「中秋の名月」は、月の美しさを、それを愛でる楽しさを、思い出させてくれます。
そして今年は、「中秋の名月」の翌日が、今年最大のスーパームーンという素晴らしいめぐり合わせ! ステキな夜空が楽しめそうです。
「え、中秋の名月は満月ではないの?」と思った方、ぜひ当記事をご覧ください。

今年の中秋の名月(今週日曜日)は、月が地球に大接近! お月見には最高です
今年の中秋の名月(今週日曜日)は、月が地球に大接近! お月見には最高です

なぜ、秋の月はきれいに見えるの?

秋の空気は、夏に比べて湿度が低いため、水蒸気が少ないのが特徴です。
このため空気の透明度が高く、澄んでいるので、空が青々と広がって気持ちいいのですね。夜空を見ても月や星が美しく輝いています。
また、地球から月を見ると夏は低く、冬は高い位置にあります。冬の空気も澄んでいますが、見上げるには高すぎ、鑑賞にはあまり向いていないのです。
一方、春と秋の月はその中間で、私たちが月を見るのに程よい高さ。見やすさという点からも、秋にお月見をするのが理にかなっているのですね。
中秋の名月の起源はもともと中国の名月観賞が、平安時代に日本に伝わったという説が有力です。
月見の宴は「源氏物語」にも、宮中で月を見ながら管弦を楽しみ、詩歌を詠んだ様が描かれています。
また、月の満ち欠けは農作業には欠かせない目安であることから、日本には古来より月を祀(まつ)る風習があり、その年の最初の収穫物を月に供えていました。
こうした習わしが残り、現在の中秋の名月となっていると言われ、芋の収穫時期とも重なることから「芋名月」とも言われます。

天高く馬肥ゆる秋。空気が澄んだ秋の空は気持ちよいものです
天高く馬肥ゆる秋。空気が澄んだ秋の空は気持ちよいものです

中秋の名月はなぜ満月ではないの?

「十五夜」イコール「お月見は15日」と思っている方もいるかもしれません。
しかしこれは、月の満ち欠けを基にした旧暦(太陰暦)のお話です。
月は地球の周りを約29日〜30日でまわります。このため旧暦では、月の半分の15日が満月だと考えられていました。
また、旧暦では、7月、8月、9月が秋にあたります。中秋の名月はその真ん中の8月15日。
ちょうど稲の収穫前後の時期であり、美しい月をしばし観賞しながら、今年の実りに感謝していたのではないでしょうか。
現在では、旧暦を太陽暦に合わせて計算しているため、中秋の名月の日にちは毎年変わるのです。
そして前述したように、30日ぴったりで地球を一周するわけではないので、実際には必ずしも満月ではなく1日か2日後になることが多いのです。
── 国立天文台によると、今年の場合、実際に満月になるのは翌日の28日の11時51分。
残念ながら月が地平線上に出ていない時間となりますが、27日はほぼ満月に近い月を見ることができるそう。晴れるとよいですね。

みなさんの住む地域からも、中秋の名月が見られるといいですね
みなさんの住む地域からも、中秋の名月が見られるといいですね

今年最大のスーパームーンに皆既月食!

では、9月28日の満月は、というと……じつは、今年最大のスーパームーンなのです。
月は地球の周りを楕円を描いてまわっています。
地球からの距離は、近いときは約36万kmですが、遠いときは約40万kmになります。肉眼で見える月の大きさは、約1割も変わるのですね。
地球からの距離が最も短く、かつ満月(新月)になったときの月がスーパームーンです。
簡単に言えば、いつに増してとても大きく見える満月、というわけです。
ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカなど大西洋地域では、このスーパームーンに皆既月食が重なります。
滅多にお目にかかれない特別な天体ショーとして、盛り上がりそうですね。日本では明け方近くの月がスーパームーンにより近づきます。
スーパームーンになる少し手前の美しく大きな月を、ゆっくり観賞しながら明日への活力をお月様からいただく——。そんなステキな月夜の晩を過ごしてみてはいかがでしょう。
参考「百分の一科事典 月」スタジオ・ニッポニカ編(小学館文庫)
Newtonムック「38万キロ彼方のフロンティア 月世界への旅」(ニュートンプレス)