ところが、何らかの突発的な要因で症状が劇的に重症化することがあります。これが「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」です。

 なぜそうなるのかはわかっていませんが、高熱をだして、手足が腫れ激しい痛みを引き起こし、やがて筋肉が壊死してしまいます。

 さらに、多臓器不全に陥るなど全身で症状が悪化、時には数時間で死に至ることも。致死率は高く、3割に達するため「人食いバクテリア」と呼ばれるのです。症状が劇症化するのは主に大人で、60代以上の高齢者に多いのが特徴です。

■劇的なスピードで悪化する!

 初期症状として、次の点があげられます。
(1)皮膚が赤く腫れる。
(2)喉が痛い。
(3)発熱があり体がだるい。
(4)血圧が下がっている。

(2)と(3)は風邪の症状にも似ているので、「たいしたことはない」「様子を見よう」などと思いがちですが、放っておいてはいけません! 今日は赤く腫れていた手足が、翌日には壊死しかけて紫色になるなど、ものすごいスピードで症状が悪化してしまうからです。

 早期の段階であれば、抗生物質の投与により治療が可能ですが、万が一、診断や治療が遅れた場合、壊死した手足は切断しなければなりませんし、敗血症などで全身に症状がまわってしまえば、まさしく命取りになることも……!

 自己診断は大変キケンです。

 特に(1)の腫れが強い痛みを伴うようであれば、病状が進んでいる可能性がありますから、すぐに病院に駆け込みましょう! 初めの診断が病状の進行を左右しますので、個人の病院よりも総合病院での受診をおすすめします。

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