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涼しくなって、スズメバチが凶暴化!! おでかけ先でハチ合わせしたとき攻撃されやすい NG行為とは?

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ミツバチとちがって、何度でも刺せますよ〜

ミツバチとちがって、何度でも刺せますよ〜

木の根元にあるスズメバチの巣。気づきませんよね・・・

木の根元にあるスズメバチの巣。気づきませんよね・・・

暑さも一段落、休日は戸外におでかけされる方も多いのでは。住宅地の公園でも『ハチに注意』と書かれた看板が増えてきましたね。刺されると激しく痛み、ときには死亡事故につながる「ハチ刺され事故」。なかでもスズメバチは秋にもっとも凶暴化するといわれ、今年は猛暑の影響で活動が早まっているのだそうです。おでかけや日常で気をつけることは? また、万一刺されてしまったときは どうしたらよいのでしょう?

血も吸わないのに、なぜ人を刺す?!

目の前に急にハチが飛んできたら、 スズメバチにかぎらず焦ってしまいますよね。なぜなら、刺されると赤く腫れて、とっても痛いから! 鋭い毒針で攻撃してくるのは、メスの働きバチ。「ハチ刺され事故」の多くは、8月〜9月に集中しています。
世界には10万種以上もハチの仲間がいるそうです。『スズメバチ』は、約70種。そのうち日本には16種が住んでいます。ちょっと意外なのは、「ハチのほとんどは人を刺さない」という事実。ハチ全体から見れば、「危険」なハチはごく一部なのですね。
スズメバチやミツバチの巣をとり仕切るのは、産卵を専門とする 1匹のお母さん(女王バチ)と多くの娘(働きバチ)たち。この巣はなんと、越冬から目覚めた身重のお母さんが、たったひとりで春から作りはじめたものだといいます。女王みずから肉体労働です。5月~6月頃までは、まだ小さい巣の中、女手ひとつで幼虫たちのお世話をする心細い暮らしです(なので駆除するチャンスともいわれます)が、幼虫はやがてソルジャーガールズ1期生に成長。みるみるうちに巣は増強されていくのです。
この巣が使われるのは、その年の秋まで。毎年新しい巣が作られるのですね。働きバチはどんどん増え、秋になるとオスバチや翌年女王になるメスバチも加わり、種類によっては1000匹くらいもの大所帯になるそうです。働きバチは、おもに生きた昆虫やクモをつかまえてきて幼虫に与え、それが害虫駆除に役立っています。
はちのこ(幼虫やサナギ)がぎっしり詰まったハチの巣は、他の動物にとってはご馳走の宝箱! 襲ってくる外敵を前に、手も足も出ない幼虫たち。もし翌年の女王バチが育たなければ、家系は断絶してしまいます。 子孫を守るため、娘たちは毒針をもって戦うのですね。

ハチと遭遇! ぜったい興奮させないで

巣に外敵が近づくと、スズメバチは「これ以上近づくな!」という意味の行動をとります。
・相手のまわりをしつこく飛ぶ
・相手に狙いをつけて、空中で停止する
・アゴをかみあわせて、「カチカチ」という音をたてる
この場合は、できるだけじっとしてハチが飛び去るのを待ちましょう。こわいのでつい手で振り払いたくなりますが、これはたいへん危険な行為! 攻撃されるおそれがあります。
巣から離れた場所にいるハチは、わざわざ人間を襲ってくることはありません。ただし、クロスズメバチやキイロスズメバチなどは、人間の汗や弁当・ジュースなどをめあてに寄ってくることがあるそうです。そのときは、上記のような威嚇行動ではなく、肌や食物の上にとまろうとします。このときも、決して強く振り払ったりしないで、そ〜っと静かにどかせるようにしてください。
運転中の車の窓からハチが入ってくると、勢いよく飛び回られて車内はパニック状態に・・・。触らなければ刺されないので、落ち着いて車を安全なところに止め、窓を全部開ければ、そのうち車外に出て行くようです。お部屋の窓からハチが入ってきたときも同様に、驚いて大きな声を出したり急な動きをするのはNG。窓を全開して出て行くのを待ちます。殺虫剤を使う場合も、くれぐれもハチを興奮させないように注意しましょう。
もっとも危険なのは、ハチの巣があるのを知らずに近づいて、うっかり踏んだり揺らしたりしてしまったとき。この場合、たくさんの働きバチがすぐに襲ってきます(ひー)。
もし逃げられる状況なら、手を振ったりせずに少し身をかがめて、できるだけ遠くへ逃げます(ハチが追いかけてくる距離は80メートルくらいまでだそうです)。障害物や坂道などで急いで遠くへ逃げられないときは、首から上を服などで隠し、肌が出ている箇所をできるだけ少なくして、身をかがめたまま少しずつ遠ざかりましょう。想像したくない試練ですが、落ち着いてがんばりましょうね(震え声)!

野山へのおでかけは、明るい色の服装で

野外では長袖、長ズボンを着用します。ハチは黒いものめがけて襲ってくるので、服装や帽子は、白や黄色の方が安全です。万一の遭難にも見つけてもらいやすいですね。
香水や清涼飲料などに含まれる匂いには、スズメバチに攻撃行動をもたらす「警報フェロモン」の成分が含まれていることが、最近わかったそうです。また、ジュースなどの缶に生きたハチが入っているのを、知らずに飲んで唇や口の中を刺されてしまった例も。香りのするヘアケア剤や化粧品類の使用は避け、飲食物の扱いには注意しましょう。
スズメバチの巣は、切り株あとや土の中・茂み・小屋の軒先や天井裏・大きな木のうろ(樹洞)・ 鳥の巣箱など、なかなか気づきにくいところにあるようです。散策していて、あたりにとびかうハチの数が急に多くなったり、一定の方向に飛ぶようになったら、そばに巣があるおそれがあります。とくに子どもなどが茂みに飛び込んで走り回ったり、うろや道端の穴などをむやみに木の枝などでつついたりしないように、気をつけましょう。
下見では問題なかったのに、遠足本番で子どもたちが急にハチに襲われることがあります。大きな集団だと、振動や動き・声などで巣を刺激する危険が増すためといわれます。かといって単独行動では、(ハチ以外でも)何かあったときに助けを求められません。森林などを歩くときは「小グループに分かれて静かに行動」が、万一のときにも対応しやすいようです。
殺虫スプレーの携帯は、襲われたとき被害を食い止めるのに有効とのことですが、まさかこれで巣を駆除しようなどとは思わないでくださいね。ちなみに虫除けスプレーは、刺すハチには全く効果がないそうです。

もし刺されてしまったら、「全身症状」に注意!

万一刺されてしまっても、多くの場合命にかかわる心配はないといいます。けれどもハチ毒には強烈な痛みをもたらす成分が配合されているため、速やかな処置が大切です。
刺されたらすぐ、爪などで患部を圧迫して毒液を絞り出し(そのための吸引装置もアウトドア用などに市販されています。決して口では吸わないで)流水で洗って、体内に取り込まれる毒をできるだけ少なくします。冷たい濡れタオルや氷嚢で冷やし、薬(抗ヒスタミン軟膏。おしっこをかけるのはダメです)を塗って、1時間は安静にしていましょう。念のため医療機関の受診をお勧めします。
ハチ刺されによる死亡事故は、毎年30〜70件ほどおきていますが、そのほとんどは『アナフィラキシーショック(じんましんや発熱、さらに呼吸困難などのアレルギー反応)』が原因といわれます。死亡例の多くは刺されてから1時間以内におこり、直接の原因でもっとも多いのは気道のむくみによる窒息死だそうです。もし、刺された箇所以外に 頭痛・めまい・吐き気・腹痛といった全身的な症状が出た場合は、一刻も早く病院へ。近くにいる人はすぐに救急車を呼び、必要なら人工呼吸をして待ちます。ハチアレルギーの人は、前もって周囲に知らせておくことも大切です。
「ハチ刺され事故」はこわいですが、ハチたちは無差別に襲ってくるわけではありません。冷静な対応で安全に、秋の自然を楽しみたいですね。
<参考>
『スズメバチ刺傷事故を防ぐために』森林総合研究所資料


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