秋本番。ひと足早く「根津・千駄木下町まつり」をご紹介! 魅力満載の根津神社&谷根千を訪れよう! 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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秋本番。ひと足早く「根津・千駄木下町まつり」をご紹介! 魅力満載の根津神社&谷根千を訪れよう!

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夕焼けだんだんの坂の上で、のんびりお昼寝中の猫も谷根千の名物

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英国から帰国後、根津神社界隈に3年住んだ漱石の旧居跡

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古き時代の下町の風情を残す谷根千界隈

古き時代の下町の風情を残す谷根千界隈

シルバーウィーク中の本日9月19日と、明日20日は、江戸三大祭のひとつともいわれる「根津神社例大祭」が行われます。
また、きたる10月17日(土)、18日(日)には、国の重要文化財・根津神社にほど近い谷根千エリアで「根津・千駄木下町まつり」も開催されます。
そんな秋まつりにちなみ、根津神社にまつわる代表的な文学作品のエピソードをご紹介。
掌編をポケットに忍ばせ、この時季ならではの心地好い風を感じながら、根津神社とその周辺で開催されるイベントをのぞきがてら、下町散策に出かけてみませんか。

漱石の『道草』にも登場した根津権現

谷根千界隈は、日本を代表する文学者たちが暮らした場所でもあり、この地域を代表する古社であった根津神社は、“根津権現”という名称で、さまざまな文学作品のなかにも登場します。
例えば、明治期を代表する文豪、夏目漱石の旧居(猫の家)は旧千駄木町、現在の文京区向丘にあったとされ、まさに根津神社の裏手に位置していました。
漱石にとって谷根千エリアは日々の散歩コースであり、物語の着想を得るためのインスピレーションの源泉だったのでしょう。近所にあった“根津権現”も漱石にとって大きな興味対象であったに違いありません。
夏目漱石『道草』の一節を引用すると……
── ある日小雨こさめが降った。その時彼は外套がいとうも雨具も着けずに、ただ傘を差しただけで、何時もの通りを本郷ほんごうの方へ例刻に歩いて行った。すると車屋の少しさきで思い懸けない人にはたりと出会った。その人は根津権現ねづごんげんの裏門の坂を上あがって、彼と反対に北へ向いて歩いて来たものと見えて、健三が行手を何気なく眺めた時、十間けん位先から既に彼の視線に入ったのである。そうして思わず彼の眼めをわきへ外そらさせたのである ──
漱石の作品のなかでも特に自伝的要素が強いとされる小説『道草』。
この小説のなかで根津権現の文字が表れるシーンは2カ所あり、いずれも主人公がダメ人間である養父の島田と再会する場面に象徴的に登場します。
イギリス留学から帰国し神経衰弱を患っている主人公の健三は、まるで一時期の漱石の姿そのもの。そう考えると、漱石にとっても人生にかかわる重要な場面にはいつも、根津権現とその界隈の風景があったのかもしれません。

芥川賞作家・西村賢太氏が傾倒する作家が描く『根津権現裏』

この地域を舞台にした物語を書いた、もう一人の私小説作家が大正時代にいました。
その名も『根津権現裏』という作品を書いた藤澤清造です。
藤澤清造は一般的にはあまり知られていない作家でしたが、近年、芥川賞作家の西村賢太氏が傾倒し、作中(『小銭をかぞえる』ほか)で言及したことで、ふたたび脚光を浴びるようになりました。
『根津権現裏』の物語もまた、作者である藤澤自身の自伝的要素をふくんでいます。
主人公は根津権現の裏手に下宿し、恋人にも恵まれず、持病の骨髄炎にも悩まされる苦悩の日々を送ります。
自己の貧しさに加え、同じく貧しかった同郷の友人の自殺に直面し、「貧しさとは何か」を問い続ける主人公の切実な姿。夢を持ちながら上京したものの残酷な現実にはばまれる大正時代を生きた青年の姿がリアルに伝わります。
この作品を評価する作家の西村賢太によると、深刻な物語ながらも、随所に皮肉なユーモア(戯作の精神)を感じさせる深さがあるとのことです。
藤澤は漱石に比べると無名に近い作家ですが、かつて谷根千で暮らしていた青年たちの生活を知るための貴重な手がかりになるはず。興味のある人は復刊本を手にしてみては。

来月10月17・18日には、「根津・千駄木下町まつり」開催!

本日19日と明日20日には、根津神社にて「例大祭」が開催されていますが、秋もより深まった来月10月17日(土)、18日(日)には、谷根千(谷中・根津・千駄木)エリアにて「根津・千駄木下町まつり」が開催されます!
同まつりでは、根津神社をメイン会場に、模擬店やフリーマーケット、豪華賞品が当たるスタンプラリーなど、町中でさまざまな楽しいイベントが催されるそうです。
秋の行楽シーズンということもあり、例年たくさんの人が訪れますが、一足早くガイドブックなどで見どころなどを確認しておくと、より効率的に谷根千ならではの下町情緒を楽しめるはず。
さらに、おまつりまではまだ時間がありますし、読書の秋ということもあり、根津神社(根津権現)の記述が出てくる名作を、一部ご紹介しておきましょう。
●夏目漱石『道草』 ●森鷗外『青年』 ●岡本綺堂『深見夫人の死』 ●林不忘『丹下左膳』
●武田泰淳『目まいのする散歩』 ●藤澤清造『根津権現裏』……etc.
谷中銀座などのスポットめぐりに疲れたら、谷根千に吹く風情ある風を感じながら、公園のベンチにでも腰掛けて作品に親しんでみる……。
それもまた、秋ならではの楽しみ方でしょうし、非日常の時間は、きっと新たな気づきを与えてくれることでしょう。
【谷中・根津・千駄木へのアクセス】
● 谷中 ➡ 山手線、京浜東北線、東京メトロ千代田線の西日暮里駅、日暮里駅から
● 根津&千駄木 ➡ 千代田線の根津、千駄木駅から


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