秋雨前線と台風の影響で、降雨量が多くなる秋の日本。気候の特徴と注意点とは?

2015/09/17 16:30

東日本豪雨に伴う水害により、広い範囲に甚大な被害がおよびました。 今日も本州の多くの地域で雨が降っているほか、台風20号も発生しており、今後の降雨量が大変気になるところです。 「秋の長雨」という言葉があるとおり、秋は雨が多い季節です。そして「秋雨前線」や「台風」の影響によっては、豪雨などの災害が発生しやすい、厄介な季節でもあります。 今回は、秋の気象現象についてご紹介するとともに、災害が起こりやすい条件などについてもご説明したいと思います。

雨が多くなる秋。ロマンティックな季節ですが、「想定外」の大雨にご注意
雨が多くなる秋。ロマンティックな季節ですが、「想定外」の大雨にご注意
秋雨前線ってどんなもの? 夏に晴れの日が多いのは、日本列島の南方に太平洋高気圧が張り出しているからです。この太平洋高気圧が弱まると、暑さがやわらぎ、秋の気配がやってきます。 太平洋側の高気圧の代わりに、勢力が強くなるのが大陸側にある高気圧。この時、2つの高気圧の間に現れ、停滞するのが「秋雨前線」です。 梅雨と似た気圧配置になるのですが、梅雨ほど長くは続きません。また、西から移動性高気圧がやってくると、秋晴れの天気になります。「曇りや雨の日」と「良いお天気」が周期的に繰り返されるのも、秋のお天気の特徴です。 条件しだいで、豪雨による災害が起こりやすい時期 「秋の長雨」、そして「秋入梅」「秋黴雨」(どちらも「あきついり」と読みます)などと呼ばれてきたこの時期の気候。秋の雨、というと何だかしっとり、ロマンティックな雰囲気を思い浮かべてしまいますね。 しかし、この時期に発生する「台風」と重なった場合、注意が必要です。広範囲で大雨となり、大規模災害が発生しやすいからです。 とくに「秋雨前線の停滞」+「高気圧の背後からの湿った暖かい空気」+「台風の外側から吹く湿った風」の3つの条件が揃った場合は、要注意。たとえば台風がまだ南の海上にある時でも、その影響で湿った風が吹いている場合、大雨をもたらすことがあります。 また、局地的大雨(いわゆるゲリラ豪雨)は、秋にも起こる可能性があります。注意したいのは、気温が高い日。地上の気温が高く、かつ上空に冷たい空気が流れ込むと、温かい空気と冷たい空気が上下に入れ替わろうとして動き始めます。さらに湿度が高いと、積乱雲が短時間で急激に発達し、予期せぬ豪雨になるというわけです。 秋にやってくる「台風」の特徴とは? 7~8月に来る「夏台風」に比べ、9月から10月にかけてやってくる「秋台風」はスピードが速いのが特徴。これは、秋になると偏西風が強くなるのが原因です。 日本付近でスピードを上げることも多く、進路を予測しやすい反面、スピードがあるため突風が起こりやすいという面も。 秋の台風=「強風」「突風」に注意、と覚えておきましょう。 昔の日本では、秋から冬にかけての強風や、台風などの嵐のことを「野分(のわき、のわけ)」と呼んでいました。また、秋の初めに吹く強い風のことを「初嵐」、畑の作物が吹きなびくため「畑嵐」などと呼ぶ習慣もあったそうです。 時に災害の原因にもなってしまう、秋の雨。 tenki.jpでは、最新の気象情報をはじめ、気象現象を知ることができるコラムなどもご紹介しています。 災害発生時はインターネットへの接続が難しい場合もありますが、状況が許す限りぜひアクセスして、最新の情報収集にお役立てください。 参考:森田正光、八板康磨「空と天気のふしぎ」 筆保弘徳監修・著 岩槻秀明・今井明子著「気象の図鑑」 林完次「星のこよみ」

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