健康志向が高まる昨今、注目を集めている「ゴマ」。
原産地はインド、またはアフリカとも言われ、日本には縄文時代にすでに伝来していたとか。
「食べる丸薬」と言われるほど、すぐれた栄養と薬効があることで知られます。
プチプチとした食感はもちろん、料理の見た目にアクセントを加える役割も大きい「ゴマ」。
ごはんやおかずにかけたり、たれやソースに混ぜたり、揚げ物の衣に……などなど、毎日の暮らしでゴマを目にしない日はないのでは、と思うほどです。今回は、そんなゴマの秘密に迫ります!

一粒ひと粒は小さなゴマですが、栄養がぎっしり詰まっています
一粒ひと粒は小さなゴマですが、栄養がぎっしり詰まっています

世界じゅうの畑から、日本の食卓に届けられる「ゴマ」

良質な脂質、それにビタミンEが豊富な「ゴマ」。
白ゴマ、黒ゴマが一般的ですが、「金ゴマ」と呼ばれる褐色のゴマも存在します。
古くから日本に伝わっていたゴマですが、食生活に深く入り込んだきっかけは「仏教伝来」。肉食が忌避されるようになり、ゴマを使った料理が本格的に発達したのです。
精進料理で有名なゴマ豆腐をはじめ、現在に至るまで私たちの食卓に欠かせない食材となっているのはご存じのとおりです。
とても身近なゴマですが、実はその多くが輸入ものです。どんな国でゴマが作られているのかご存知ですか?
調べてみると、ナイジェリア、スーダン、パラグアイ、トルコなど、かなり遠い国から輸入されているのがわかりました。国産にこだわるのもよし、ゴマが旅してきた道のりを想像しながら味わうのも楽しいですね!

香りがよく、濃厚な味わいが特徴の金ゴマ
香りがよく、濃厚な味わいが特徴の金ゴマ

炒りゴマ、すりゴマ、練りゴマ……どうやって作っているの?

皆さんは「洗いゴマ」という呼び名を聞いたことがありますか?
ひと昔前までは、この洗いゴマを買ってきて、家庭で炒るのが当たり前だったそう。
現在は洗いゴマの出荷はわずかとなり、店頭には洗いゴマを炒った「炒りゴマ」や、その炒りゴマをすりつぶした「すりゴマ」が並んでいます。
「炒りゴマ」と混同しやすい(?)のが、ゴマの表皮をむいて乾燥させた「むきゴマ」。
表皮がないぶん雑味が出にくいので、パンやお菓子のトッピングによく使われます。
中華デザートでおなじみのゴマ団子にまぶされているのも、たいていが「むきゴマ」なのだそう。この「むきゴマ」をすりつぶし、ペースト状にしたのが「練りゴマ」です。

中華デザートでおなじみのゴマ団子
中華デザートでおなじみのゴマ団子

普通のゴマ油と「太白ゴマ油」の違い、説明できますか?

ゴマの種子から作られる、おなじみの「ゴマ油」。原料となるゴマが抗酸化物質を多量に含むため、長期間の保存ができる植物油として有名です。
一般的なゴマ油は、白ゴマを高温で焙煎し、それから圧搾して作ります。独特の香りが魅力ですよね。
同じような工程で、黒ゴマで作られるゴマ油もあります。黒ゴマの表皮に含まれるフェノール化合物の影響で、白ゴマ油より香りが強いと言われます。
「太白ゴマ油」は、焙煎を行わずに作ったゴマ油。無色で、香りもほとんどありません。料理に余計な香りをつけたくない、でもゴマ油独特の旨みはほしい……こんな時に使うのがおすすめだそうですよ。

世界の「ゴマ」料理をご紹介!

保存性が高く、料理にこくや香りを加える「ゴマ」は、世界じゅうで愛されています。
まずは、ゴマの原産地の一つといわれるアフリカの料理をご紹介しましょう。
ウガンダやケニアでは、トウモロコシ粉とゴマを練って作ったおだんごを食べる習慣があるとか。カメルーンでは、ゴマの葉をサラダにしたり、煎じて薬にしたりするそうです。
東南アジアやインドで食べられているお米といえば、細長い「インディカ米」。
このインディカ米を煮たり炒めたりする時に、よく使われるのがゴマ油です。ゴマ油を使うことで、パラパラした食感が楽しめるだけでなく、煮くずれを防ぐことができるそうです。
日本でも最近人気の、中近東生まれの料理「フムス」。
ひよこ豆に練りゴマ、オリーブオイルなどを加えてすりつぶし、味つけしたクリーム色のペーストのことで、ピタと呼ばれる平たいパンにつけて食べます。簡単に作れますので、興味がある方はぜひレシピを検索してみてくださいね。
── 小さな「ゴマ」に秘められたパワーを、あらためて感じていただけたのではないでしょうか。
これからおうちで夕食、という方は、ごはんの上にゴマをひと振り。そうでない方も、スーパーのお惣菜に、コンビニのお弁当に、ハンバーガーのバンズの上に……きっと、ゴマを見つけることができるはずです!
参考:農山漁村文化協会編「地域食材大百科」、青木絵麻「油屋店主の旨いものレシピ 油屋ごはん」