今年の夏は猛暑日が続き、体にこたえる暑さでした。9月に入り気温も下がりましたが、不安定な天気が続き、たまった疲労がなかなか回復できずに、夏の疲れを引きずっている方はいませんか? そんなときにおすすめなのが、ツボ刺激です。基本は足の2ヵ所のツボ。冷えとむくみに効果的な「三陰交」と、気力を充実させる「湧泉」を、簡単な方法で刺激して、夏からため込んでしまった疲れを解消しましょう。

三つの経絡(けいらく)が交わる点が 「三陰交」。“女性のツボ” の異名も。

三陰交のツボは、脚の内側を通る「脾経」 「腎経」 「肝経」という3つの経絡が交わったところにあるツボです。3つの陰(いん)の経絡が交わることから、「三陰交」と名づけられました。
場所は、内側のくるぶしの一番高いところから、指4本分、上に上がったところの、骨と筋肉の境い目です。押すと、「効く~っ」という気持ちよさはなく、どちらかといえば、ただ痛いだけのツボです。
骨盤の中、つまり子宮の血行をよくすることから、女性の疾患によく効くツボとして知られ、生理不順・生理痛や更年期障害を改善するだけでなく、女性ならではの冷えやむくみ、便秘など、作用する範囲が広いのが三陰交の特徴です。

三陰交は内くるぶしから指4本上。湧泉は足の真ん中、土踏まずのやや上。
三陰交は内くるぶしから指4本上。湧泉は足の真ん中、土踏まずのやや上。

足裏の真ん中あたりが 「湧泉」。気力が泉のように湧く、疲労回復のツボ。

土ふまずのやや上、足の指を曲げたときに、ちょうどくぼむところが「湧泉」です。
水の属性がある「腎経」の始点で、その名の通り、気力や生命力が泉のように湧くツボです。腎臓の働きをよくするので、体内の水分を調節します。また、血液の循環をよくするので、首や頭の血行をよくし、女性特有の下半身の冷え、特に、“冷えのぼせ”に効果的です。
腎経は生命力や精力をつかさどる経絡で、湧泉はその始点。万能のツボといわれています。夏にため込んだ疲れを回復するのには最適のツボといえるでしょう。

湧泉のツボをギュ~ッと刺激
湧泉のツボをギュ~ッと刺激

お風呂で手に泡をつけて、「三陰交」 のあたりをクルクル…。体を洗いながらツボ刺激 !!

ツボを刺激するといいのはわかっていますが、いざセルフマッサージとなると、ちょっとおっくうになりがちです。そこでおすすめなのが、お風呂でのツボ刺激です。
体を洗うときにスポンジなどを使わず、手に石鹸の泡をつけて、三陰交を刺激します。ツボを1点押しするのではなく、三陰交のあたりを親指でクルクルらせんを描きながら、下から上へ動かします。泡がついているので手のすべりがよく、指を楽に動かすことができます。
三陰交をピンポイントに押すことにこだわらず、内くるぶしから膝のあたりまで、ふくらはぎの内側を下から上へクルクル刺激していくと、2~3分で足のむくみがずいぶんと楽になります。
このように、手に泡をつけてクルクル洗うと、三陰交だけでなく、全身のツボを刺激することができます。ツボを刺激しながら体を洗う…、一石二鳥でセルフケアすることができます。

「湧泉」 は “青竹踏み” が簡単。お灸もおすすめ。

足の裏にある「湧泉」は、実際に指で押してみると力がうまく入らず、なかなか押しにくいことがわかります。そこでおすすめなのが、昔からある“青竹踏み”。湧泉を刺激しつつ、足踏みをして全身の血行もよくなるので、これも一石二鳥です。
座り仕事が多い人は、仕事中に足の指をグーパーグーパーするだけでも効果的です。また、百円ショップなどで売っているツボ押し棒でギュギューッと押すと、指の力のない人でもピンポイントで湧泉を押すことができます。
三陰交も湧泉も足のツボなので、お灸もおすすめです。市販のせんねん灸(セネファ㈱)ならシールタイプなので、簡単にお灸することができます。せんねん灸はドラッグストアなどで手に入ります。
夏は代謝が悪くなるので、むくみや疲労が残ってしまいがちです。特に今年の猛暑は体にこたえたので、夏の疲れがなかなか抜けてくれません。季節はそろそろ秋。気温も下がってきた今、足のツボを刺激して夏の疲れを一掃し、すっきりした体で秋を迎えたいものです。