今年は例年よりも早いペースで台風が発生しています。すでに16もの台風が去り、続いて二つの台風が接近、18号が上陸しました。
8月末に台風15号は、各地に多くの被害を残しましたが、台風18号は停滞する秋雨前線との影響で、近畿から関東にかけて大雨に警戒が必要です。
強風域はコンパクトですが、突風を引き起こす可能性もありますので、引き続き注意してください。
さて、台風マメ知識の2夜目は、台風にまつわる「知っていて損はない情報」をお届けします。

昭和28年の京都・南山城水害時に集中豪雨の言葉が初めて新聞に登場。写真は京都・木津川の「上津屋橋(流れ橋)」
昭和28年の京都・南山城水害時に集中豪雨の言葉が初めて新聞に登場。写真は京都・木津川の「上津屋橋(流れ橋)」

台風には名前がある!

台風は毎年1月1日以降に発生した順に番号がつけられ、「台風●●号」と呼ばれますが、実はそれぞれ「名前」があるのをご存知でしょうか?
被害が大きい台風は“伊勢湾台風”などと個別に命名されていましたが、2000年からはすべての台風にアジア名がつけられています。
名前は、米国及び日本などアジア14カ国等が加盟する台風委員会で、あらかじめ140個を用意。1番から順番に使用し140番目まで使い終わったら1番目に戻るしくみで、国外ではこの名前が広く流通しています。
日本からはtembin(テンビン)、kammuri(カンムリ)など、星座の名前を提供しました。
例えば、今年2015年の場合、台風15号はGoni(コーニー)といい、韓国語で白鳥の意味です。16号はAtsani(アッサニー)で、タイ語で雷のことでした。次に発生した台風は、17号としてEtau(アータウ:米国提供の名前で嵐雲という意味)と名付けられることになっていたのですが、台風17号はハリケーンであるkilo(キロ)が日付変更線を越えてやってきた珍しい「越境台風」。そのため、名前はそのままkiloを踏襲し、次の18号がEtauとなります。
ちなみに、ハリケーンはかつて女性の名前を用いていましたが、現在は年度ごとに用意された男女の名前から命名します。
驚異的被害をもたらしたハリケーン(カトリーナなど)については、その名は永久欠名の扱いとしてリストから削除され、新たに違う名前が登録されます。

台風は右側と小さな目に注意!

台風は渦を巻きながら勢力を増して成長しますが、風が吹き込んでいく方向と進行方向が重なる右側は、左側よりも強い風が吹きます。
つまり、台風の進行方向右側の地域では被害が大きくなる可能性が高い、ということを覚えておいてくださいね。
また、台風(熱帯低気圧)は地球の自転の力により、渦の巻き方が違うことはご存じですか?
■北半球では反時計回り(ちなみに高気圧は時計回り、低気圧は反時計回り)
■南半球では時計回り
ハリケーンや台風は反時計回り、サイクロンは場所によって回る方向が変わるわけです。
ところで、「台風の目」を体験したことはありますか?
目の直径はおよそ20km~200km。暴風雨圏内のはずが、目に入ると青空が出現、風や雨もほぼ止んだ世界となります。まるで台風が去ってしまったかのように感じますが、それは一時的なもの。目を抜けると、台風の進行に伴って再び暴風雨が起こるのです。
気象衛星の写真で台風の目が小さくはっきり見える場合は、勢力が強い証拠。小さな目にはくれぐれもご注意を!

北半球の台風は反時計回り、高気圧は時計回りに風が吹き出します
北半球の台風は反時計回り、高気圧は時計回りに風が吹き出します

過去の台風から学ぶ

過去に台風で最大瞬間風速を記録したのは、1966年9月5日、沖縄県で第二宮古島台風によってもたらされた85.3m/sです。幸い死者を出すことはなかったものの、スーパーハリケーンとも言われた「カトリーナ」の最大瞬間風速は78.3m/sですから、その破壊力は想像を禁じ得ません。
熱帯低気圧は一年中発生していますが、冬や春に台風となって日本に近づくことはほとんどなく、夏になると、太平洋高気圧のまわりを周回してやってくる台風が増えます。
特に9月は日本に沿った経路をとるため、台風のトップシーズンに。
台風の発生は年平均で26個、実際に上陸する台風は年平均3個ですが、上陸しなくともこの時期に出現する秋雨前線がくせ者。秋雨前線が台風に刺激されて活発化すると、停滞することにより局地的な暴風雨が起こりやすくなるのです。
台風による災害には強風、豪雨、高潮などが挙げられますが、それらが単独で起こるだけでなく、土石流やがけ崩れ、河川の氾濫や家屋への浸水などを引き起こし、多大な被害が生じることも。
写真の「流れ橋」も1953年の南山城水害での集中豪雨以降、毎年のように被害を受け続けている箇所のひとつで、人気観光名所であるだけに、橋の今後が気になるところです。
気候や地形的な条件により、常に台風の脅威にさらされ続ける日本。
現在接近中の越境台風17号(Kilo)はハワイでワイキキビーチが閉鎖されるほどの大雨を降らせるなど、現在上陸中の18号(Etau)よりも勢力が強いので、今後の進路に注目してください。
詳細はtenki.jpのサイト「台風情報」「雨雲の動き」「警報・注意報」「豪雨レーダー」などをしっかり確認して、台風に対する備えを万全にしておきましょう。