この季節、魚屋さんの店頭には、脂の乗った美味しそうな鰹(カツオ)が並んでいます。
ところで、カツオには1年に2回、旬(漁期)があることをご存じですか?
4~5月にかけて獲れるものを「初ガツオ」、そして今の時期(8月下旬~9月)に獲れるものを「戻りガツオ」と呼び、それぞれに違った美味しさがあります。
戻りガツオの季節にちなんで、ちょっと役立つカツオの雑学をお届けしましょう。

春と秋、獲れる時期によって呼び名が変わるカツオ
春と秋、獲れる時期によって呼び名が変わるカツオ

「初ガツオ」と「戻りガツオ」の違いとは?

熱帯から温帯海域に生息するカツオは、【スズキ目サバ科マグロ族カツオ属】に分類される回遊魚です。
日本近海では毎年春になると、フィリピン沖から黒潮に乗って北上してきます。この時期に獲れるカツオが「初ガツオ(上りガツオ)」です。
その後、エサを捕食しながら三陸沖まで北上したカツオは、水温の低い親潮にぶつかるとUターンして、初秋頃から南下してきます。この時期に獲れるのが「戻りガツオ(下りガツオ)」です。
エサ場に向かって北上中の初ガツオは、脂身よりも赤身が多く、サッパリとしたみずみずしい味わいが特徴。表面をサッと炙ってタタキにすると、爽やかな風味がいっそう引き立ちます。江戸時代には「目には青葉、山ほととぎす、初鰹」と俳句に詠われ、縁起の良い春の初物としてこぞって食されたそうです。
一方、夏場にエサをたっぷり食べた戻りガツオは、春よりも肥えて脂を蓄えています。濃厚でこってりした味わいなので、タタキにはもちろん、そのまま刺身で食べてもGOOD。とくに脂の乗った腹側の身は、マグロのトロのような美味しさです。
ちなみに、英語圏ではカツオもマグロも「tuna(ツナ)」と呼び、似た種類の魚として区別しないとか。カツオとマグロをはっきりと区別し、さらにカツオも獲れる時期によって呼び分ける日本は、やはり魚好きの国民性が表れているのかもしれませんね。

注目の健康成分DHAとEPAを豊富に含み、低カロリーでヘルシー

カツオに多く含まれているのが、不飽和脂肪酸の「DHA(ドコサヘキサエン酸)」と「EPA(エイコサペンエン酸)」です。その含有量は魚の中でもトップクラス。DHAは脳の働きを活性化し、EPAは血栓を予防する働きがあるといわれています。
また、造血作用のあるビタミンB12、カルシウムの吸収を促進するビタミンD、肝機能の働きを助けるタウリンなど、健康に役立つ栄養素もたっぷり。さらに、低カロリーで高タンパクなので、夏バテのリセットやダイエットにもうってつけです。
100グラムあたりのカロリーは、初ガツオが114キロカロリー、戻りガツオが165キロカロリー。脂が乗っている分、戻りガツオの方がやや高カロリーとなりますが、それでも他の魚と比べると低カロリーですから、ダイエット中でも心配せずに食べられますよ。
食欲の秋、お腹まわりを気にせずに、ヘルシーで美味しい戻りガツオを存分に堪能してくださいね!

お好みの薬味をたっぷり添えて、さあ召し上がれ~!
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