2015年8月15日で第二次世界大戦の終戦から70年が経過し、多くのメディアが「終戦の日」にちなんだ番組、報道を取り上げました。
日本人にとって「終戦の日」というと、8月15日に昭和天皇による「終戦の詔書」(玉音放送)がラジオ放送で流れた日と思っている人も多いですし、8月15日には、今も全国各地で追悼式などが開催されています。
でも、国によってこの「終戦の日」の日付や呼び名が異なり、意外にも世界では、8月15日が「終戦の日」ではないようなのです。

アメリカ、イギリス、フランスが定めた「終戦の日」は、明日9月2日です
アメリカ、イギリス、フランスが定めた「終戦の日」は、明日9月2日です

世界の「終戦の日」はいつ?

各国の「終戦の日」を見てみると、なにをもってして「終戦」なのか、それぞれの認識の違いがわかります。
第二次世界大戦(太平洋戦争)
●9月2日を終戦の日とする国家
アメリカ合衆国、イギリス、フランス、カナダ、ロシア
日本が降伏文書調印した日。「対日戦勝記念日」。
●8月15日を終戦の日とする国家
大韓民国
日本の植民地支配から解放され光を取り戻したことを記念する日。「光復節」。
●9月3日を終戦の日とする国家
ソビエト連邦(現ロシア連邦)、台湾
中華民国(台湾)と中華人民共和国では、旧ソ連と同じく、9月3日を「軍人節」としている。
<ヨーロッパ戦線>
●イタリア 4月25日
イタリアの首相ムッソリーニの政権が崩壊した日。「解放記念日」。
●ドイツ 5月8日
ドイツが無条件降伏文書に調印した日。「解放の日」。
●フランス 5月8日
ドイツがフランスに対して無条件降伏文書に調印した日。
●ロシア 5月9日
ドイツに戦勝した記念日。
このように、どの国に、どうやって勝利したか、または敗戦したかによって「終戦の日」の日付や呼び名、記念日の意味合いまでもが異なるのです。
第二次世界大戦だけを見ると、8月15日から9月3日まで大きく差が開いていることがわかります。

「終戦の日」と「終戦記念日」の違い

ところで、日本でも「終戦の日」と呼ぶ場合と、「終戦記念日」と呼ぶ場合があります。
どちらかを使わなければならないという明確なルールはないものの、テレビ局や新聞社によって表現が違る点も興味深く、国営の放送局では、“記念日”の表現はお祝いのイメージがあるため抵抗を感じる人がいる、といった理由で、「終戦の日」を用いています。
歴史を振り返ると、
1945年8月14日/日本政府がポツダム宣言の受諾を連合国各国に通告
1945年8月15日/昭和天皇による終戦の詔書(玉音放送/録音)放送により、日本降伏を国民に公表
1945年9月2日/日本政府がポツダム宣言の降伏文書(休戦協定)に調印、即日発行
日本において第二次世界大戦(太平洋戦争)が終結したとされる日については諸説あり、明確にこの日!と定めるにふさわしい「終戦の日」はないようです。
日本では、最高権力者である天皇の肉声がラジオから初めて流れた玉音放送が敗戦の象徴として受け止められ、その放送が流れた8月15日を「終戦の日」として、今に受け継がれています。

そもそも「終戦の日」はなにをする日?

第二次世界大戦の終結以降、日本の「終戦の日」は「戦歿者を追悼し、平和を祈念する日」としており、8月15日に「戦没者追悼式」を行い、戦争で命を落とした人々を想って、正午に黙とうを捧げます。
70年の節目となる今日、「終戦の日」のキーワードから、世界に視点を広げて歴史を眺めるきっかけになれば……去りゆこうとする夏を惜しみつつ、そう願ってやみません。