「蚊柱」 は、“ユスリカ” のメスが結婚相手を見つけるための 「お見合い会場」 !?

2015/08/24 11:00

夏の終わりの夕暮れ時になると、川や水たまりの上、駐車場や空き地、電灯の下などでよく「蚊柱」を見かけます。人の頭くらいの高さで群れをなしていて、その近くを歩くと、なぜか蚊柱がついてきたりして、思わず走って逃げることもありますよね。でも、この蚊柱、実は、ユスリカという羽虫のオスの軍団で、この中にメスが1匹で飛び込んで結婚相手を見つけるという、ドラマチックな婚活パーティーの会場なのです。

群れ飛ぶオスの軍団にメスが1匹で飛び込み、結婚相手を見つける。
群れ飛ぶオスの軍団にメスが1匹で飛び込み、結婚相手を見つける。
「蚊柱」 の正体は 「ユスリカ」。「頭虫」とも呼ばれ、人の頭の上で群れることも。 蚊柱を構成しているのは、ユスリカという昆虫です。漢字で書くと「揺蚊」。漢字に蚊とついてはいるものの、いわゆる人を刺す蚊とは異なり、血を吸うことはありません。体長4~8mmほど。非常に種類が多く、世界には10,000種類、日本には1,000種類以上もいます。発生時期は春や秋、冬限定などさまざまですが、夏の終わりころから夕暮れ時になると、水辺や電灯の下に群れているのをよく見かけます。 蚊柱をつくることから、「頭虫(あたまむし)」と呼ばれることもあります。蚊柱は、周りにあるものより少し高いところに集まる習性があるので、人の頭の上にできた蚊柱は、人が移動してもついてくることがあります。この現象から頭虫と呼ばれるわけですが、人を刺す蚊ではないとはいえ、逃げても逃げても蚊柱がついてくるのは、あまりいい気持ちではありませんね。 ちなみに、ユスリカの幼虫は通称「アカムシ」と呼ばれ、冷凍アカムシや乾燥アカムシは、アクアリウムの熱帯魚などに便利なエサとして活用されています。
ユスリカのオスの触覚は、ブラシ状でフサフサしている。
ユスリカのオスの触覚は、ブラシ状でフサフサしている。
蚊柱はユスリカのオスだけの軍団。そこにメスが飛び込み、結婚相手を探す !! 蚊柱は、数十~数百匹のオスの群れで構成されています。メスは群れを作らず、単独で行動します。繁殖の時期になるとオスは群れて蚊柱を作り、メスはそこに飛び込んで、中からお気に入りの相手を見つけて交尾・産卵します。つまり、蚊柱の中にはメスは0匹、多くても数匹しかいません。 成虫の寿命は1日から、せいぜい数日ほど。ものを食べる口や消化器が退化しているので、食事を摂ることができません。成虫になり結婚相手を見つけ、交尾・産卵すると、すぐに死んでしまいます。なんとも儚い(はかない)生涯です。 ちなみに、日本で見る蚊柱の大きさはたかが知れていますが、アフリカのマラウィ湖では、高さが10m以上になることもあるそうです。こうなるともう、蚊柱というよりは、蚊の竜巻といった感じです。 蚊柱は水のあるところに発生する。川や側溝、庭のバケツの水にも。 ユスリカのメスは水のあるところに産卵します。つまり、蚊柱の目的は交尾・産卵なので、水辺に近いところに発生します。 しかし、蚊柱は川や湖だけでなく、空き地や庭で見かけることがよくあります。それは、近くに水がたまっているところがあるからです。家の周りに蚊柱ができていれば、なんらかの水があるはずです。側溝、用水路、大きな水たまり。庭に放置されているバケツの水や、雨どいにたまった水など、ちょっとした「水たまり」に産卵する場合もあります。 ただ、ユスリカは、ダニのように死骸がアレルギーを引き起こす原因になることもあります。家にユスリカが侵入する場合は、家の近辺にある水たまりをきれいにして、蚊柱ができないようにすることが大切です。また、室内をこまめに掃除して、ユスリカの死骸を除去することも、アレルギーを防ぐために有効な対策です。 ユスリカの幼虫は川の魚のエサになるだけでなく、川底の有機物を食べるので、川の水質の栄養が豊富になりすぎないように役立っています。また、成虫はクモのエサになるなど、生物の生態系にしっかりと組み込まれています。蚊のように人を刺して血を吸うこともない、ただの羽虫のユスリカ。成虫は交尾・産卵するだけの、わずか1日の命…。そう思うと、今まで、しかめっ面をして見ていた蚊柱ですが、少しだけやさしい気持ちになって蚊柱を見てしまうかもしれませんね。

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