今年の蒸し暑い超猛暑をtenki.jpでは「ジメ暑」と命名しましたが、中国で古代から伝わる中医学では体調不良を引き起こす湿気を「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。
また、カラダがだるい、手足や顔がむくむ、胃腸の働きが悪くなる……そんな状態は「未病」と言い、病気になる一歩手前です。
未病を食事で整えるのが「薬膳」で、特別な材料もいらず難しいこともありません。
身近な旬の食材を使った薬膳でジメ暑を乗り切り、元気に秋を迎えましょう!

辛い麻辣味と鶏のダシが効いた白湯で仕切られた火鍋
辛い麻辣味と鶏のダシが効いた白湯で仕切られた火鍋

薬膳とは? 漢方との違い

「薬膳」はクコの実やナツメ、さんざしなど特別な材料だけを使うのではありません。
中医学の健康理論に基づいて、食べ物が持つ効能や作用を取り入れた「食事」のことを指します。
ちなみに「漢方」は中国の伝統医学で、生薬を用い自然治癒力を高める医療体系のこと。
薬に頼らずに、日頃の料理を通じて未病のうちに体調を整えるのが「薬膳」なのです。
たとえば、夏の旬の野菜のひとつ「きゅうり」を中医学で分類すると、カラダの熱を取る「寒」の効能があり、「甘」い味で、利尿作用があるため、むくみの改善に役立つとされています。夏の暑い時期には欠かせない食材ですが、カラダを冷やす作用があるので、冷え性の人は生のまま食べ過ぎないことが大切。
季節に合せた旬の食材を体調に合せてバランスよく取り入れることで、元気なカラダを維持していける、というわけです。

陰陽五行と五味五性

中国の考え方のひとつである「陰陽五行(いんようごぎょう)」では、万物は「木・火・土・金・水(もっかどこんすい)」の五つから成り、陰と陽がバランスをとって存在すると言われています。
木は火を起こすことができ、火が燃えると土になり、土は金をつくり出し、金は水を産み、水が木を育てる。すなわち、木 ⇒ 火 ⇒ 土 ⇒ 金 ⇒ 水 ⇒ 木 ⇒……という自然の摂理だと考えられているのです。
また、前述のきゅうりでも触れましたが、食べ物には五つの性質である「五性」と五つの味「五味」があるとされます。

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