夜のニュースを見ると、「今日は○○で最高気温39℃を記録しました」というアナウンサーの声。39℃という数字が珍しいとさえ思えなくなってきた最近の猛暑は、命の危険さえ感じるほどの暑さです。そんな暑さから逃れようと、最近、北海道に長期滞在する人が利用しているのが、「ちょっと暮らし」という制度。北海道の各市町村が空き室などを貸し出し、北海道の暮らしを体験してもらおうという取り組みです。そして、夏に一番人気があるのは釧路市。その理由はもちろん、涼しいからです。

ラムサール条約に登録されている 「釧路湿原」。ノロッコ号に乗ってのんびり見学できる。
ラムサール条約に登録されている 「釧路湿原」。ノロッコ号に乗ってのんびり見学できる。

「ちょっと暮らし」 は北海道での “お試し生活”。移住を考えているシニア向けに始まった。

「ちょっと暮らし」とは、都会の団塊の世代などを対象に北海道へ移住してもらおうと、2006年から道が中心となって始めた、北海道生活の体験ができる制度です。
滞在はだいたい1週間から1ヵ月ほど。各自治体が窓口となっています。「ちょっと暮らし」ができる施設は、使わなくなった公務員宿舎やマンスリーマンション、空き家、空きマンションなどさまざまですが、部屋には家具や家電、生活用品がそろっているので、着いたその日から普通に生活することができます。
移住者向けの事業ということもあり、人口減少に悩む自治体では、いろいろなサービスを付加して“呼び込み”に必死です。たとえば、人口は少ないが農業などで予算が裕福な自治体では、オール電化仕様の新築平屋を用意して、もてなしています。逆に、ある程度大きな都市では、古い木造アパートを少しリフォームしただけの部屋で対応したりなど、それほど積極的でないところもあるようです。
もちろん、観光など移住体験以外の目的でも「ちょっと暮らし」は可能です。滞在日数、滞在施設などは各自治体で異なっていますが、ホームページなどで確認できます。

夏の一番人気は釧路 !! とにかく気温が低い。7~8月の最高気温は平均21.7度 !!

昨年度、釧路市での長期滞在者は295人に上り、この結果、2011年以降、「ちょっと暮らし」をした人は、4年連続で全道第1位となりました。今年も順調で、すでに5月の時点で賃貸物件が足りていませんでした。そこで釧路市では、マンションの空き室などの改修費用を補助して、物件を確保しています。これは道内の自治体としては初の試みです。

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