いよいよ全国高校野球選手権大会が開幕!
今年は予選時から逸材、怪物、 規格外の球児をひとめ見ようと、異例の観客数が地方大会を埋め尽くすなど開幕前から早くもヒートアップ気味!彼らがどんな活躍を見せてくれるか目が離せませんね。
炎天下での大会ともなれば、選手はもちろん応援・観戦者の体力消耗は免れません。
そんな真夏の甲子園球場で絶大な支持を得ているのが「かちわり氷」なのですが、ただの氷とあなどるなかれ! 40年以上も愛されてきた「かちわり氷」。その根強い人気に迫ります。

第97回全国高校野球選手権大会開幕! まぶしい陽射しが球場に照りつけます
第97回全国高校野球選手権大会開幕! まぶしい陽射しが球場に照りつけます

かちわり氷の誕生

甲子園名物の「かちわり氷」。
基本的に夏の高校野球の大会期間中は、スタンドで売り子さんから購入することができます。
かちわり氷は、ひと口サイズの氷(約400g)を20cm四方のビニール袋に入れ、袋の口を輪ゴムで止めたもの。
そこにストローをさして氷水を飲む、といういたってシンプルな商品。
このかちわり氷が初めて登場したのは1957年ですが、もともとは球場近くで寿司店を営む梶本商店の初代店長・梶本国太郎さんが、かき氷として売り出したことに端を発するといわれています。
でも、シロップが手にベタついて野球観戦に集中できない……いうお客様の声から、今のカタチに変化したと言われていますが、その「カタチ」とはすなわち、金魚すくい後に露天のおじさんが金魚を入れてくれる、あの「きんちゃく袋」。何とも意外なものからの着想ですね。
ちなみに、阪神戦でも売店でかちわり氷は購入できますが、プロ野球の場合はナイターが多いため、氷よりもビールなど飲み物のほうが売れるのだそうです。

ついつい欲しくなる、冷た~いかちわり氷
ついつい欲しくなる、冷た~いかちわり氷

甲子園名物になった人気の理由とは?

かちわり氷は一袋200円。ただの氷なのに……と考えるとちょっと高い気もしますが、価格にかかわらず今も昔も根強い人気を誇るかちわり氷。
PL学園高等学校の「KKコンビ(桑田真澄=エース&清原和博=4番)」が甲子園に登場し、チームの圧倒的強さと、KKコンビの人気に全国が沸いた1983〜85年(春夏5季連続出場)には、最高で1日に1万5000袋が売れたそう!
80年初頭、例年以上の観客数と応援団の規模から球場を訪れた人々が競ってかちわり氷を買い、ヒーローが繰り広げる熱戦に、氷水をすぐ飲み干してしまう人が続出したことは容易に想像できますね。
さらに今大会は、すべてが規格外!と注目される「怪物打者」や、高校生レベルを凌駕した「走攻守」兼ね備えた外野手など、スカウト大注目の逸材ぞろいとあって、ひょっとしたら今年は、KKコンビが活躍した80年代よりかちわり氷の売れ行きはよいかも!

売り子さんも炎天下の中頑張っています
売り子さんも炎天下の中頑張っています

氷水を飲む以外にも重宝する便利な使用法

さらに、灼熱の炎天下での応援は約2時間もの間、暑さに耐えなければなりません。
暑熱環境下でカラダに蓄積された熱を放置すると、短時間で熱中症にかかる恐れがあります。
熱中症を3つに分けると、
【軽症】➡眼前暗黒、気分が悪い、手足のしびれ、四肢・腹筋の痙攣、こむら返り、筋肉痛、硬直、血圧低下、皮膚蒼白
【中等症】➡強い疲労感、頭痛、吐き気、倦怠感、脱力感、大量発汗、頻脈、めまい、下痢
【重症】➡深部体温上昇、脳機能障害による意識混濁、譫妄状態、意識喪失、肝臓・腎臓の機能障害、血液凝固障害
※注!【軽症】の場合は、ただちに日陰で休む、水分補給、カラダを冷やす処置が必要
※注!【中等症】の場合は、ただちに医療機関で治療が必要
※注!【重症】の場合は、ただちに救急車の要請が必要
熱中症を予防するためにも、観客席に座ったら帽子、タオル、日傘などで直射日光を遮ることが大切ですが、かちわり氷の氷を「氷のう」代わりに活用するのも有効な手段です。
方法はカンタン。動脈に近い首、ワキの下、股関節などに当て、熱がこもりがちな部分をアイシングしながら、カラダ全体をクールダウンしてあげましょう。
つまりかちわり氷は、熱中症防止として活用できるうえ、ノドも潤う一石二鳥のすぐれものなのです!
※熱中症の症状についてはウィキペディアを参照

かちわり氷のライバル出現

そんなかちわり氷も最近はライバル商品の勢いに押され気味……と聞けば、気になる人も多いのではないでしょうか。
実は近年、ペットボトル飲料を冷凍させた商品が販売され、大人気になっているのです。
冷凍のペットボトルの1日の売上本数が5000~6000本ほどに対し、かちわり氷は1日3000~4000袋ほど。一時期に比べると、かなり押され気味といえますね。
かつては、高校野球の大会期間中のみの限定販売だったかちわり氷が、プロ野球の試合でも販売されるようになったのには、少しでもかちわり氷の露出を増やしたいという思惑があるよう。甲子園名物のみならず、夏の風物詩にもなったかちわり氷だけあり、ぜひこれからも残り続けてほしいですね。
容赦ない陽射しが照りつける中で、熱戦が繰り広げられる夏の甲子園。
さあ、今年はどんなドラマが繰り広げられるのでしょう!
観戦する人たちは熱中症などにかからないよう十分な注意が必要ですが、夏の思い出とともにかちわり氷を購入して楽しく野球観戦ができるとよいですね。