日本を代表する食の観光地として、国内外から年間2000万人以上のお客さんが訪れる横浜中華街。
中国の食文化・伝統文化を発信するこの街では、1年を通じて春節(旧正月)をはじめとする多彩なイベントが開催されています。
なかでも、中華街の夏祭りとして知られる一大イベントが、今週末の8月8日(土)に開催される「関帝誕(かんていたん)」です。中華街で100年以上続く関帝誕の歴史や、イベントの見どころをたっぷりご紹介しましょう。

「関帝誕」のパレードを盛り上げる龍舞のパフォーマンス
「関帝誕」のパレードを盛り上げる龍舞のパフォーマンス

横浜関帝廟の主神・関羽の生誕日を祝う伝統行事

中華街を代表する毎年恒例のイベントとして、旧暦の6月24日(今年は8月8日)に開催される関帝誕は、横浜関帝廟(かんていびょう)の主神・関羽(かんう)の生誕日を祝う伝統行事です。
その歴史は古く、1876年の『横浜毎日新聞』では、「関帝誕の当日、関帝廟は行燈(あんどん)の人形や大提灯(だいちょうちん)が飾られ、大勢の人々で賑わった」と報じています。
また、関帝廟改修25周年にあたる1910年の関帝誕では、華やかな龍舞や獅子舞、山車(だし)などからなる大行列が横浜の中心街を練り歩き、その様子を伝える記念の絵ハガキが出されるほど大盛況を博したといいます。
1913年に発刊されたガイドブック『官署学校病院社寺遊覧商業案内』では、関帝誕を横浜の年中行事のひとつに挙げており、当時から中華街最大級の祭事であったことがうかがえます。

約150年にわたり、横浜中華街を見守り続ける関帝廟

中華街の観光スポット・文化施設として、多くの観光客や地元の信者がお参りに訪れる横浜関帝廟。廟に祀(まつ)られる主神・関羽は、『三国志』に登場する実在の武将です。
関羽を神格化した「関聖帝君(かんせいていくん)」の名でも呼ばれ、商売の神様として広く信仰されています。
関帝廟の歴史は1862年、一人の中国人が関羽の木像を抱いて、中華街の地にささやかな廟を開いたことに始まります。中国から日本へ渡り、異国の地で日々の安泰や商売繁盛を願う華僑にとって、関羽を祀った廟は大きな心の拠りどころとなっていきます。そして1871年、華僑たちの募金によって本格的な関帝廟が建立されました。
その後、関帝廟は関東大震災、戦災、1986年の火事によって3度焼失しましたが、人々の厚い信仰心によって3度の再建を果たし、現在は4代目の関帝廟が中華街を見守っています。
いつの時代も、関帝廟は中華街の人々の心の拠りどころであり、伝統行事である関帝誕とともに大切に受け継がれているのです。

中国伝統建築工芸の粋を極めた、絢爛豪華な姿の横浜関帝廟
中国伝統建築工芸の粋を極めた、絢爛豪華な姿の横浜関帝廟

関帝誕のクライマックス、華やかでエキサイティングなパレードは必見!

関帝誕の当日、関帝廟の神殿内では拝神儀式(11時~)が執り行われ、境内にはたくさんの料理や花々などの供物が供えられます。
続いて夕刻(17時~)からは、関帝誕のクライマックスとなる神輿巡行(パレード)が中華街全域で行われます。
関帝誕のパレードは総勢200名以上! 関羽のご神体を乗せた神輿(みこし)ととともに、3メートル近くある「将軍」の像(中に人が入って歩きます)や、壮麗な獅子舞・龍舞・演舞舞・楽隊のパフォーマンスが加わり、中華街の通りを3時間近くかけて練り歩きます。

3メートル近い巨大な姿の「将軍」は迫力満点!
3メートル近い巨大な姿の「将軍」は迫力満点!

夕闇に浮かび上がる、神輿のイルミネーション演出もドラマティック!

パレードが始まると、街中には銅鑼(どら)や鐘、爆竹の音が響き渡り、関羽を乗せた神輿や獅子舞の一行が登場すると沿道からの歓声も最高潮に。日が暮れると神輿には色鮮やかなイルミネーションが灯され、きらびやかで幻想的な姿が夕闇に浮かび上がります。
真夏の夕暮れ、ダイナミックに繰り広げられる関帝誕のパレードは、中華街ならではの異国情緒とパワーを体感できる絶好のチャンス。ぜひこの機会に足を運んで、エキサイティングな夏のお祭り&中華街グルメを満喫してみませんか?
※パレードは大雨・荒天の場合は中止となります
※参考/横浜中華街オフィシャルサイト、横浜中華街関帝廟HP(ともにリンク先参照)

イルミネーションが輝く華やかな神輿が登場!
イルミネーションが輝く華やかな神輿が登場!