ツルッとおいしい「そうめん」、昔はアズキ汁で食べていた? ひやむぎとはどう違う?

2015/08/02 19:00

暑い季節でも、さっぱりツルッといただける「そうめん」。 夏のランチの定番、という方も多いのではないでしょうか? キリッと冷やしたつゆに薬味を添えた昔ながらの食べ方のほか、そうめんサラダやそうめんチャンプルーなど、調理法もいろいろ。 コンビニやスーパーに行けば、カップ入りのそうめんも並んでいます。 私たちの食生活にこれほどなじんでいる「そうめん」、いつ頃から食べられているのかご存じですか? 今回は、そうめんの知られざる(?)歴史に迫ります!

薬味を添えたり、具をのせたり、汁ものに入れたり……いろいろな食べ方が楽しめるのもそうめんの魅力
薬味を添えたり、具をのせたり、汁ものに入れたり……いろいろな食べ方が楽しめるのもそうめんの魅力
そうめんはどこからやってきた? そうめんのルーツとされているのは、「索餅(さくべい)」または「索麺」という食べ物。索=縄の意味ですから、縄のように細長い食べ物だったのでしょう。 索餅とは、中国の後漢~唐代の文献に登場する食品の名前で、餅とは現在でいう麺のこと。 7世紀頃から、遣隋使や遣唐使などを通じた交流が盛んになり、その中で日本に伝わったのがそうめんのルーツだとされています。 索餅は別名「麦縄(むぎなわ)」とも呼ばれ、ゆでて酢で和えたり、塩味のアズキ汁につけたりして食べていたようです。その後、室町時代になると現在のようなそうめんの製法が成立しました。 当時は、蒸したそうめんに、味噌仕立ての冷たい汁、青味(薬味となる野菜)、カラシ、コショウを添えて食べていた……こんな記録が残っています。まだ醤油が普及していなかった時代、そうめんの味つけは現在とはだいぶ違っていたようですね! 細くて、芯まで乾燥させやすいそうめんは、長期間の保存が可能。 江戸時代は、乾麺といえば「そうめん」だったようです。 暑い沖縄でそうめんが重宝されたのも、保存食としての背景から、機械による乾燥が普及する昭和中期までは、太い麺を乾麺として製造するのはとても難しいことだったのです。 そうめんは、どうやって作られる? そうめん作りのシーズンは、秋から冬、春先にかけての、雨が少なく麺の乾燥に適した季節。 伝統的な「手延べ」製法では、小麦粉に塩、水を加えた生地を「こより」状にまとめ、引き伸ばしながら成型していきます。 糸のように細長い麺ができるのは、表面に油を塗っているから。さらに専用の倉庫で熟成させることで、茹でてものびにくく、食感も良いそうめんが完成します。 できあがったそうめんは短く切り揃えられ、束にされておなじみのそうめんの姿に。 ただし産地によっては、長いままのそうめんを巻くように束ねたものが出荷されています。皆さんがいつも食べているそうめんは、どんな姿をしているでしょうか? そんなそうめんとよく似た「ひやむぎ」。 もともとは茹でた麺を冷やして食べる方法を「ひやむぎ」、熱くして食べる方法を「あつむぎ」と呼んでいたのが、どういうわけか「ひやむぎ」という言葉だけが残ったようです。 また、手延べ製法で作るそうめんに対して、平たくした生地を包丁で切って作る「切り麺」をひやむぎと呼んで区別した、という説もあります。 ちなみに、現在のJAS(日本農林規格)では、太さや形状によってそうめんとひやむぎを厳密に区別しています。 興味がある方は、ぜひ調べてみてくださいね。 ご当地そうめん、その歴史あれこれ そうめんといえば、なんといっても奈良県の三輪が有名ですね。 良質の水が湧くこと、冬の寒さが厳しいことなど、そうめん作りに最適の条件を備えているのだそうです。 その三輪から製法が伝わったとされるのが、徳島県の「半田そうめん」。 特産品の木材を運搬する船頭さんが、そうめん作りの技術を三輪から半田に伝えたと言われています。 半田も冬の寒さがとても厳しく、そのため麺に締まりが出るとか。吉野川からきれいな水が得られること、川を利用しての舟運で鳴門の塩が得られることも、そうめん作りを後押ししたようです。 小豆島も、安土桃山時代から続くそうめんの産地。雨量の少ない気候、冬の日照時間の長さと、こちらもそうめん作りに適した環境を備えています。 その小豆島から製法が伝えられたのが、長崎県の島原。 有名な「島原の乱」の後、人口が激減した島原半島に、各地から人びとが移民させられました。幕府の直轄領だった小豆島からも多くの人が移住し、島原にそうめん作りを伝えたのだそうです。 最後にご紹介するのが、同じく長崎に伝わる「ドロさまそうめん」。 明治時代に長崎県の出津に赴任したマルコ・ド・ロ神父が、布教のかたわら手がけたのが、フランスから小麦を取り寄せてのそうめん作りでした。 かつてキリシタン弾圧の時代に、信者たちが隠れ住んだ出津。ひっそりと暮らす人びとの生活を、少しでも楽にしたい……そうめん作りには、そんな神父さまの想いがあったと伝えられています。 そうめんの意外な(?)歴史、いかがでしたか? 時代に翻弄されながらも、人びとの暮らしに寄り添い続けてきたそうめん。 次にそうめんを食べる時は、そんな歴史についても思い出してみてくださいね! 参考:石毛直道「文化麺類学ことはじめ」、日本食糧新聞社「全国麺類特集」(2011~2013)、岡田哲「コムギ粉料理探究事典」

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